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- レシピ付き|体の中から元気に!小豆のすごいトコロ7
小豆研究の第一人者で農学博士の加藤淳さんに小豆のパワーについて伺う企画の2回目。今回は、納豆や麹などと並ぶ、栄養価が含まれている「小豆」が、私達の生活や健康をどれほど改善してくれるのかを伺います。小豆のおかずレシピ3品付きです。
加藤 淳(かとう・じゅん)さんプロフィール
名寄市立大学副学長・栄養学科教授保健福祉学部。農学博士。帯広畜産大学大学院修了。豪州クイーンズランド大学、北海道立総合研究機構・中央農業試験場などを経て、現職。小豆の研究をライフワークとし、「あずき博士」として講演などを行う他、著書に『あずき毒出しスープ』(河出書房新社)、『小豆の力』(キクロス出版刊)など多数。
疲れた胃腸を小豆で労わる
植物の“種”である小豆には、食物繊維やポリフェノールをはじめとした必要な栄養がバランスよくたっぷり含まれていることは、前回解説しました。
さらに、小豆の赤い色には魔除けや邪気を払う呪力があると信じられており、祝いの席で小豆の赤飯が出されていました。その後、宮中の年中行事に取り入れられ、小正月にあたる1月15日には小豆粥を食べるようになりました。
「この慣わしは、栄養学的に理に適ったもの。ごちそう続きで疲れた胃腸を整えてくれます。体調が悪いときも小豆粥なら心地よく食べられます」と加藤さん。
他にも、小豆を使った伝承料理はたくさんあります。小豆を普段の食事に取り入れて、体を労わる食生活を始めましょう。
小豆はスゴイ1:便秘を解消、お肌にもうれしい
豊富な不溶性食物繊維と、レジスタントスターチによって腸のぜん動運動を活発化。便がスムーズに押し出されるようになり、ひどい便秘でも約1週間で効果を実感できます。
小豆はスゴイ2:腸内細菌を整え免疫力アップ
豊富な食物繊維と、食物繊維と同じ働きをするレジスタントスターチが腸内細菌の餌となり、腸内の善玉菌が増加。腸内環境が整うことで免疫力が向上します。
小豆はスゴイ3:むくみもすっきり!
ミネラルも豊富に含む小豆には、体内の余計な水分と塩分を排出する作用を持つカリウムもたっぷり。利尿作用を持つサポニンとの相乗効果で、むくみがすっきり取れます。
小豆はスゴイ4:血糖値の乱高下を防ぐ
腸の中で糖を分解する酵素の働きを抑える作用を持つ小豆のポリフェノールの力によって、糖の吸収を抑制。食後の血糖値の上昇が緩やかになり、血糖値の急激な乱高下を防ぎます。
小豆はスゴイ5:病気の誘発も防げるかも
小豆の皮に含まれるポリフェノールにより、がんや動脈硬化などの病気を誘発する活性酸素を撃退。比較的短時間で作用しますが、長時間持続しないので、こまめにとる必要があります。
小豆はスゴイ6:毛細血管を強化して高血圧を予防
余分な塩分を排出し、血管を拡張する働きをするカリウムと、利尿作用のあるサポニンによって血圧を下げる効果が。さらに小豆のポリフェノールによって毛細血管を強化。高血圧の予防、改善効果があります。
小豆はスゴイ7:体脂肪がたまりにくく
小豆のポリフェノールが、脂肪の吸収を防ぎ、体脂肪の原料となる血中中性脂肪の値を低下させます。また小豆に含まれるルチンなどの成分によって、脂肪細胞の中に脂肪がたまるのを防ぎ、体脂肪をためにくくする働きも。
伝統料理で小豆の力を引き出すレシピ3選
ここからは、小豆のパワーをしっかり吸収するための、料理を、調理研究科の本田明子(ほんだ・あきこ)さんに3つ教えてもらいます。
本田明子(ほんだ・あきこ)さんプロフィール
家庭料理研究家。1962(昭和37)年生まれ。料理研究家の故・小林カツ代さんの一番弟子として多くの料理本に携わった後、2007年に独立。「本田明子キッチンオフィス」を主宰し、テレビや雑誌等で活躍中。
基本になる「かたゆで小豆」の作り方
【材料】(作りやすい分量)
小豆……250g
水……500mL
1.小豆をゆでる
小豆を洗い、鍋に小豆とたっぷりの水(分量外)を入れて強火にかけ、沸騰したらそのまま2~3分ゆでる。
2.ゆでこぼす
ザルに上げて、緑色のあくが出たゆで汁を捨てる。
3.再び水を入れ、約30分ゆでる
鍋に2の小豆と分量の水を入れて弱火にかけてふたをし、40分前後ゆでる。
4.出来上がり
煮汁はほぼなくなる。食べてみて、歯でつぶせる程度の硬さになっていればOK。
※詳しくは「常備食にすると便利!かたゆで小豆とあんこのレシピ」で紹介しています。
レシピ1:疲れた胃腸を労わる「小豆粥」
【材料】(2人分)
米……1/2カップ
水……3カップ
かたゆで小豆……1/3カップ
酒……大さじ1
塩……小さじ1/4~1
【作り方】
1.米を洗う。
2.鍋に分量の水と米を入れ、中火にかける。フツフツしてきたら、かたゆで小豆と酒を加えてグンと弱火にし、ふたを少しずらして30~45分間炊く。
3.豆がやわらかくなったら、塩と熱湯1/3カップ(分量外)を加えて全体を混ぜ、きっちりふたをして蒸らす。
レシピ2:体力をつける「いとこ煮」
【材料】(作りやすい分量)
カボチャ……1/6個(250g)
かたゆで小豆……1/2カップ
〈A〉
水……1.5カップ
塩……小さじ1/3
みりん……小さじ2
砂糖……大さじ2
しょうゆ……小さじ1/4
【作り方】
1.カボチャは種とワタを取り除き、ところどころ皮をむいて3cm角に切る。
2.鍋に〈A〉を入れてカボチャを皮を下にして並べ、かたゆで小豆を入れる。全体を平らにならし、ふたをして中火にかける。
3.フツフツしてきたら弱めの中火にして約10分煮る。カボチャに竹串を刺して通ったら、しょうゆで味を調える。火を止め、ふたをしたまま余熱で味を含ませる。
レシピ3:汁物で体を温める「長イモと小豆の椀物」
【材料】(2人分)
かたゆで小豆……1/4カップ
長イモ……5cm
九条ネギまたは細めの長ネギ……10cm
〈A〉
だし汁……2カップ
みりん……小さじ1
塩……小さじ1/2
しょうゆ……少々
片栗粉……小さじ1
水……小さじ1
【作り方】
1.長イモは皮をむいて1cm角に切り、長ネギは1cmのぶつ切りにする。
2.鍋に〈A〉と長イモを入れて火にかける。フツフツしてきたら、かたゆで小豆と長ネギを入れ、10分弱火で煮る。
3.しょうゆを加えて味を調え、水溶き片栗粉を加えて火を止める。
次回は、本田さんが常備しているという「かたゆで小豆」と「あんこ」のレシピを教えてもらいます。
取材・文=大門恵子(ハルメク編集部) 撮影=公文美和 スタイリング=本郷由紀子
※この記事は雑誌「ハルメク」2022年2月号を再編集し、掲載しています。
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