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- 50代からの片付けは「ラクな収納」で無理なくキレイ
50代からの片付けで大切なことは、体力的にも精神的にも無理なく物を出し入れできる「ラクな収納」にすること。キレイな家をキープし、10年後、20年後の暮らしをラクにする収納ワザを、シニア世代の片付けに詳しい橋本麻紀さんに教えてもらいました。
今の心地よさ、そして「10年後の安心・安全」のために
橋本さんがシニアの片付けコンサルタントとして活動するきっかけとなったのは、認知症の義母の介護経験だったそう。
義母の介護をする中で、50代のうちから体力、気力、握力、視力の低下に対応できる収納にしておくことの大切さを痛感したという橋本さん。
「長年続けてきた自分なりの収納ルールがあったとしても、年を取るにつれて、高いところにある物が取りづらくなったり、寒い部屋には足が向かなくなったりと、今までのルールが合わなくなってきます。元気なうちから、自分にとってラクな収納に調整しておくことが大切です」
片付いていない家の3つのリスク「不便・危険・ムダ」
50代からの片付けは、単に「今の心地よさ」を得るためだけのものではなく「10年後の暮らしの安全・安心を手に入れることにつながる」と橋本さんは言います。
片付いていない家での暮らしは体に負担がかかったり、転倒の危険が生じたりするだけでなく、お金のムダを生む可能性もあります。
- 買い置きを忘れて、無駄買いしてしまう
- 物が見つからず、探し物でヘトヘト
- 物を出し入れしづらく、足腰に負担
- 物が落下しやすく、地震のときに危険
- 床に物があると、転倒の危険も
- 掃除がしづらく、ほこりがたまりやすい
こうしたリスクを避けるためにも、50代からの片付けは「10年後も安心・安全で暮らせるか」という視点を持ちましょう。
ラクな収納のポイントは、物の配置と収納する入れ物
橋本さんによると、家が片付かない原因は、しまったものの出し入れがしづらかったり、動線に合っていなかったりするため。「ラクではないから続かない。自分にとってのラクが見つかればキレイは維持できます」とのこと。
“ラク探し”は、まず自分が家の中のどこで何をしているか、動線を洗い出してみることから始めます。次に、生活の中で不便だと感じていることを振り返り「動線に合った物の配置」をイメージします。
例えば、郵便物やチラシを下駄箱の上に置きっぱなしにしがちな人は、ハサミとゴミ箱を玄関に置けば、捨てるべきかすぐに判断できて置きっぱなしが防げます。ソファに座ってテレビを見たり読書をしたりする人なら、ソファの横に棚やテーブルを置き、リモコンや本を収納する、といった具合です。
収納は軽くて見やすいものを選ぶ
物の配置と同様に「収納する入れ物」も重要です。洋服の収納に押し入れ用として売られている衣装ケース(奥行きが約74cmの引き出しタイプ)を選ぶ人も多いと思いますが、「意外と重くて、加齢に伴い引っ張り出すのがだんだん難しくなり
「軽い不織布やナイロン製のケース(100円ショップなどで購入できる、フタのない薄手の整理収納仕切りケース)を棚に並べると、中身が一目瞭然で出し入れがラクです。また、布団ケースのような形状で取っ手がついている小さいサイズのものも季節外の衣類などの収納に便利。万が一足の上に落としても、重いプラスチック製ケースのようにけがをする心配がありません」
そのほか、乾物など使いかけの食品のほかアクセサリーや小物など細かいものは、透明なジッパー付き保存袋を活用すると便利です。
快適が続く50代からの収納のポイント
橋本さん流の「ラクな収納」のポイントはこちら。これ以外でも、自分にとっての“ラク”はどんな収納か、ぜひ考えてみてください。
ポイント1:使う物は使う場所へ
例えば「リビングでメイクする方がラク」なら、メイク道具はリビングに。
ポイント2:使い勝手がよければOK
例えば、ごみ箱は紙袋で代用。汚れても捨てればいいのでラク。
ポイント3:収納スペースに“余白”をとっておく
余白があると、頂き物など急に物が増えたときにも一時置き場として使える。
ポイント4:「開けづらい扉」はやめる
収納扉が開けづらくなってきたら、軽くて滑りがいいカーテンに変える。
ポイント5:使う物をまとめて「セット収納」に
お葬式で必要な物など、一緒に使うものをセットで収納しておくと、外出前にラク。
ポイント6:洋服の収納はフタなし&軽い&透明なものに
押し入れ・クローゼットの収納ケースは、見やすく出しやすいことが大事。取っ手付きが◎。
ポイント7:洋服はハンガー収納に変える
洋服は洗濯後、ハンガーに干したまましまえば、畳む手間が省ける。
物の出し入れがラクな“ゴールデンゾーン”とは?
キレイに片付いた状態を維持するためには「出し入れしやすい場所に収納すること」も大事です。今は踏み台を使えば取り出せている物も、数年後には足腰が弱ってしまい、出しっぱなしになってしまう可能性があります。
上のイラストにまとめたのが、橋本さんがアドバイスする物の出し入れがラクな“ゴールデンゾーン”。たとえ収納スペースに空きができたとしても、出し入れしやすい場所に物をしまうというのが鉄則です。
「一気にすべてを片付ける必要はありません。今日はキッチンの引き出し、来週は食器棚……と始めやすい場所から取り掛かり、見直した結果使いづらかったら、再び見直す。これを繰り返していくことでキレイを維持できるだけでなく、ひいては最後まで自立して暮らせる家に整っていくはずです」
教えてくれたのは…
橋本麻紀さん
はしもと・まき シニアの片づけコンサルタント、福祉住環境コーディネーター、整理収納アドバイザー。出版社勤務後に独立。認知症の義母の介護経験に基づいた「シニア世代にやさしい片づけ」に定評がある。主な著書に『60歳からの笑顔で暮らせる片づけ術』(河出書房新社刊)。
取材・文=小林美香(ハルメク編集部) イラストレーション=福田玲子 撮影=門間新弥 撮影協力=木村眞理
※この記事は「ハルメク」2019年5月号に掲載された内容を再編集しています。
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