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更新日:2023年12月26日 公開日:2020年07月17日
近藤典子さんの片付け術・1
高齢親の実家の片付け、よかれと思って手伝ったら仲が険悪に……。気持ちを害さず円満に進めるにはどうしたらいいのでしょうか。「4つのステップで話し合うことが大切」と住まい方アドバイザーの近藤典子さん。実際に読者が実践した片付けをご紹介します。
近藤典子さん
こんどう・のりこ 住まい方アドバイザー。ハルメク片づけ大賞・審査員も務める。著書に『暮らしを整える 住まい方ハンドブック』(東京書籍刊)他。
高齢になると、少しの段差でもつまずいてしまうし、物が多いと掃除をするのも管理するのも大変になります。
子どもからすれば、使わない物やゴミは処分して、安全に快適に暮らしてほしいと思うのに、なかなか物を捨てられないのが親世代の特徴。片付けの進め方を間違えると、親も意地になって、何も処分できない状態になりかねません。
「みなさんの親御さんは、戦後の物のない時代を経験した人も多いはず。洗濯機や冷蔵庫、テレビなどの家電をはじめ、物を手に入れることによって、豊かさを実感してきた世代です。一つ一つの物に、それを手に入れたときの物語があります」
そう語るのは、2000軒以上のお宅の片付けを手掛けてきた、住まい方アドバイザーの近藤典子さん。
「今使っていなくても、いつかまた役に立つという思いもあります。『捨てる物はない』と思っている人に『捨てなさい』と言っても、それはなかなか難しいことです」
以前、近藤さんが片付けに行ったお宅でのこと。立派な家に似合わない、ぼろぼろの茶だんすがあったので、不思議に思って聞いたところ、そのご夫婦は駆け落ち同然で一緒になって、最初に買ったのが、その茶だんすだったそう。今でも捨てられずにいるのだとか。
「片付けは、その人にとって心地いい空間をつくること。それが実現できれば、無理に物を捨てなくたっていいんです。親子で話し合って一緒に片付ける。その過程で親の人生を知ることができるんです」と近藤さん。
「私自身、義母と一緒にアルバムの整理をすることで、義母の人生を知ることができました。子どもたちにとっても、懐かしい物が出てきて、忘れていたことを思い出すこともあります。老い支度を“終活”と呼ぶそうですが、実家の片付けは、物を通して親と子が縁を結び直す “縁活”だと、私は思っています」
スムーズに実家の片付けを進めるコツは、相談・計画・記録の3つです。
1.身内に連絡する
きょうだいが何人かいるなら、必ず片付ける前にきょうだいに連絡しましょう。「欲しかった物を勝手に処分された」と、あとでトラブルになることもあるからです。事前に連絡してから始めましょう。もちろん親にも相談すること。
2.役割分担を決める
片付けることが決まったら、誰が何をするか役割を決めます。実際に片付けに参加する人、ゴミ出しをする人、必要とする人に送る人、遠くに住んでいて片付けには参加できないけれど、片付けにかかる費用を負担する人などです。
3.どのくらい時間をかけるか計画を立てる
片付けをどのくらいの期間で行うのかで費用も違ってきます。短期間ですませたいときは、不用品の処分に費用がかかることもありますが、長期間かけるなら、ごみの収集日に合わせて作業することもできます。
4.予算を確認する
不用品の処分費用、きょうだいが親の家に行くときの交通費、譲る人への運搬費など、片付けには意外とお金がかかります。片付けに行った人がすべて負担することにならないように、費用をどうするか話し合っておきましょう。
5.記録をとるようにする
片付ける前に家の中の状態を撮影し、何を処分するか、何を誰に譲るか記録しておきます。「あれはどうしたんだっけ?」「誰に譲ったんだっけ?」ということもなくなりますし、身内との意思疎通にも役立ち、トラブルが避けられます。
家族への連絡・確認が済んで、片付けの実施スケジュールが決まったら、次は親との調整です。
「もう使わないでしょう?」「こんなゴミ早く捨てたら?」と一方的に決めつける進め方では、物を捨てたくない親と対立するばかり。あくまで話し合いを元に、「捨てる」のではなく、「快適な空間をつくる」ための片付けを始めましょう。
片付けは心地いい空間をつくるためのもの。親は今後どう暮らしたいのか、子どもはなぜ実家を片付けてほしいのか、親子で話し合いましょう。そうすれば、片付けをどこから進めるべきか、何が必要なのか、方針が決まってきます。
次に、親の希望に合わせて、それぞれの部屋をどのように使っていくか決めます。例えば子どもたちが泊まる部屋とか、みんなが集まって食事する部屋など。そうすることで、その部屋に何が必要で、何を処分しなければいけないかが、わかってきます。
親の希望通りの部屋にするには、家具をどう配置したらいいか、物の配置を計画書にまとめて、親と相談しましょう。何を処分すればいいのか明確になり「望んでいた空間ができるなら」と、親の理解を得やすくなります。不要な物を譲る先や業者も検討しましょう。
洋服や食器など、アイテムごとに「必要な物」「処分する物」「迷っている物」に分けます。このとき大事なのは、残しておきたい物から選ぶこと。処分する物から選ぶと進みにくくなります。譲る物があればまた別に分けておきましょう。
これらの実家の片付けのコツを踏まえて、ハルメク読者の中山さん宅で片付けを進める様子を見ていきましょう。
▼実践した人
母:中山綾子さん・84歳
娘
長女:芳江さん・59歳
次女:澄子さん・56歳
三女:正美さん・52歳
※名前はすべて仮名です
一昨年に夫を亡くし、一人暮らしをしている中山さんの住まいは、4LDKのマンション。部屋数も収納場所も多いことから、物がどんどん増えていったと言います。
3人の娘さんやお孫さんなど、多いときには15人ほど集まるにもかかわらず、広い居間にも台所にも物が山積みに。
「でも、私たちが片付けようとしても母は嫌がるんです」と長女の芳江さん。
南に面する居間は日当たりがよく、ベランダに向いた席が中山さんの定位置。ひざが悪いこともあり、ほとんど一日中、そこに座って過ごしています。
▼中山さん宅の間取りの一部
親子で話し合った結果、「大勢が集まってもゆったりくつろげる居間」「席に座ったまま、物が取りやすいコックピットのような空間」が、中山さんの希望だとわかりました。
さらに近藤さんと娘さんたちが注目したのが寝室。家具と物が多く、安全面が心配です。「安心して眠れる空間にしましょう」と提案しました。
こうして、今回の片付けの方針が決まりました。
▼中山さん親子の希望
続いて、近藤さんのアドバイスを受けながら、物の配置を部屋ごとに整理していきます。出来上がった計画書がこちら! 計画書には「中山家大改造作戦」などタイトルを付けると、自然とやる気が出るそうです。
果たして、中山さんの希望通りの快適な空間は作れるのでしょうか? 次回は、寝室の片付けの様子をご紹介します。
取材・文=中川いづみ 撮影=安部まゆみ 構成=野田有香(ハルメク編集部)
※この記事は雑誌「ハルメク」2019年7月号に掲載された内容を再編集しています。
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