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もっと光を
ゲーテの有名な最期の言葉とされていますが、真実はどうなのでしょうね。
人間はおよそ明るい場所が好きです。よほど鬱屈してマイナス思考に落ち込んでいるとき以外は、風が流れ、光が降り注ぐ、穏やかな場所を心地よいと認識しているようです。
不謹慎な話で申し訳ありませんが、富士山のすそに広がる広大な樹海、そこは自殺者が多く訪れる場所です。そこで人生の最期を迎える人は、必ず木の下の光が差し込む少しくぼんだ場所を選ぶそうです。やはり、もっと光をです。
いろいろな土地を旅するときに、史跡名所もおろそかにしてはいませんが、その土地の気候風土に適した家屋に興味を持ちます。
家屋は、気候風土などの自然現象から居住者を守り、なりわいに適した様式を持ち、居住人数によりおおよその形大きさが決まってきます。
暮らし方いろいろ・日本編
北海道のニシン御殿の大勢の働き手が住み、取引相手とも会談できる立派な部屋を内蔵する様式。
南部地方の古くから働き手としての馬も、家族と共に大切に寒さから守り生活する、南部曲がりや。
京都の間口が狭く奥に長い町屋作りの上に吹き抜ける、竃あたりから降り注ぐ天窓の光。
北からの風を背後の山で遮られ南の海に向かい、漁具や船を階下にしまいこむ京都府・伊根の舟屋の解放感。
風通しを考慮し、床下や軒を深くすることで南の気温をやり過ごす沖縄の家屋様式。
国内の家屋だけでも、いくつも人の暮らす知恵がうかがえます。
暮らし方いろいろ・海外編
その他訪れた場所で、家屋の中に光を取り込む工夫デザインが斬新と感じたのが、マレーシアのマラッカです。
あのフランシスコザビエルが、日本に向けて出港した港のある町です。気温は高く、湿気も多い港町特有の商家の家屋様式です(ベトナムにも似た家屋がありますが、海を隔てながらも文化圏としては共通項なのでしょう)。
マラッカの通りに面する商家などでは、玄関を入ると店があり、奥に通じる廊下が伸びます。その廊下と奥の部屋の間が、緑多い庭の構造になっていて光と風が通り抜けています。
まるで地理的に離れた場所なのですが、家屋内に光を取り入れることではイタリアのポンペイを思い出します。
豪邸ですが居室が取り巻く真ん中に、スクエアの解放があります。中心に空からの光を受けて噴水が設置されている様子は、多少の違いがありながらマラッカの住居と重なる発想を感じます。
ヨーロッパの街中でも間口から奥に入ると、共有スペース的な庭が存在します。これも光や風を取り込むと同時に、かつては馬や馬車をとめておく場所だったのだろうと思います。
素人の発想です…
建築的にも、美術面でも、歴史に関しても……。すべて素人考えですが、人間は光が好きなんだなと思った次第です。
素人がつらつらと申し訳ありません。
しかし、家屋にとどまらず人の心にも光と風を。そして人と人とのかかわりにこそ、もっと光を、風を、と思うのですよ。だって、人間は光が好きなんですもの。
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