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- 樺太アイヌの闘いと冒険を描いた傑作『熱源』を読んで
読書好きな上野さんが、川越宗一著『熱源』を読んだ感想をつづってくれました。戦後、アイヌ民族の若者たちが強く生き抜く姿が描かれています。
1945年の樺太を舞台にしたアイヌ民族の物語
川越宗一著『熱源』を読んだ感想を書きたいと思います。私はまず、題名の『熱源』って何かしらと思いながら本を開きました。時代に翻弄されつつも故郷の文明を守り、生きる意義を探し求める主人公たちのエネルギ-を表しているようです。
物語の舞台は、1945(昭和20)年の樺太です。北海道の宗谷岬から43km離れた所にあるサケをつるしたような形の島です。主な産業は漁業です。
主人公はアイヌ民族の「ヤヨマネクフ」、日本名は「山辺安之助」です。樺太生まれのヤヨマネクフは1945年のソ連による樺太占領で樺太を離れ、北海道に移り住み、いつか故郷に帰りたいという希望を果たすため、日本名を名乗っていました。
早くに両親を亡くし、アイヌ民族のアツヤエークが養父です。アツヤエークの長男チコビロー、同じくアイヌ民族のシシラトカとは、村一番の美女キサラスイをめぐって戦います。ヤヨマネクフ、シシラトカの幼なじみの千徳太郎治は、和人の父とアイヌの母をもってます。
キサラスイは、大人びた秀麗な眉目の17歳の乙女で、やや硬く艶やかな黒髪は幅広の鉢巻きで優雅な整えられ、アザラシの皮で作った銀色の衣に、飾り金具を下げた帯を締めています。彼女は五弦琴(トンコリ)の名手です。
そして、キサラスイはヤヨマネクフを選び、結婚します。時は1886(明治19年)。コレラ、種痘がはやり、キサラスイは種痘で死んでしまいます。男の子1人の残して。
もう一人の主人公はポ-ランド人のブロニスワフ・ビウスツキです。ブロニスワフ・ビウスツキはロシア皇帝暗殺計画に巻き込まれて囚人として、樺太送りになってしまいます。過酷な囚人生活の中、ヤヨマネクフと知り合い、助けられ、樺太で生きる「熱」をもらうのです。ブロニスワフはアイヌの文明についても興味をもち、研究します。ヤヨマネクフとの交流が始まります。
4人の男たちが未来のために学校をつくる
ヤヨマネクフ、シシラトカは36歳に幼なじみの千徳太郎治は25歳になります。ヤヨマネクフは考えます。アイヌ人は文明に潰されて滅びるのか、呑まれて忘れられるのか、どちらかのときの訪れを待つしか自分たちにはできないのかと。そのとき、「熱」が生じます。
「違う!」道は自分で見つけるものだ。自分が選び取るものだ。自分たちを追い詰める幻想に勝ち、叡智を手にすること。知恵があれば、亡くなった妻を救えたかもしれない。また、文明の力を得ることが大切だと考え、学校をつくることはその始まりに思えたのです。
「学校をつくる」という理念の基に、ヤヨマネクフ、シシラトカ、千徳太郎治、そして、ポ-ランド人のブロニスワフ・ビウスツキも加わり、4人のいい男が巡り合います。それぞれ巡り合うのが運命であったかのように。
文明を守り、妻を愛し、子を愛し、正義を貫く男の生き方に私は感動しました。その元となる、「熱」がそれぞれの男の中に燃えているのだと思いました。題名の謎が解けました。
アイヌの女性の服装
他にもアイヌの美しい女性が登場します。琴の音と共に美しさを想像するだけでも夢中になる本でした。
長い歴史の中、二葉亭四迷や、大隈重信、金田一京助らも登場し、新しい視点で楽しめます。
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