落語自由自在31

オンラインで生配信「桂文治一門会」落語会

公開日:2020.07.22

落語が大好きなさいとうさんの落語会体験記。落語を聞いて笑うことが、さいとうさんにとって元気の源なのだそう。今回は「文治一門会」のオンライン配信の寄席の様子を落語ファンならではの視点で紹介してくれました。

桂文治一門会の紹介

今回は、桂文治師匠と3人のお弟子さんの有料オンライン落語会です。文治師匠は私の家のご近所にお住まいで、行きつけのお店も知っているので、とても親しみがわいております。

前座の空治さんとりょう治さんは、師匠のTwitterにしばしば動画で登場され、いわゆるイケメンですので、「文ジャニ」と呼ばれ人気があります。まだ二人の落語は一度も聞いてはいませんが、なぜか期待が高まります。

一番弟子の鷹治さんは、この2月に神田松之丞さんが伯山を襲名した披露興行で大番頭として大活躍をしました。その模様を配信した「神田伯山ティービィー」で一躍その名を知られ、人気を獲得したのが文治師匠です。師匠の満面の笑顔が素敵、それをスマホの待ち受けにすると幸せになれると若い人たちが言い出して、さらに人気に拍車をかけました。

そういえば、師匠の師匠十代目文治さんも、「ラッキーおじさん」として有名でした。ただし、それは、当時は常に和服姿で歩いていた師匠に出会うと、幸福になれるという都市伝説でした。私もずいぶん前に池袋駅でお会いして、すごく幸せな気分になったことを今でもハッキリと覚えております。

桂文治師匠のプロフィール

1986年4月 十代目桂文治に入門 桂がた治となる
1990年6月 二ツ目昇進 二代目 平治になる
1999年5月 真打昇進
2012年9月 十一代文治を襲名

受賞歴

1994年 NHK新人演芸大賞
1997年 北とぴあ大賞
1998年 林家彦六賞
2009年 第64回文化庁芸術祭大衆芸術部門において新人賞を受賞
その他、数々の輝かしい受賞歴あり

 

「真田小僧」 空治

「真田小僧」 空治

悪知恵のついた小生意気な男の子が、父親に小遣いをねだりますが、もらえそうにないので一計を案ずる噺です。さて空治さんはどのように演ずるのでしょうか?

師匠の持続化給付金の手続きをしてあげましたので、100万円貰ったら50万円あげると言われましたが、そんなにはもらえませんのでお断りしました。

次にご飯屋さんに行ったときは、10万円あげると言われました。そんなにいただいてはと申し訳ないと思い、それもお断りしました。

最後は、もう1円も要りません。こうして師匠に落語を教えていただき、高座に上がれるのですからと、「真田小僧」の逆パターンを言ってから、噺に入りました。途端に声が大きくなり、元気のいい父と子のやり取りが始まります。演じ手がやたらに声を張り上げると、聞いている方は疲れます。緩急あると聞きやすくなるのですが、そのあたりはこれから勉強ですね。

 

「鈴ヶ森」 りょう治

「鈴ヶ森」 りょう治

間抜けな泥棒の見習いが、泥棒頭と追いはぎの実施訓練をするという噺ですが、りょう治さんは空治さんに輪を掛けて元気がよくて、絶叫型高座とでもいうのでしょうか? 驚きました。コロナでずっと仕事がなく、久々の高座でしたので、きっとテンションが上がってしまったのでしょうね。鈴ヶ森の深夜の不気味さを、抑えめの声で表現してほしかったのですが、次回に期待しましょう。

 

「悋気の独楽」 鷹治

「悋気の独楽」 鷹治

二つ目になって4年だそうですが、実は鷹治さんの噺を聞くのも初めてでした。女性の悋気(りんき・嫉妬のこと)がテーマですが、登場人物の描き方が丁寧で、落ち着いた高座に好感が持てました。二人の女性の演じ分けも上手で、ちょっと五代目圓楽師匠をほうふつとさせる部分があり懐かしかったです。他の演目も聞いてみたくなりました。

 

「妾馬」 文治

「妾馬」 文治

「妾馬」は別名「八五郎出世」と言われるおめでたい噺なので、よく高座にかけられます。私が書いている「落語自由自在」のシリーズでも「立川志の輔独演会」で取り上げました。この演目をする噺家さんは、たいがい袴をはいて登場します。

柳家小せん師匠の場合は、途中で実際に袴をはいてみせる演出をしますが、文治師匠は袴をはかず、噺の中で説明をしました。がさつな八五郎が母を思い、妹を思うシーンは涙を誘います。最後は八五郎が出世をするのですが、志の輔師匠演ずる八五郎は出世を断りますので、演目は「八五郎出世せず」です。

文治師匠をはじめほとんどの師匠は、出世を受け入れ喜びます。同じ噺でも演者によって表現はさまざまで、落語の奥の深さを感じる一席でした。

 

さいとうひろこ

趣味は落語鑑賞・読書・刺しゅう・気功・ロングブレス・テレビ体操。健康は食事からがモットーで、AGEフードコーディネーターと薬膳コーディネーターの資格を取得。人生健康サロンとヘルスアカデミーのメンバーとなり現在も学んでいます。人生100年時代を健康に過ごす方法と読書や落語の楽しみ方をご案内します。

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