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- 旅の準備(1)クルーズにかかるお金と長旅への覚悟
生まれも育ちも埼玉県。海への憧れを、66歳にして叶えた松本悦子さんの北半球105日間のクルーズ旅行記をお届けします。今回は、説明会に行って即申し込みをした心境を語ります。
いざクルーズ申し込み、って、いくら必要?
参加した説明会の場で、そのまま「第94回北半球1週クルーズ」を申し込んで数日後、正式な申込書と代金の振込関係書類一式が送られてきました。その他にも、パスポートの有効期限などの確認事項や健康面の問診票、部屋タイプの申込書など、さまざまな細かい書類が入っていました。
部屋は1人部屋、2人部屋、4人部屋(窓あり)、4人部屋(窓なし)にするか、どの階数、二段ベッドを選ぶベッドの指定など、いろいろな選択肢がありクルーズ代金に差が出てきます。
私は4人部屋(窓あり)、ベッド指定なしに決めました。
さっそく申込書、関係各書類を仕上げて、このクルーズの取り扱い旅行会社ジャパングレイスに送付しました。次にクルーズ代金に加えて、寄港地ツアー代金、雑費等合わせて250万円になることを計算。私名義の定期預金より、普通預金通帳に移動! クルーズ代金156万5164円を振り込みました。
後日、寄港地で参加できるツアーの分厚い本が届き、24寄港地ツアー中22のツアーに申し込み、67万4000円をクルーズオプション代として振り込みました。
船を一度離れて参加するオーバーランドツアーの、5泊6日のマチュピチュは特に高額。でも、一生に一度は行きたいと思っていた場所なので、惜しむ気持ちはありませんでした。
他に、クルーズ105日のお小遣いとして、USドルとユーロに20万円分を換金して、貸金庫に残っていた500ドルも加えて用意。
クルーズ代金の振込等を素早く行動することは、私自身の不安を打ち消す原動力になるなあと心を覗きながら、テキパキと動いていました。
不安をなくすために用意した、2冊のノート
まず、私はこのクルーズの諸々のメモ、忘備録として1冊のノートを用意しました。
説明会で聞き込んだ情報、便利グッズ(100円ショップで十分間に合うもの等)、春夏秋冬それぞれの衣類、下着類、靴、化粧品、生活雑貨等、説明書を読みながら、心弾ませて思いつくまま書き込んでいきました。常に頭の中は、青い海、異国の街並みを思い浮かべながら。
そして大きな段ボールを空き部屋に用意して、とりあえずそれらのものを集め始めました。
このノートは、クルーズにも持参して、旅の仲間と交換した名刺を最後のページから張り付けて住所録にしたり、講座や教室のメモを取ったり、連絡事項を書いたり……と便利に活用しました。
もう1冊用意したのは、夫用のノートです。夫のノートに向かうときには、もしもの時の一人暮らしのための夫の練習だ、たった105日間の限定だからと自分に言い聞かせながら、生活全般を1週間、1日と思い浮かべ、困らないようにこまごまと書き込みました。
ステップ1:衣について
基本的にクローゼット、タンスは日頃から各自で管理していたので特別な指示、指導はなし。しかし、洗濯機の使い方は洗剤、柔軟剤等、含めて何回か一緒に実地訓練をして、洗濯物の干し方、たたみ方等も理解してもらいました。
ステップ2:食について
米のとぎ方→電気釜の使い方・みそ汁の作り方・そば、うどんの茹で方+汁・保存容器の場所+使い方等を気の付く限り書き込みました。冷蔵庫に常備しておく物(牛乳・納豆・豆腐・野菜・果物)や海苔・ジャム・ふりかけ・インスタントのみそ汁100食・野菜ジュース等の保管場所を記入。
ステップ3:住について
夫は自治会内で市の清掃管理の委託を受けていたので、ごみの分別、曜日の把握、出し方はプロ並みです。加えて掃除機は日頃から担当なので、ここもひと安心です。でも、生ごみの取り扱いは初心者。これは、庭のコンポストへ入れるようにと伝授しました。そしてトイレの清掃も、時期と仕方を説明してメモをドアに貼っておきました。
ステップ4:万が一に備える。
もしものことがあったときのことも、伝えておかなくてはなりません。
まずは近所・親戚・知人等の冠婚葬祭について。ご霊前・ご仏前袋の保管場所・金額の目安・供物。特に私の母が95歳で存命だったため、この点は考慮しなくてはなりませんでした。
他にも、私の大切にしている鉢物の花・5坪ほどの畑の管理、手入れ等思いつくままに書いて夫に渡しました。
結婚して44年。子育て、夫の仕事関係のお付き合い、親兄弟との付き合いなどなど、「苦労話は、本が1冊書けるぐらいあるわよ」なんて、女友達と茶飲み話で言っていました。でも改めて振り返ると、夫の大きなサポートがあればこそだったと、しみじみと反省……。
未知の105日間のクルーズに心躍らせながらも、あれこれ不安なことを考えている私以上に、夫は72歳にして初めての一人暮らしに予想の付かない大きな心細さと不安を持っていたと思います。
そうそう。夫や私のもしもの時のことがあったときのことも想定して、長男とも相談して書いておきました。ノートを開くと、私が死んだときのための文言があります。
「葬儀は家族葬にして、遺骨は海に散骨希望。親戚・友人・関係各サークル等に下記のような挨拶文ではがきを出す。
『松本悦子(66歳)は○月○日に○○○○で○○のため死亡いたしました。
本人の希望により家族葬という形で見送りました。
4月12日地球1周のクルーズに横浜から出航いたしましたが、
このような形で終わりましたが、本人は心に翼を付けて風になって
海の上を、大空を幸せに飛んでいる事と思います。
生前故人が皆々様より賜りましたご厚情に心から感謝申し上げ
略式ながら文面を持ってご挨拶申し上げます (夫の名前)』」
人生でただ1度、清水の舞台の2倍も3倍もの高さから飛び降りる決心で行く105日のクルーズです。何があっても途中では帰らない、北半球1周を、と決意していました。
次回は、旅の準備(2)。クルーズの洋服について書きます。
▼▽松本さんのクルーズ体験記はこちら▽▼
第1回 私にもできた!北半球105日クルーズの旅
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