落語会体験記

落語自由自在14~横濱小せん会・夏の陣~

公開日:2019/10/22

2

2019年7月に「横濱小せん会」に行ってきました。年2回横浜にぎわい座で開かれる小せん師匠主催の会です。前回は2月でしたので、この会は夏の陣としてご紹介いたします。

落語自由自在14~横濱小せん会・夏の陣~

期待のニューフェイス 鈴々舎美馬さん

落語会

「元犬」 鈴々舎美馬(れいれいしゃ みいま)
長い見習いを経て、明日より寄席の楽屋入りをする鈴々舎一門のニューフェイス美馬さん、今日は初高座です。

近頃女性噺家が増えましたが、美馬さんもその一人です。初めてとは思えない程の落ち着いた話しぶりに、まずは驚きました。時折笑いを取り、江戸屋猫八さんに教わったのかと思うぐらい、犬の鳴き真似が上手でした。また一人先が楽しみな噺家さんを見つけました。

失敗を笑いに変える、柳家あお馬さん

「黄金の大黒」(きんのだいこく) 柳家あお馬
小せん師匠の御弟子さんで、二月に二つ目になり早5ヶ月、ますます噺家らしい雰囲気になってきました。実はつい先日Twitterで会話をした時、僕は失敗した高座が中々忘れられなくてと嘆いていました。失敗を笑いに変える技術は、誰にも負けないの間違えではと、私は深読みしました。言い間違えや、言葉が出にくいことは、誰でもありますが、あお馬さんは前座の頃から、それを逆手にとって咄嗟に笑いに変えています。そんな時は、人気絶頂の喬太郎師匠に似ていると、私はいつも思っています。

「先日ホームパーティーに呼ばれまして、人狼ゲームをすると言うので、YouTubeで調べたら、市民と狼に分かれてそれを見破るゲームでした。あんまりやりたくはなかったのですが、折角呼んでいただいたので行きました。そうしたら、楽屋でよくお見かけする師匠方がいらしていて、その中にうちの師匠がいたんです。帰ろうかと思いました」で大爆笑です。
「市民と狼になって騙し合うんですよ。人間不信に陥りますから、あんまり師弟ではやりたくないですよね。案の定、師匠と泥仕合をしてしまいました」と、客席を笑わせ、テンポ良く話を進めていきます。

長屋の住人達を上手に演じ分け、大家さんとのやり取りも可笑しく、「こんちは~サイナラ~」でサゲるとは何とも楽しい「黄金の大黒」でした。

タブーネタもなんのそのの、柳家小せん師匠

「お血脈」 柳家小せん

「お血脈」 柳家小せん
「飲み会に出ただけでギャラが貰えたらいいですね。」いきなり、吉本の闇営業の時事ネタをぶち込んで笑わせます。「高座でやってはいけない話は、政治・宗教・プロ野球と教わりました。選挙が近いですが、高座であの先生に入れてください。なんて頼んだらおかしいですよね。さあ皆さん信ずる神に祈りましょう。これもどうかと思います。ここは横浜だから、ベイスターズの話しをしても、興味のない人もいますものね。だから、政治・宗教・プロ野球は駄目なんです。で今日は宗教の話をします」でドカンと笑いが弾けます。石川五右衛門がお風呂の中で歌ったりして、師匠ならではの脚色で、笑いっぱなしの楽しい「お血脈」でした。

さすがの小せん師匠でした

「唐茄子屋政談」 小せん

「この時期の小せん会は、夏真っ盛りですから夏の話『唐茄子屋政談』にしようとネタ出しをしましたが、こんなどんよりとした天気でね。去年は去年で台風直撃で、電車が止まったらいけないから、会はやるけど無理はしないでね。と、言ったら、みんな無理してくれなくて」で笑わせます。

「実は私も退院直後の夫に無理をさせられなくて、予約をしていたのに、師匠にお断りのメールをしてしまいました。ごめんなさい)」と一年前を振り返りながら、いよいよ「唐茄子屋政談」に入ります。この噺、情けは人の為ならずというのがテーマです。放蕩三昧だった若旦那が、唐茄子屋になり人助けをしたことで、おかみからご褒美を受け、親からも勘当を許されるという、言わば人情八百屋物語です。途中で唐茄子屋の売り声を、若旦那が練習するシーンは、若旦那の独白と売り声が交互に入り、新内の「蘭蝶」まで歌うという素晴らしい演出でした。心に染み入る絶品でした。

実は「唐茄子屋政談」は、以前別の話し手さんのものを聞いたことがありました。そのときは暗くて救いようのない噺に仕上がっていて、正直途中から耳をふさぎたいような気持ちになりました。しかし、話し手によって演じ方が多少違うので「小せん師匠のはどうかな?」ぐらいの気持ちで、あまり期待はしていませんでした。

でも、さすが小せん師匠。得意の喉を生かして歌ったりと盛り上げていました。貧しいおかみさんや子どもたちを見る目が温かくて、これでしたら何度でも聞きたいと思いました。同じ噺でも、演者によって随分印象が変わるものだと改めて思いました。

今後も、落語をレポートしていきますね。

 

さいとうひろこ

趣味は落語鑑賞・気功・テレビ体操・読書・トールペイント・美術館めぐり等。健康は食事からがモットーで「AGEフード・コーディネーター」の資格を取得、老化や病気の原因となるAGEを溜めない食事の仕方や調理の仕方をご紹介します。また、これから落語を楽しみたい方のためにその魅力もご案内します。

この記事をマイページに保存

\この記事をみんなに伝えよう/

ページ先頭へ