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- 死別のしかたで遺された者の気持ちが違う
50代で遭遇した6人との死別。大切な人を交通事故や、乳がんや胆管がんといった病で亡くし、大きな悲しみから立ち直っていく経験談。死別のあと、自身の身に起きる体調不良や、毎日繰り返される後悔の気持ちを綴ります。
加害者に対しての恨みと自分の弱さ
今日生きていることが普通のことだと日々生活しています。でもそれは本当に幸せなことなのですね。
いつもと変わりのない生活をしていた妹が、事故によって突然その命を奪われました。日に日に加害者に対して許せない気持ちが膨らんでいきました。人をあれほど憎んだことはありません。
そして私は妹の最後の姿に動転し、怖くて彼女に触れてあげることができませんでした。身体のどこかを撫でてあげればよかったのにできなかったのです。
「ちゃんとお別れできなくてごめんね」といつまでも思っていました。
私はどうなっているのだろう?
幼稚園時代からの友人 優子さんの葬儀後、間もなく妹が亡くなり、その直後から、私は激しい頭痛と下痢が続きました。体重はどんどん落ちていきました。何を食べても味が分かりません。じっとしていることができず1日中動いていました。死別後何をする気も起きなくなることがあると聞くけれど、私はじっとしていることができませんでした。疲れも感じませんでした。
悲しいとか寂しいとか、嬉しい楽しい。そういう感情もなくなった感じです。ただこんな時人は泣くのだろうと思っていました。自分がどこかに行ってしまったようでした。
“病人”にはならない人たちから力をもらう
まだ妹のことが頭から離れない時期に、犬を通じて仲良くなった富美子さんや父の病気がわかりました。
富美子さんは人工肛門と腎瘻をつけていましたが、調子のいい時はよくお喋りをしました。大切にしていた観葉植物を養子にと私が譲り受けました。あの明るさはどこから湧いてきたのでしょう。
緊急入院した時から父はとても落ち着いて見えました。身体の不調がありながら、たぶん後どのくらいと感じながらも、まわりへの気遣いは変わりません。父が笑うとみんなが楽しくなる。ユーモアのある会話で家族はもちろん、訪問医や看護師さんたちを笑わせていました。
私は富美子さんと父のためにできる限りのことをしたいと思ったけれど、逆に私が力づけられていました。笑顔って本当に人をあたたかくするのですね。
私がそばにいたら助かったかもしれない
これから夫婦生活を楽しみたいと思っていた夫との突然の死別は、私の人生を大きく変えました。夫は自宅で私が外出中に亡くなったので、その日夫のそばにいなかったことを後悔しました。もし一緒にいれば異変に気づき助かったかもしれない。その思いが毎日毎日繰り返し起こります。
こんなに早く喪主にはなりたくなかった。これから1人で生活できるのだろうか。今まで夫に頼っていたことを感じました。
楽観はしない 悲観もしない ただ受け入れるだけ
配偶者亡き後の手続きは突然だったので、とても忙しかったです。落ち着きかけた頃、闘病中の貴子さん(PTA以来の友人)から尾瀬旅行に誘われました。すでに抗がん剤治療のため髪の毛はほとんどなかったけれど、自然の中をたくさん歩きました。
霧の中で彼女は「私はすべて受け入れる」「あなたも受け入れなさいね」と言いました。握った手はとても細く骨ばっていました。でも力が込められていました。
この頃楽しいことも嬉しいことも感じ始めていましたし、したいことも出てきました。
私が少しずつ感情を取り戻すためにしてきたことを次回お話しいたします。
貴子さんがお気に入りだったティーカップで、今日も美味しい紅茶をいただきました。
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