実家の断捨離 その2~大量の思い出写真と着ない洋服

公開日:2023年12月16日

目に見えるモノと見えない思い

実家の断捨離 その2~大量の思い出写真

母が長期入院している間に、軽い気持ちで始めた実家の断捨離。退院後、私が片付けたキッチンを見て母がつぶやいた一言と、断捨離を進めるにつれて得た気づきとは。

持ち主以外では計れない価値

春先に骨折して車いすの生活となってしまった母は、キッチンに立つことはありません。

また、タンパク質や塩分の食事制限をしているため、毎日宅配の療養食が届きます。冷蔵で届けられる食事を、パッケージのまま電子レンジで加熱すればよいだけのTVディナーのような食事です。

ですから、もう料理をすることもないだろうと思っていました。

母が使っていたステンレス製のフライ返しやマッシャーは、今どきの軽くて取り回しのよい道具に比べるとお世辞にも使い勝手が良いとは言えず……。お鍋などにも傷をつけてしまいそうだったので、母が入院している間に軽い気持ちでこれらの道具を片付けてしまいました

その後退院し、母が家に戻って調理器具をしまっていた引き出しを開けたときのこと。思いもよらない一言が発せられました。

「ここにあった道具はどうしたの? まさか捨ててないよね? あれは結婚祝いとして当時の勤務先の人からもらった記念の品物なの」

持ち主以外では計れない価値
こんなものまで取ってありました

え~っ!? そんな話、初めて聞いたよ、そんなに大切なものだったのか……。という私の心の声。運よく私はこれらを捨てずに床下収納にしまっていましたので

「もちろん捨ててないよ。ほら」

と言って床下収納から取り出し、母の目の前に並べました。

持ち主以外では計れない価値
これがそんなに大切なものだったとは……

安心したようにうなずく母の姿を見て、私ははっとしました。

もし自分が留守にしている間に、掃除とはいえ家の中を勝手に整理され、大切にしていたものを捨てられてしまったら……。

きっと私は怒りまくるでしょう。

その品物がどれだけ自分にとって意味のあるものなのかは、その人でないとわかりません。

目に見える品物というだけでなく、そこにはさまざまな思いが込められているものなのだと思った瞬間、なんでも勝手に捨ててしまってよいわけではないなと反省しました。

事情を知っている“善意の第三者”(それは悪意の第三者かもしれない)

でも、家の中は片付けなければならないし、物を捨てるということに対して異常なほどに拒否感を抱いている母に任せておいても一向に進まないだろうし。

さてどうしようかと考えてみても、これは私一人では成し遂げることはできないかもしれないと諦めにも似た気持ちになるばかりです。

だからといって、このままにしておくわけにはいきません。

そこで事情を知る“善意の第三者”の登場です。

母の妹(私の叔母)に助けを求め、まず特に扱いに苦慮していたたくさんの写真の処分を手伝ってもらいました。

あれもこれもすべて取っておきたい母と、目の前にある写真に写っているのが誰なのかもわからない私との間に入って、自身の終活で写真の処分を早々に終えた叔母が作業してくれたことは、言葉にできないほどありがたかったです。

私が見てもわからない写真を、弟の嫁や、甥・姪が何年か先になって見たところで、そこに価値を見い出せるとは思えません。

それならば「こんなにたくさんの写真を残しておくのは彼らにとって負担を残すことになる」と母に言い聞かせ、その横で叔母はその写真にまつわる思い出話を母としながら、少しずつ処分の箱に入れていきます。

思い出をいったん目の前に並べて出すことで、気持ちの整理もつき処分することに少しずつ慣れていくように見えました。

断捨離では好きか・嫌いか、箱を準備して仕分けをするとよいとよく言われますが、実家の断捨離は捨てる・残すという機械的な判断作業をするということではなく、歴史の整理なのだなとひしひしと感じました。

母にとっての思い出の中には、娘である私の思い出も含まれるわけで、特に第一子であった私の写真はたくさんありました。

事情を知っている“善意の第三者”(それは悪意の第三者かもしれない)

私の写真なので自分で整理しようと思い、アルバムを広げてみました。

写真を眺めているうちに、どれだけ自分が愛されていたのかということを目の前に突き付けられた感じがしました。そして自分の幼かった頃のアルバムはまだ処分せずに取っておくことにしました。

事情を知っている“善意の第三者”(それは悪意の第三者かもしれない)
父が撮ってくれた写真
もうしばらく私の手元に残すことにしました

実家の断捨離はまだ始まったばかりで、先は長そうです。でもその都度新たな気づきがあります。

時間をかけて整理できる環境にある私は幸せだなと、これもひとつの気づきです。もし友人に実家の断捨離について意見を求められたら、私はこう答えると思います。

「できれば時間を作って、少しずつでも相談しながら進めていくのがよいかも。きっと何か見つかるはずだから」と。

■もっと知りたい■

堀井 あん
堀井 あん

バツイチ、子なしの独り身。母の世話のために勤めを辞めて実家に戻りました。還暦を目前にして、あれこれ考え始めた今日この頃。きっと同じようなことで笑ったり泣いたりしているだろうと思われるハルメク読者の皆さんと繋がれるといいなと思っています。Instagram

みんなの コメント

【PR】ブラトップでシルエット美人に!

ブラトップでシルエット美人に!

下着メーカーが本気でつくったブラトップ ♥ブラに比べ、しめつけ感の少ないブラトップはラクちんで大人気です!

2025.03.04
【PR】始めるなら相談できる「対面証券」がおすすめ

お金のこと、なんでも無料相談

資産運用、相続、ローンまで!お金の「よくわからない」をプロに気軽に相談できる♪

2024.12.17
【PR】鼻への重量感・違和感のストレスから解放!

「ふわっ」と軽いメガネ♥

メガネがずり落ちる・鼻の頭が重いなど、メガネのプチストレスにサヨナラ!あっと驚く程つけ心地抜群のメガネをぜひお試しください

2024.12.17
【PR】「朝まで熟睡」できない人、実はふくらはぎに問題あり?

夜中にトイレ…眠れない

就寝中、トイレに起きてしまう「夜間頻尿」。年齢を重ねるにつれて回数が増えていませんか?実は、夜間頻尿対策のカギは「ふくらはぎ」にあるのです!

2025.03.10
新薬の開発が相次ぐ。認知症は治療できる?

認知症の一歩手前のサインは?

MCI(軽度認知障害)は認知症の一歩手前の状態です。日常生活に大きな支障が出るほどではありませんが、次のような症状が出ます……

2025.02.07
認知症の早期発見に役立つポイントは

認知症予防は身近な生活習慣から

脳トレゲームで気軽に認知症予防。早期発見のポイントもチェック!

2025.02.25
【PR】部分入れ歯のウソホント!?正しいケアって?

部分入れ歯のウソ・ホント!?

部分入れ歯が不安定・外れそうで怖い…そんなお悩みは「ケアの仕方」に原因が!?間違えている人が意外に多い、部分入れ歯の「正しい使い方」を専門家が紹介します!

2025.03.12
【PR】「英語の学び直し」は私にぴったりの新習慣!

50代から「英語の学び直し」♪

「英会話ができるようになりたい」と、50代から英語を学び直す方が増えています!スキマ時間で簡単に英語学習ができるおすすめの方法は?

2025.03.14
投資初心者におすすめなのは対面証券?ネット証券?

初心者向け!お金の知識

仕事以外で「お金」をふやすために多くの人が資産運用をはじめています。初心者が知っておくべき、お金の「基本のき」を解説!

2025.01.08
【PR】美術館でお花見!?春爛漫をアートと食で感じよう

美術館で桜とアートを愛でる

東京国立近代美術館では、毎年人気イベント「美術館の春まつり」を開催!近代日本画の巨匠・川合玉堂 作・重要文化財《行く春》の公開など、期間限定の特別イベントです♪

2025.03.10
【PR】50代からの願いを叶える新しい資金調達術

50代~お金の増やし方

将来を見据えて、50代から「まとまった資金の調達」が重要になります。どんな選択肢があるか、ご存知ですか?

2024.11.20
【PR】タイプで分かる!ライフスタイル別レンズ診断

タイプ別!ぴったりの眼鏡

「近くのものが見えづらくなった」と感じる人は眼鏡の変え時かも!ライフスタイル別におすすめの眼鏡レンズを無料で診断♪

2025.03.10
【限定コラボ】職人技が光る!ハルメク×マエノリのセーター誕生秘話