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- 実家の断捨離 その2~大量の思い出写真
母が長期入院している間に、軽い気持ちで始めた実家の断捨離。退院後、私が片付けたキッチンを見て母がつぶやいた一言と、断捨離を進めるにつれて得た気づきとは。
持ち主以外では計れない価値
春先に骨折して車いすの生活となってしまった母は、キッチンに立つことはありません。
また、タンパク質や塩分の食事制限をしているため、毎日宅配の療養食が届きます。冷蔵で届けられる食事を、パッケージのまま電子レンジで加熱すればよいだけのTVディナーのような食事です。
ですから、もう料理をすることもないだろうと思っていました。
母が使っていたステンレス製のフライ返しやマッシャーは、今どきの軽くて取り回しのよい道具に比べるとお世辞にも使い勝手が良いとは言えず……。お鍋などにも傷をつけてしまいそうだったので、母が入院している間に軽い気持ちでこれらの道具を片付けてしまいました。
その後退院し、母が家に戻って調理器具をしまっていた引き出しを開けたときのこと。思いもよらない一言が発せられました。
「ここにあった道具はどうしたの? まさか捨ててないよね? あれは結婚祝いとして当時の勤務先の人からもらった記念の品物なの」
え~っ!? そんな話、初めて聞いたよ、そんなに大切なものだったのか……。という私の心の声。運よく私はこれらを捨てずに床下収納にしまっていましたので
「もちろん捨ててないよ。ほら」
と言って床下収納から取り出し、母の目の前に並べました。
安心したようにうなずく母の姿を見て、私ははっとしました。
もし自分が留守にしている間に、掃除とはいえ家の中を勝手に整理され、大切にしていたものを捨てられてしまったら……。
きっと私は怒りまくるでしょう。
その品物がどれだけ自分にとって意味のあるものなのかは、その人でないとわかりません。
目に見える品物というだけでなく、そこにはさまざまな思いが込められているものなのだと思った瞬間、なんでも勝手に捨ててしまってよいわけではないなと反省しました。
事情を知っている“善意の第三者”(それは悪意の第三者かもしれない)
でも、家の中は片付けなければならないし、物を捨てるということに対して異常なほどに拒否感を抱いている母に任せておいても一向に進まないだろうし。
さてどうしようかと考えてみても、これは私一人では成し遂げることはできないかもしれないと諦めにも似た気持ちになるばかりです。
だからといって、このままにしておくわけにはいきません。
そこで事情を知る“善意の第三者”の登場です。
母の妹(私の叔母)に助けを求め、まず特に扱いに苦慮していたたくさんの写真の処分を手伝ってもらいました。
あれもこれもすべて取っておきたい母と、目の前にある写真に写っているのが誰なのかもわからない私との間に入って、自身の終活で写真の処分を早々に終えた叔母が作業してくれたことは、言葉にできないほどありがたかったです。
私が見てもわからない写真を、弟の嫁や、甥・姪が何年か先になって見たところで、そこに価値を見い出せるとは思えません。
それならば「こんなにたくさんの写真を残しておくのは彼らにとって負担を残すことになる」と母に言い聞かせ、その横で叔母はその写真にまつわる思い出話を母としながら、少しずつ処分の箱に入れていきます。
思い出をいったん目の前に並べて出すことで、気持ちの整理もつき処分することに少しずつ慣れていくように見えました。
断捨離では好きか・嫌いか、箱を準備して仕分けをするとよいとよく言われますが、実家の断捨離は捨てる・残すという機械的な判断作業をするということではなく、歴史の整理なのだなとひしひしと感じました。
母にとっての思い出の中には、娘である私の思い出も含まれるわけで、特に第一子であった私の写真はたくさんありました。
私の写真なので自分で整理しようと思い、アルバムを広げてみました。
写真を眺めているうちに、どれだけ自分が愛されていたのかということを目の前に突き付けられた感じがしました。そして自分の幼かった頃のアルバムはまだ処分せずに取っておくことにしました。
実家の断捨離はまだ始まったばかりで、先は長そうです。でもその都度新たな気づきがあります。
時間をかけて整理できる環境にある私は幸せだなと、これもひとつの気づきです。もし友人に実家の断捨離について意見を求められたら、私はこう答えると思います。
「できれば時間を作って、少しずつでも相談しながら進めていくのがよいかも。きっと何か見つかるはずだから」と。
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