50代から始める“おてつたび”体験記
10回落ちても諦めない!59歳・元教師が「おてつたび」で得たもの
10回落ちても諦めない!59歳・元教師が「おてつたび」で得たもの
更新日:2025年12月04日
公開日:2025年11月19日
早期退職してリフレッシュ!新しい出会いを求めて
タマキさん(仮名・59歳)が長年勤めた小学校教員を早期退職したのは今年3月。
数年前に夫が急逝し、娘2人も大人に。一度リセットして「一人になった今、何をしてみよう?」という思いが静かに芽生えたと言います。
元々温泉が大好きで、車で箱根にもよく通っていたタマキさん。そんな折、テレビ番組で見たのが「おてつたび」でした。
おてつたびとは、お手伝い(短期アルバイト)と旅を組み合わせた人材マッチングするサービスのこと。
「温泉で働けば、毎日温泉に入れるかも?って娘と盛り上がって(笑)興味がわきました」
宿泊費をかけずに旅したり温泉に入れて、さらに報酬がもらえる――。何より、観光客としてではなく、その土地で生活し、土地の人と関われるという発想に惹かれたと言います。
10回落ちた…それでも諦めなかった理由
さっそく公式サイトから意気揚々と応募するも——なんと10回以上、マッチング不成立が続いたのだそう。
「若い人の方が有利なのかなと思って落ち込みました」
ほかの自身の予定もあり、参加できるスケジュールが絞られていた上、温泉地・接客業にこだわって応募していたのでハードルを上げてしまっていたのかも……とタマキさん。希望が通らない日々が続いたものの、「どうにか一度は体験してみたい!」と応募の仕方を見直したといいます。
- 行き先の幅を広げる(観光地以外の土地も候補に)
- 職種の幅を広げる(接客業に限らない)
- 応募理由を見直す(経験が少ないことも含めて誠意を伝える)
「最初は“教師しかしてこなかった自分”に引け目があり、何をアピールすればいいかわからなかったんです。でも、“こういう経験をしてみたい”“自分にはこういうことができるかも”と、前向きに書くように変えました」
そして迎えた11回目の応募——岐阜県の温泉リゾートホテルから「マッチング成立」の通知が!
「思わず声が出ました!」
初めての「おてつたび」は1か月の温泉リゾート暮らし!
滞在先は岐阜県高山市の大きな温泉リゾートホテル。
初めての体験ながら、期間はなんと1か月。以前から「おてつたび」受け入れ実績のある施設だったため、安心して挑戦できたといいます。
仕事内容はビュッフェ会場での配膳や片付け。朝食(6:30〜10:00)と夕食(16:30〜21:00)の2部制勤務で、昼間は自由時間。
「日中はほぼ観光に出掛けて、名所は全部まわれました(笑)」と振り返ります。
報酬は月10〜11万円程度。
「住居費はただ、生活費と観光費がまかなえて、家計の負担もなし。理想的でした」
「教師の経験」が、まさかここで生きるなんて
応募当初は、教師としての経験しかないことが不安だったタマキさんですが、長年の経験が思わぬ形で役に立ったと振り返ります。
「初対面でも物怖じせず、状況を見て動ける。丁寧な言葉遣いも自然に身に付いていたので、それが接客で役立ちました。子ども相手でも大人相手でも、人と関わるのは同じですから」
タマキさんの教育係は20代の若いスタッフ。
「『何でも教えてください!』『お願いします!』『ありがとうございます!』と素直に伝えることで信頼が深まりました」
職場には東南アジア出身のスタッフもいて、国際色豊か。社員食堂で昼食を一緒にとったり、仕事中にちょっとした雑談をしたり、楽しくコミュニケーションを取りながら過ごしました。
「居場所ができた」その感覚がうれしかった
ちなみに滞在は個室で、自分の時間も確保できたのがよかった点。ただしキッチンはなく自炊不可、社員食堂の利用時間は10〜17時と勤務時間外で使えないことも。
「暮らしは少し不便。でも観光では味わえない“生活する旅”の面白さがありました」と語ります。
タマキさんの場合、移動手段が車だったため、荷物を制限する必要がなかったのも安心材料。
「場所によっては、滞在する部屋に掃除や洗濯用品がないので、掃除用のコロコロと、室内干し用のピンチハンガーは必携です!」
無事1か月のおてつたびを終え、帰宅したとき、ほっとすると同時に、「あ、ちょっと寂しいな。家は落ち着くけど、もう少しいたかったな」と、少し胸がきゅっとしたのだそう。
おてつたび仲間は、20代〜60代まで年齢も目的も背景もバラバラ。だからこそ、遠慮なく話せる“仲間”になれたしパワーをもらえたと言います。
旅先に、自分の居場所が生まれた——そんな感覚でした。
2回目は北軽井沢へ。ご縁はどんどん広がる!
その後すぐに次の応募をして、お盆明けには北軽井沢のカフェで1週間のおてつたびが決定。今度は少人数の個人経営で、オーナー夫妻のもとで臨機応変な働き方が求められました。
「最初はいすの畳み方一つで注意されて焦りました(笑)。でも、毎日一緒に食卓を囲んで過ごすうちに打ち解けて、深いお付き合いになれました」
滞在後もLINEで個人的な交流が続き、10月には人手不足の3日間だけお手伝いをしに再訪。
「おてつたび先が“第二のふるさと”のように増えていくのが、うれしいです」
次は冬の山形へ。59歳、まだまだ“初めて”に会える
次のおてつたびは…山形県西川町。広報や町のお困りごとのサポートなど、
「寒さは苦手。でも、温泉がいっぱいありますし!」と笑います。
そして何より、観光では知り合えない人と仲良くなれるのが、おてつたびの醍醐味。
「一人だからこそ、できることがあるのですね。やってみたら、世界が広がりました」
一歩踏み出してみれば、50代からでも新しい扉はいくつでも開けるもの。人との出会いを楽しみに、タマキさんの旅は続きます。
おてつたびビギナーに贈る準備チェックリスト
- 応募理由は特技や目的を前向きに伝える
- 行き先や職種にこだわりすぎず、候補を広げてチャンスを増やす
- 事業者ページで受け入れ先の想いと仕事内容のレビュー評価を確認
- 立ち仕事やシフト制を想定し、自分の体力に合わせて選ぶ
- 地方は交通の便が悪いので車で行けると便利
- 場所によって洗濯や掃除用品、紙皿や飲料水を持参する
取材協力:おてつたび
https://otetsutabi.com/




