ハーブ研究家・萩尾エリ子さんが語る、ハーブの可能性

2023年05月06日

草花の不思議な力が人生の助けになる#2

ハーブは「言葉より語る力がある」萩尾エリ子さん

約40年にわたってハーブの魅力を伝え続けるハーブ研究科・萩尾エリ子(はぎお・えりこ)さんに、ハーブの魅力について聞く企画の2回目。 ハーブの持つパワーや、心身にもたらす可能性について教えてもらいました。

心と体を癒やしてくれる、“緑の気配”

お店の中には、いたるところに花の苗やドライフラワーが置かれ、色とりどりのハーブティーに目を奪われます。じっくり相談しながら選べる精油を求めて、くり返し訪れる人も多いそう。 

「ちょっと待ってね」と取材中、萩尾さんが庭の花を手早く束ねて手渡してくれました。ハーブと花で作る小さな花束は、「ノーズゲイ(鼻を喜ばせる飾り)」と呼ばれているそうです。顔を近づけるとふわりといい香り。

心と体を癒やしてくれる、“緑の気配”
「もらった方の負担にならず、言葉より語る力があるから」と、​​​​すぐに作れるよう、
輪ゴムやグラシンペーパーなど“花束セット”を常備しているそう。

「どんなに小さくても、植物には“緑の気配”があると思うんです。うまく言えないけれど、自分が生き物なんだっていう当たり前のことを思い出させてくれる気配というか」(萩尾さん)

店の入り口には庭で摘んだ花の一輪挿しが
店の入り口には庭で摘んだ花の一輪挿しが

考え過ぎてこんがらがった思考を解きほぐして原点に戻してくれる不思議なパワー。それが、弱ったり困ったりしたときの“手立て”になると萩尾さんは言います。

「緑の気配は、涼やかな木陰を思い出させてくれます。強い日差しに疲れた旅人が木陰で憩うように、緑の気配が心を休める手助けになることがあるんじゃないかしら」

真正面から組み合うと煮詰まってしまいそうな壁に当たったとき、萩尾さんは、ハーブを使って深い呼吸を心掛けているそう。

「ハーブティーを飲んだくらいでは困った状況が変わらなくても、一息ついて一歩引いて問題と向き合うことで、いい判断ができることもあるから、ね」と笑います。

人生100年時代、もっともっとハーブの力を伝えたい

コロナ禍を過ごし、ハーブの必要性をより強く感じるようになったという萩尾さん。免疫系に作用する香りや、ハーブでストレスを解消する手段を知っていることが、心身のサポートになる可能性がある、と言います。

人生100年時代、もっともっとハーブの力を伝えたい

「昔、ペストが流行ったときもヨーロッパでは薬草が多く使われました。薬草というと、ただ神秘的なものと思われがちですが、そうではないのよ。芳香療法の仕組みは、化学的にも解明されてきているんです」

もちろん医学は頼りになるけれど、としながら「心が弱ったとき、体が不調になったとき、頼れる“手立て”はたくさんあるほどいいでしょう」とにっこり。

「人生は決して平坦じゃない。長く生きていればいろんなことがあります。ハーブの力で少しでもお手伝いができるなら、こんなにうれしいことはありません」(萩尾さん)

荻野さんおすすめ!ハーブのおいしい取り入れ方

目にもおいしいフルーツハーブティー

目にもおいしいフルーツハーブティー

色鮮やかなウスベニアオイにレモンバーベナといちごをミックス。「果物を入れると香りも引き立つし、見た目もかわいいでしょう」

香りがごちそうになるハーブオイル

香りがごちそうになるハーブオイル

フレッシュハーブを刻んでオリーブオイルを混ぜた自家製ハーブオイルは、サラダに添えて。

萩尾エリ子さんのプロフィール

萩尾エリ子さんのプロフィール

ハーバリスト、アロマ・トレーナー。書籍、雑誌での執筆や講演を通じてハーブの魅力を伝えながら、諏訪中央病院にハーブガーデンを造る。現在も同病院で園芸ボランティアを務める他、諏訪赤十字病院でもアロマケアのボランティアを行っている。著書に『ハーブの図鑑』(池田書店刊)、『香りの扉、草の椅子』(扶桑社刊)など。
蓼科ハーバルノート・シンプルズ:☎0266-76-2282
※2021年時点の情報です。

取材・文=松尾肇子(編集部) 撮影=寺岡みゆき、蓼科ハーバルノート・シンプルズ

※この記事は、2021年6月号「ハルメク」の記事を再編集しています。


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