ブーケの花は生け方を変えれば長持ち&5倍楽しめる!
2023.09.242023年09月09日
プロに聞く!花を最後まで楽しむテクニック
秋が旬!縁起のいい菊の花を飾って部屋を華やかに
9月9日は「重陽(ちょうよう)の節句」。菊の花を飾ったり、菊酒を楽しんだりして長寿や無病息災を祈願します。お部屋に菊を飾ってみませんか? 第一園芸で「二十四節気の花あしらい」を担当する谷中直子さんに、モダンな菊の飾り方・楽しみ方を伺います。
お部屋が華やか!秋にぴったりモダンな「菊」
菊は古くから高貴な花として日本で親しまれてきた花です。
今では一年中出回る花ですが、最盛期は9~11月。「菊の節句」とも呼ばれる9月9日の「重陽(ちょうよう)の節句」は旧暦では10月上旬にあたります。
この節句では菊の花に綿をかぶせて菊の露をふくませ、その綿で体を拭いて穢(けが)れを祓(はら)い、菊の花びらを浮かせたお酒をいただいて長寿を願うなどの行事を行います。
こうした習わしからもわかるように、古来、菊には薬効があり、邪気を祓う霊力があるとされてきた、特別な花でした。それゆえに、仏花としてもよく使われることから、菊を敬遠される方もいらっしゃるかと思います。
しかし、現在では華やかな品種も増えて、ウェディングでも使われる花へと進化しています。
扱いやすさや日持ちのよさも抜群、見た目も素敵な菊は気軽に普段使いしていただきたい花の一つです。今回はそんな素敵な菊を使った花あしらいをご紹介します。
菊の飾り方1:“実がある枝もの”と合わせて大きく華やかに
今回、主役として選んだ菊は、オレンジから黄色のグラデーションが美しい「オレンジエポック」という品種を選びました。前回紹介したダリアと見間違えてしまいそうな華やかな色合いをした、ゴージャスなフルダブル(八重)咲きの品種です。
そこに合わせたのは、つややかに赤く色付いた実がかわいらしい「ガマズミ」と、猫じゃらしの別名でもおなじみの「エノコログサ」。
花瓶をバスケットに入れて、ナチュラルで温かみのある雰囲気の花あしらいにしてみました。
生け方のコツは、最初に大きな枝物(今回はガマズミ)の枝ぶりを活かして生け、菊は中央にまとめて、花の固まりをつくります。最後にエノコログサを添えて、秋の野原のイメージを演出しましょう。
雑草扱いされるエノコログサですが、実は主役を引き立てる素敵な花材。この季節の花あしらいに加えてみるのもおすすめです。
花瓶だけにして、モダンな雰囲気に早変わり!
バスケットから花瓶を取り出してみました。エノコログサを取り除くと、今度はモダンな雰囲気に変身。バスケットの有り無しで、手軽に雰囲気が変わるので、ぜひお試しください。
さて、今回、菊にあわせたガマズミなど、実が付いた枝物はこの季節ならではの花材で、花屋さんに多く入荷する時季です。
ボリューム感が出て、とても豪華な花あしらいが楽しめますので、ぜひチェックしてみてくださいね。
菊の飾り方2:ブーケのようにして花の形を楽しむ
菊は花持ちがいいので、長い間楽しめます。今度は茎を短めにして秋色アジサイと合わせ、ホーローの水差しに生けました。
茎が見える姿も美しいですが、ボリューム感のあるアジサイと一緒にぎゅっと束ねた、ブーケのような花あしらいもそれぞれが引き立てあって素敵です。
秋が深まってくると、この花あしらいに使ったようなホーローや陶器のように、温かみのある器を使いたくなります。花と花器の組み合わせでも、季節感が演出できますので、ぜひいろいろな組み合わせを楽しんでみてください。
菊の飾り方3:モダンな一輪挿しに生ける
モダンな一輪挿しに、さらに短くした菊を生けてみました。
一つは茎を思い切り短くして花だけを、もう一つは少しだけ茎を見せて。3本の花を生ける場合は三角形を意識するとバランスがとりやすくなります。
この場合、一輪挿しは一つだけでもいいのですが、二つあると写真のように飾り方のバリエーションが広がります。
「菊」のお手入れ方法
菊は長持ちするとはいえ、工夫次第でもっと長く美しく楽しむことができます。
水に浸かる余分な葉は手で取り除いて、茎は手で簡単に折ることができるので、ポキッと折ります。菊は金属を嫌うのでハサミやナイフは避けましょう。
「菊」の基本情報
- 出回り時期:通年(旬は9~11月)
- 香り:あり
- 学名:Chrysanthemum morifolium
- 分類:キク科キク属
- 和名:菊
- 英名:Chrysanthemum
- 原産地:中国
- 花言葉:高貴、高潔、高尚など
構成・写真=石川恵子(第一園芸・花毎)
※この記事は2022年10月の記事を再編集して掲載しています。
花を知り、楽しむサイト 花毎
この記事は、花毎での連載「二十四節気の花あしらい」を基に制作しています。
>>花毎で「二十四節気の花あしらい」を読む