前向きに生きる「自分の感情との付き合い方」#3
下園壮太|ポジティブ思考が身につく朝と夜の簡単習慣
下園壮太|ポジティブ思考が身につく朝と夜の簡単習慣
更新日:2024年01月04日
公開日:2022年12月04日
ふとしたことに幸せを見つけて「今日」をいい日に

※このインタビューは2022年4月に行いました。
いいこともあれば、悪いこともあるのが人生です。
同じ一日であっても、特に何も感じないでその日を終える人もいれば、ふとしたことに幸せを見つけて「今日はすごくいい日だった」と感じる人もいます。その逆もあります。
いいことが起きるかどうかは運次第。たまたま起きた幸運を、あなたがどうとらえるかで日々の充実度は変わります。
人は充実度をはかるとき、「意義」と「快」という2つの軸から自身の行いや経験を評価します。
例えば今日、あなたは一日中スマートフォンでゲームをしていたとします。想像してみてくださいね。
それでは、お尋ねします。今日は充実した一日でしたか?
多くの方は、「充実していない」と答えるはずです。ゲームばかりして、掃除ができなかった、新しい献立への挑戦もできなかった……と思うことでしょう。これが、頭で考える「意義」の軸です。
「もっと生産的なことができたはず」「もっと成長できたはず」と、「意味のある」経験を人は求めてしまいがちです。
では、もっと単純に考えるとどうでしょう。
ゲームをしているとき、「楽しかった」のではないでしょうか?楽しくてずっとやってしまったのでは?その「快」を否定してはいけないのです。
あなただけの物差しで、自分の毎日を評価

私たちはゲームをしている人を見ると、「あの人、さぼって……」と悪い評価をしがちです。それは、「成長」「社会への順応」などを目標にして、義務教育の頃から「意義のあること」を行う練習ばかりしてきたからです。
つまりこの「意義」の視点は、社会が決めた物差しに即して行う物事の評価です。一方、「快」の観点は、あなただけの物差しで評価をすることです。
シニア世代は右肩上がりに成長する時期を終えています。それに、家族、職場、子どもの学校など、社会的なつながりも減っていきます。
ですから年齢を重ねたら「社会から見たら」という軸ではなく、自分の「快」に忠実である方が、日々の充実感は得やすくなります。
評価の軸を「意義」から「快」にずらしていきましょう。それが上手に年を重ねるということです。
そのためには、自分が「快」を感じるのは何かをよく知る必要があります。ゲームで感じる人もいれば、読書の人もいます。あるいは、近所の人と話すことかもしれません。

私の場合は、一人で行うテニスの壁打ちです。これらのことは他人から見たら、「意義」はなく、「それがどうした?」となるものです。
でも、そういう「快」を自分で上手に見つけられる人こそが、充実した毎日を送れます。
これからはあなただけの「快」の軸を持ち、その軸を多くしていきましょう。そうすれば、さまざまなことに対して、自分の物差しで上手に評価できるようになります。
目指すは、「賢人」です。賢人は、こんな見方はどうか?ああ見たらどうか?と違う見方を教えてくれる存在です。
賢人の視点を持てれば、日々起きることに幸せを見つけやすくなります。
朝は行くべき方向を確認する時間

賢人のように多様な視点を持ち、幸運を感じ取りやすくするための朝と夜のワークを紹介します。
まずは朝のワークです。
片方の手を開いてください。それぞれの指に小さな目標を立てていきます。
親指は仕事や家事に関する、すぐにしなければいけないこと。人さし指は健康、中指は成長、薬指は人間関係、小指は楽しみに関する目標です。
目標には、長期のものと、短期のものがあります。5つの中では、親指だけが短期目標です。
私たちはつい、目の前のことに縛られがちです。でも本当は、ずっと健康でありたい、成長し続けたいといった、もっと長い目標も持っています。それらを、なおざりにしないように、毎日確認するのです。
一日を漕ぎ出す前に、ラクだからといって昨日まで漕いでいた方向へそのまま進むのではなく、進むべき方向が間違っていないか、行くべき方向を毎日見るのです。
「人間関係」であれば結婚記念日がやってくるなとか、「楽しみ」であれば、コロナが収まったら1泊2日でどこかへ行きたいなとか。
そして、そのために何を準備するか考えるのです。近視眼的になるのでなく、自分はいろいろな軸で生きているのだ、ということを日々確認してください。
朝に行いたい人生のお手入れ

5本の指それぞれに小さな目標を立てて、毎朝確認しましょう。自分だけの評価軸を考えられるようになります。
- 小指… 楽しみ
「お取り寄せをする」など - 薬指… 人間関係
「結婚記念日を祝う」など - 中指… 成長
「テニスの壁打ちを長く続ける」など - 人さし指… 健康
「エレベーターではなく階段を使う」など - 親指… 仕事・家事
「玄関をきれいにする」など
夜のお手入れは日々を前向きに評価

そして一日を終えるとき、「サイコーの評価法」を行います。これまで気にも留めなかったようなことを前向きに評価し、「自分は充実している」という感覚を持てるようにします。
夜にその日を振り返り、よかったことを3つ、悪かったことを1つ思い出し、悪かったことは今後の対策も考えます。
「3」「1」「今後」の頭の文字を取ってサイコーの評価法としました。
人間は原始時代から、命の危険性を知らせる不快な感情は心に強く残るようにしてきました。逆に、「快」の感情は危険情報ではないので、すぐに忘れていいものです。
不快・快の特性を考えると、ややもすれば、「今日はあまりよくなかった日」と、うっすらとグレーな記憶だけが残りがちです。翌日も、その翌日も……とグレーな記憶ばかりがつながると、最終的に「ぱっとしなかった」人生となってしまいます。
そうならないために、今日起きたいいことを思い出しましょう。まだ記憶が残っているうちに味わい、「快」情報を増幅しておくのです。今日の記憶を少し彩りよくするイメージです。
はじめは、よかったことはパッと出てこないかもしれません。でも、毎日続ければすぐに、あなただけの軸でいいと評価できることが思い当たるようになります。
例えば、「道に迷ったけど、その途中で初めてのお店に入った」のなら、「初めてのお店に入った」をよかったこととしてカウントしましょう。「道に迷った」を悪いこととして挙げるのなら、今後は「地図を何度も確認しよう」と対策を考えればいいのです。
対策は、実際に行わなくても大丈夫です。頭で考えるだけでも「前進」している感覚は味わえます。
夜に行いたい人生のお手入れ
一日の終わりに、下に書いた事柄をそれぞれ挙げていきます。
全体的にはよくない一日であっても、部分的によかったことをピックアップするのがコツです。悪いことは1つだけに。考えたことを対策とすれば、冷静に向き合えるようになります。身近なテーマで行うことで、世の中はそれほど悪くないと思えるようになります。
朝のワークは、夜に行うサイコーの評価法の準備にもなります。「玄関の掃除はできなかったけど、階段を使えた」などと、多様な軸で自分の一日を評価できるようになるはずです。
【サイコーの評価法】
- いいことを3つ
「階段を使えた」「いい天気で気持ちよかった」「お取り寄せのテレビ番組を見ることができた」など - 悪いことを1つ
「ゴロゴロしていて玄関の掃除ができなかった」など - 今後の対策を1つ
「玄関掃除は、たたき、下駄箱……などと分けて行い、一日の負担を減らそう」など

朝と夜のワークは、「今日の自分の人生のお手入れ」です。明日からガラッと人生が充実するわけではありませんが、こまめにお手入れをしていくと、いい人生に仕上がっていきます。
昔であれば、大家族でワイワイと一緒に食事をする中で、今日起きたことを話し合っていました。いいこと、よくなかったこと、さらに今後の対策はそこで確認できていました。これこそが本来あるべき姿です。
でも、「個」の暮らしになると、それを自分でしなければなりません。心を穏やかに保つには相当に工夫が必要な時代なのです。心掛けていただきたいのは、とにかく、こり固まらずに、いろいろな視点を持ち、なんでも試行錯誤を続けることです。
あなたの暮らしにぜひ今回のワークも取り入れてみてください。みなさんが、幸せを感じられる、充実した毎日を過ごせることを願っています。
下園壮太(しもぞの・そうた)プロフィール
1959(昭和34)年生まれ。心理カウンセラー。防衛大学校卒業後、陸上自衛隊入隊。心理幹部として多くのカウンセリングを手掛ける。現在は、NPO法人メンタルレスキュー協会理事長。『50代から心を整える技術』(朝日新書)他著書多数。
取材・文=井口桂介(ハルメク編集部)
※この記事は「ハルメク」2021年8月号掲載「こころのはなし」を再編集しています。
下園壮太さん|ポジティブに生きるための感情との付き合い方《全3回》
- 「見えないストレス」自己診断&心の疲れをとる術
- 自分へのダメ出し気質をやめるコツ&15の心の特徴
- ポジティブ思考が身につく朝と夜の簡単習慣




