50代からの女性のための人生相談・43
人生相談:家族のモノで家の中が全然片付かない!
人生相談:家族のモノで家の中が全然片付かない!
更新日:2022年08月12日
公開日:2021年10月27日
68歳女性の「家族のモノで家の中が片付かない」というお悩み

家族の物で、家の中がなかなか片付かないのが悩みです。
いい年をした娘たちの部屋は見ないようにしています。洗濯して、畳んでもなかなか片付けてくれません。
いつまでこの状態が続くのか頭が痛いです。
(68歳女性・まこさん)
阿部さんの回答:家事はその家に暮らす家族全員の役割!
モノの片付けは、家事の一つです。家事とは「暮らしを支え、循環させ、持続可能な快適性を作る」という、大切な作業です。この考えに基づくなら、家を快適に保つのは、その家に暮らす家族全員の役割のはずです。
家に暮らす人数が一人であれば、すべての家事を一人で行うのは当たり前です。でも逆に、家族が数人いるのであれば、その家族全員で協力して作業を進めるのは当然のことだと、私は思います。
ではなぜ、日本では「家事=母・妻がやるのが当たり前」となっているのでしょうか?

おととし、イタリアにホームステイをした経験で、この謎が少し解けたように思います。
ホストマザーが高校の教師だったのですが、ある時、生徒42名に「あなたの家では誰が家事をするか?」と質問しました。
その結果、両親とも仕事を持つ家庭では、家事を家族が協力し合っていると答えた生徒が多くいました。一方で、両親のどちらかが仕事をしてどちらかが家にいる生徒は、家にいる親1人が家事を担当していることがわかりました。
つまり、両親が共働きだと子どもも含め家族全員で家事を分担しますが、専業主婦(主夫)が家にいる場合、その人がすべての家事をやることになるのです。これを見て子どもは「家にいない人は家事をしなくていい」と学んでしまうのです。
家事は「親が伝える生活技術」幼い頃から片付けの訓練を

しかし、私はこれは間違っていると思います。我が家の両親は、大正生まれでありながら、両親ともに家事を補い合っていました。父は掃除・整理、母が料理・洗濯、といったようにです。
その結果、父が亡くなると、家中にモノがあふれ、窓が開けられず、母は「熱中症」となり、救急搬送されたのです。もし、母が先に亡くなり、父が残されていたら、一人暮らしの父の食生活が滅茶苦茶となり、大変なことになっていたでしょう。
我が両親から学んだ理想の家事の姿とは「分担より、誰でも家事全般を身に付ける」ということです。家事は生きる力ですから、ここを親は子どもに気付かせることが大事ではないでしょうか。
私は家事は「親が伝える生活技術」と考えます。技術を伝えなければ、長い目で見て困るのは、子どもであり、その子孫です。
犬養道子さんは著書『女が外に出るとき』(中公文庫)で「子どもが『整理』に参加しないなどという甘やかし方は、西欧家庭では想像もできない(中略)外人家庭が片付いているもう一つの理由は、男の子も女の子も、よちよち歩きのときからすでに、『自分の領域の自分の始末』の訓練が身に付いているからではあるまいか」と記述しています。
私自身も、海外にホームステイをしたときに、このことを痛感しました。
ご質問者も、食事の後片づけなどから、家族が全員で行うような決まりを作り(難しければ、洗濯当番を決めるなどして)、一つの家事から身に付けさせるようにしては、いかがでしょうか。

親が元気なうちはいいのです。親が倒れたとき、家族に家事が頼れないのでは、家族全員が困ることになります。
そうならない前に、子どもに家事を身に付けさせる作戦を考えてはどうでしょう。老後を迎えるにあたって、ご自身にとっても、これから先の安心になるのではないでしょうか。
回答者プロフィール:阿部絢子さん
あべ・あやこ 1945年、新潟県生まれ。生活研究家・消費生活アドバイザー。家事全般や食品の安全性の専門家として活躍。薬剤師の資格を持ち、今も現役で働いている。
構成=竹下沙弥香(ハルメクWEB)
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