新時代を幸せに生き抜くための「やめ方・始め方」#4
会えないからこそ見直したい「人間関係」の整理術
会えないからこそ見直したい「人間関係」の整理術
公開日:2021年05月31日
新時代を幸せに!プロが教える「やめ方・始め方」
新型コロナウイルスによって生活様式が大きく変わった1年間。ハルメクWEBでは読者のみなさんの「やめたこと・始めたこと」に注目! 断捨離・貯金や保険の見直し・人付き合い・家族など、新しい時代を生きるための情報を手に入れられる全5回の特集です。
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見直したい人間関係。失礼にならない距離の置き方は?

人間関係を見直してストレスが減り、負担感が軽減されるなら歓迎すべきこと。ですが、どうすれば失礼にならないように距離を置けるのでしょうか?
鹿島しのぶさん(以下、鹿島さん)
「私は、人の縁とは円環のようなものだと思っています。自分からわざわざ断ち切らなければ、途切れることなく、永遠に続くもの。しばらく疎遠になっていても、つながっている限り、切れてしまうことはない。また太くつながりたいと思ったら、こちらから連絡をすれば復活できるもの。そう考えるようにしています」
逆に、距離を置きたいと思ったら、連絡があっても会わないようにスルーするだけでいい、とも。
「困った人、わずらわしい人間関係というものもありますよね。そんな相手から会いたい、と言われても、こちらが乗り気になれないなら、無理に会うことはないんです。ストレスから自分自身を守ることの方が、よほど大事です。ただ、そこにも一定のマナーはあります」
大切なのは、お誘いがあるたびに、その都度きちんと、礼儀正しくお断りをすること。いい大人なら、『嘘も方便』が使えるようになることも大切です。
「本音は会いたくないのだとしても、何も正直に『あなたとは会いたくない』などと言って相手を傷つける必要はありません。『ちょっと今、家を外せなくて……』とか『孫の面倒を見なきゃならないから』など、誰も傷つかない理由を考えてお茶を濁す。一度二度、お誘いを断ったからといって、縁が切れてしまうことはないはずです。お誘いを受けるたびに丁寧にお断りし、会うのを回避し続ければ、察しのいい大人なら『もしかして敬遠されてる?』と思うようになって、そのうちお誘いもフェードアウトしてゆくでしょう」
まず見極めるべきは相手よりも『自分の気持ち』

本当は気が乗らないのに、同窓会や会合に顔を出してしまう。一緒にいて楽しくないのに、その場の雰囲気に流されて付き合ってしまう。そんな人間関係がストレスになっている人もいます。
「大切なのは、自分の気持ちをきちんと整理して、断るべきは断る勇気を持つこと。いやだいやだと思いながら、ずるずるとお付き合いが続いてしまうのは、『断ったらどう思われるかしら?』『いい人だと思われたい』『いい顔がしたい』という気持ちが背景にあるからです。
元気のあった若い頃と、50歳、60歳を超えた今とは気力も体力も別物。気が乗らないのに無理して人と会うのは、年齢を重ねるほど負担になるものです。そこで必要になるのが、思い切って断る勇気。最悪、相手からどう思われてもいいや、と思い切れるぐらいの精神的強さは必要です」
人との距離を取るには『自分が動く』

例えば習い事をしていて、大好きな先生のところに通っているのだけれど、生徒さんの中に、どうしても相性が悪い人がいる。そんなときは「環境を変える」「自分から動く」のが有効です。
「年齢を重ねたら、自分が身を置く環境を考えて動くことも大事。苦手な人との接触を避けるために、通う曜日や時間帯を変えるのも一案です。自分が過ごす場所の環境を、より居心地いい状態に整えること。それは心身ともに健やかに生きていくためのコツかもしれません」
そのとき、気を付けるべきなのは周囲の人間関係です。
「苦手な人を自分の円からちょっと遠ざける。それはそれでいいのですが、共通の友人や知人がいる場合は要注意。苦手な人を傷つけないようにするのはもちろん、同じコミュニティーにいる友人たちに、余計なことを言わないことです。巡り巡って、あなたの居心地が悪くなることにもなりかねません」
人間は変化する生き物。一時期、うとましく感じた相手でも、時がたってみると懐かしく思える日が来ることもあります。相手だって、変わるかもしれません。
「再びコンタクトしたいな、と思ったときにこちらから連絡すればいい。遠ざけても、細い糸でもつながっていれば、ふたたび縁を復活させることができます。よほど不愉快で、許せないほどの人物でない限り、断ち切らずに距離だけとっておくのがお勧めです」
年賀状のスマートな「やめ方」は

ハルメクWEBが2021年4月に実施した「コロナ禍でやめたこと・見直したこと」アンケート。そのフリーコメントで圧倒的に目立っていたのが、年賀状をやめた・出す数を減らした、という声でした。
「本来、年賀状というのは相手を思いやり、新年の幸せを祈るために出すもの。それが、これだけの人が『やめた』『減らした』と答えているということは、それだけ負担になっていたということでしょう。儀礼的になりがちで、なんとなく年末が来たら出すもの、という以上の意味が見い出せなくなっていた、とも言えます」
毎年毎年、たくさん出していた年賀状。上手なやめ方はあるでしょうか?
「心が伴わなくなるとただの作業になってしまって、負担になりますよね。お勤めしていた頃は何百枚と出していた人も、もうそれほど幅広い人間関係を維持する必要がないかもしれません。例えば、私の夫はすでに70代。お付き合いしている友人にも高齢な方が多いのですが、最近、年賀状を卒業します、というお便りが届くようになりました。
きっかけは何でもいいのだと思います。退職、転勤・転居。子どもの独立。みなさん、これまでの感謝の言葉とともに『子育ても終わり、親業も終了。本年をもちまして年賀状も卒業といたします』などと送ってくださいます。最後の一通にも忘れずに近況を添えて。心からの自分の言葉でつづれば、受け取る側も不快に思うことはありません。『そうよね。もうそんな年齢よね』と共感こそすれ、失礼だと思う人はいないでしょう」
年賀状のお付き合いがなくなったからといって、その人との人間関係が途絶えるというわけでもありません。旅先からおいしいものを送ったり、季節の絵手紙をしたためたり。いまどきなら、LINEやメールで近況を伝え合うのも、手軽で楽しい方法です。
「やめたのは『年賀状という習慣』であって、本当に思いやる人との関係はそのまま。そんな見直し方があってもいいのではないでしょうか」
年賀状をスマートに卒業する文例
明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願い申し上げます。
おかげさまで私たち家族は元気に新年を迎えております。我が家の『終活』も、横道にそれたり、迷ったりしながらぼちぼちと進めているところです。
〇〇は、近頃久しぶりに釣りに出かけました。釣果は聞くまでもありません。
〇〇はお友達に誘われたフラダンスにのめり込みそうな気配です。
おかげさまで長男〇〇夫婦は、××に腰をおちつけることになりそうです。早く孫の顔が見たいと、老親は密かに楽しみにしているところです。
なお、毎年楽しみにしていただいております年始のご挨拶ですが、寄る年波にはかなわないと感じるに至り、本年をもちまして、控えさせていただきたく存じます。
これまでの皆様の、心温まるご指導、ご助力には感謝してもしきれません。心より御礼申し上げます。
皆様のますますのご隆昌を、心よりお祈り申し上げております。
年賀状・お中元・お歳暮 やめ方の目安は?

年賀状同様、年中行事になっているのが、お中元やお歳暮です。鹿島さんは、そうした習慣をやめるにあたって、目安にしていることはあるのでしょうか?
「これが正解、というのはないと思います。肝心なのは、気持ちの問題。例えば私は、4年前まである組織に所属し、仕事をしていました。そのときにお世話になった方々、一緒にがんばった同僚たち。その仕事を退いてから1年間は、感謝の心を伝えたくて、年賀状やお中元・お歳暮を送りました。みなさんからも、年賀状なら元日に届くタイミングで頂戴しました。
翌年。私は前年同様、年賀状を出しました。みなさんからも年賀状をいただいたのですが、元日に届くタイミングではなく、私からの年賀状にお返事をくださった、という方もいました。さらにその翌年には、一部の方からは年賀状が来なくなりました。そのときに、あ、これが潮時なんだな、と思って、その方に以後送るのはやめにしたんです。元はと言えば、ビジネスでつながっていた間柄。ですから、最低でも1年。そのあとは様子を見ながら、次の節目は3年、というところでしょうか」
その一方で、始まりは仕事の関係だったけれど、プライベートなお付き合いに発展した友人もいらっしゃるといいます。
「真心を伝え合ううちに、儀礼的ではなく、本心から相手の家族を思いやったり、気に掛けるようになる。仕事のつながりだけでは見えなかった、その人の新たな一面を見ることもあります。たくさん出していた年賀状を、少しずつ見直して数を減らしても、本当につながっている人たちとの縁は残るもの。
逆に、ずっと疎遠になっていた人でも、ふとしたはずみに復活することもある。人の縁とは面白いものです。こちらがずっと会いたい、気になる、と思っていた人は、先方もこちらを思っていてくれたりするもの。見直す、というのは整理してやめることばかりではありません。もし長年気になっている人がいるなら、勇気を出して連絡を取ってみると、新しい関係が始まるかもしれませんよ」
▼▽▼次回「コロナで夫婦関係はどう変化?円満・離婚のコツも解説」を読む
鹿島しのぶさんのプロフィール

かしま・しのぶ 白百合女子大学文学部英語英文学科卒業後、会社員を経てプロの司会者として活躍。㈱総合会話術仟言流の代表を務める。ブライダルプランナーの役割も兼ね備えたプロ司会者の育成にも力を注いでいる。また、2017年まで駿台トラベル&ホテル専門学校ブライダル学科長を務め、ブライダル関連、接遇会話、ビジネスマナーの授業を担当。細やかな気配りで相手の心をつかむ接遇、話し方の指導には絶大な定評がある。近著に『さりげない「気のつかい方」がうまい人50のルール』(大和書房刊)、『品格を磨く所作』(宝島社刊)などがある。
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