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経済も大激変だったコロナ禍。「家計」「資産」などお金について考え直した人もたくさんいました。将来の安心のために家計のどこを・どう見直せばいいか。そのコツを、多くの事例を手掛ける人気ファイナンシャルプランナー(FP)黒田尚子さんに伺いました。
新時代を幸せに!プロが教える「やめ方・始め方」
新型コロナウイルスによって生活様式が大きく変わった1年間。ハルメクWEBでは読者のみなさんの「やめたこと・始めたこと」に注目! 断捨離・貯金や保険の見直し・人付き合い・家族など、新しい時代を生きるための情報を手に入れられる全5回の特集です。
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コロナ禍で投資への興味が拡大傾向に
ハルメクWEBが2021年4月に実施したアンケートで「この1年の間にやめたこと・見直したことは?」あるいは「これから見直したいことは?」という質問に対して、「お金にまつわること」と答えた人は51人(201人中)。実に4人に1人が、お金について見直した・見直したいと思っているようです。
12人が「無駄遣いをしないように気を付けている」と、節約を心掛ける人が多い一方、
《貯金》
・貯金を見直した・始めた など……9人
・貯金をやめた……3人
《保険》
・保険の見直し……3人
《投資》
・投資をやめた……2人
・投資を始めた……1人
・投資を始めたい……8人 という結果になりました。
黒田尚子(くろだ・なおこ)さん(以下、黒田さん)
「無駄遣いを改める一方、貯金や保険の見直しをする人が多いようです。投資に関心が高まっているのを見ても、今のこの低金利時代の気持ちを反映していますよね。ご存じのように、現在は超低金利。普通預金に1万円を1年間預けても、利息は10円もつきません。それどころか、ATMでおろすたびに数百円の手数料がかかってしまう。増やすことなんてまるで期待できません」
そこで、貯金を見直し、より効率よく増やすことを考えて投資に興味が湧くのも当然の流れといえそうです。
「まだ家計の見直しができていない!」という人のために、「定年退職前」と「年金生活中」の2つの世代に分けて、家計の見直しポイントを伺いました。
定年退職前の家計の見直しポイントは?
黒田さんによれば、一番家計が苦しいのは「60~65歳の間」なのだとか!
「平均的サラリーマンの収入を見ると、年収のピークは50代前半から中盤。その時期を過ぎると、役職定年が訪れるなどして、収入は下降を始めます。60歳で定年になれば、退職金は出るかもしれないけれど、基本的に収入はゼロに。退職後に嘱託で働いても、大抵の場合、現役時代の給与よりもかなり減ります。65歳の年金開始までの5年間が、経済的には一番苦しくなるのはそのためなのです」
そこで、定年退職前の家計の見直しポイントを挙げていただきました。
家計収支の棚卸しをする
【収入面の見直し】
- 固定収入はどこから、いくらあるのか
- 資産はどのくらいあるのか(土地・建物・有価証券など)
- 老後のための準備はどの程度できているか
【支出面の見直し】
- 支出の内訳は?何に、どのくらいお金がかかっているのか
- 固定費は何に、いくら使っているか(住宅ローンや家賃、民間保険の保険料・掛け金、通信費や水道光熱費の基本料金・定額サービスなど)
- 変動費は何に、いくら使っているか(食費・水道光熱費・被服費・交際費・医療費など)
- 今後の見通しは? 平均寿命まで生きるとして、どのくらい必要になりそうか
まさに総決算! 細かな支出まで書き出してみて、今のお金の流れを把握します。
保険の見直しをする
「本来保険は、ライフスタイルが変わるタイミングで見直すべきものなんです」と黒田さん。50歳代だと、子どもがそろそろ独立するという方も多いでしょう。もう、親が死ぬことで経済的に打撃を受ける存在ではなくなります。つまり、子どもたちのために高額な死亡保障を用意する必要がなくなるのです。
むしろ今後欲しい保障は、医療(がん、三大疾病、女性特有疾病など)や介護など、長生きリスクに備えるものに変わってきます。※保険の見直しについては、後半で詳しく解説します。
住宅ローンの残債を確認
60歳で定年退職するとき、住宅ローンの残債はいくらでしょうか? この先、今まで通りのペースで払えるでしょうか。
「ローンの残りは退職金で清算するから大丈夫」。そう考えている人も少なくありませんが、今の時代、退職金もどんどん減っています。一時金でもらえなくて、年金形式になっている企業も珍しくありません。
もし、いくらもらえそうか把握できていない場合は、会社に退職金の金額を確認しましょう。ローンの利率や老後資金の準備状況によっては、退職金を一時金で受け取ったとしても、住宅ローンを一括返済しない方が良い場合もあります。老後資金が少ない人ほど、退職金の使い道は計画的に考えたいものです。
50代で住宅ローンを組む人は気を付けて!
先行きを考えて、50代のうちに転職する人もいます。会社が早期退職希望者を募っている場合、より高額な退職金が用意されることがありますし、会社が転職を全面的にバックアップしてくれるケースもあります。ならば、より条件のいいうちに、60歳(または65歳)以降も働き続けられる会社に転職しよう、というわけです。
「50代でも、転職して、これまで住んでいた社宅を出なければならないなど、このタイミングで家を買う人もいます。現在は低金利なので、借金には有利。頭金ゼロでもフルローン(全額借金)が組めてしまうケースもあります。50代からのローンですから、30代、40代に比べると、短期での返済が基本となりますが、先に説明した通り、かける時点が年収のピーク。60歳以降、収入が減ることを見越しておかないと苦労することになります。それに、高齢になればなるほど病気やケガのリスクも高まりますよね」
もう一つ注意すべきなのが「住宅ローン減税」です。
「国が住宅取得を促進するために設けた住宅ローン減税。ローンの年末残高の1%で最大40万円、長期優良住宅の認定を受けた物件なら、最大50万円が返ってくる、というありがたい制度です。住宅ローン減税の控除期間は、本来は10年間ですが、2019年10月以降、消費税が10%へ引き上げられるにあたって、期間限定の特例措置として13年間に延長されています。ですが、この制度は一定期間内に契約し、2022年いっぱいに契約入居することが条件。このお得な減税に惑わされて、よく考えずに駆け込み契約してしまうと後で困ることになります。目先のお得よりも、じっくり安定した資金計画を心掛けましょう」
すでに年金生活に突入している人の家計の見直しは
すでに年金受給が始まっている世代が、家計を見直すにはどうしたらいいでしょう?
「収入額が固定化された年金生活で家計を補強する大きなポイントは二つしかありません。収入を増やすか/支出を減らすか。これだけです」
収入を増やす手立ての一つとして『働き続ける』という選択肢があります。本格的高齢社会を迎え、年齢に制限を設けない求人も増えてきました。
「健康維持のためにも、社会参加のためにも、シニア世代が仕事を持つのはとてもよいこと。たとえお給料が安くても、長く働き続けられる仕事をみつけるのが、ベストでしょう。もし、勤務先で社会保険(厚生年金)に加入できるなら、少しでも受け取る老齢厚生年金額を増やすことができます(※)」
※現在、年金を受給しながら働く場合、60~64歳までは(特別支給の老齢厚生年金を受給していると)、年金+給与が28万円を超えると老齢厚生年金が減額になります。65歳以上の場合は年金+給与が47万円を超えると、やはり老齢厚生年金が減額に。なお、この年金が支給停止になる基準が高齢者の就労を阻害しているとして、在職老齢年金制度が見直されています。2022年4月からは、65歳未満の方に支給される老齢厚生年金が停止される基準額が28万円から47万円まで引き上げられますので、稼ぎすぎて年金が止まってしまった!という人も、これまでよりは減ると思われます。
年金は繰り上げ受給すべき?
「年金制度も心配だし、早くもらった方がいい」と、本来の受給開始年齢(65歳)を早める『繰り上げ受給』を受ける人もいますが、黒田さんはそれも注意してほしいと言います。...
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