村上祥子さんが選ぶ!時短&わくわくする調理グッズ
2020.07.062019年07月01日
77歳の元気印!
料理研究家・村上祥子さんの暮らしの知恵
“おいしくて体が元気になる食”を全国から集め、ご紹介している「ハルメク 健康と暮らし」。全国各地を取材で飛びまわる編集部が、本誌では紹介しきれなかった 食生活や暮らしのヒントをお伝えします。今回は編集部・陰山がレポートします。
77歳、全国を飛びまわる元気の秘訣
「昨日は深夜0時すぎまで撮影だったの。明日は朝いちばんの飛行機で東京に行くのよ~」
にこっと笑ってそう話すのは、料理研究家・村上祥子(さちこ)さん。
「ハルメク 健康と暮らし」8月号の取材のために、福岡県にある料理スタジオ兼ご自宅を訪ねたときのひとこまです。「どこからそんなパワーが出てくるの?」と聞きたくなるほど、小柄で細~い体。それも、77歳。バリバリの現役です。
村上さんのお話を伺うと、その元気の秘訣が出てくること、出てくること!
息子さんが巣立ち、ご主人を亡くされた後おひとりで暮らすご自宅にも、毎日の暮らしを元気に楽しむ工夫がたくさんありました。
ハルメク世代こそ「電子レンジ調理」を
村上さんと言えば、「電子レンジ調理」の第一人者として知られています。
始めたきっかけは、大分県で主婦をしていた約50年前、電器メーカーの「電子レンジ開発」を手伝ったことだったそう。
「蒸す」「ゆでる」「煮る」など、何でも電子レンジで作っちゃう村上さん。料理スタジオには、「チーン」という音が常に鳴り響いています。
料理をほとんどしない私(もうすぐ三十路)、電子レンジは「温め直しの道具」としか思っていませんでした……!
「電子レンジ調理」には、こんなにいいことがあるのだそう。
1.誰が作ってもおいしい
2.油の使用量を減らせる
3.素材の栄養・うまみを逃さない
4.時短調理ができる
5.使う道具が少なく片づけがラク
6.火を使わないので安全
「だから特に、私たちハルメク世代にぴったりなんですよ」と村上さん。なかでも村上さんがハマっているのが、マグカップで作るごはん、通称「マグごはん」です。
作り方は、マグカップに材料を入れてチンするだけです。か、簡単……! マグカップって、飲み物を飲むだけのものじゃないんですね。
村上さんの料理スタジオには、マグカップがこんなにたくさん!
サービス精神旺盛な村上さん。
このコラムのために、「マグごはん」のレシピをひとつ、教えてくださいました(やったー!)。
「マグごはん」のレシピをご紹介
マグカップで簡単「ビーフシチュー」の作り方
【材料(1人分)】
●牛赤身肉 50g(焼肉用、3cm角切)
●野菜 合計で100g(にんじん/じゃがいも/玉ねぎ/さやいんげん など)
●水 150ml
●ハヤシルウ(顆粒) 大さじ1
お肉と野菜の分量は、このような感じです。
ポイントは、「お肉の倍の量の野菜を使う」こと。「マグごはん」に限らず、村上さんはいつも、一食に「お肉50g+野菜100g」を召し上がっているそうです。
【作りかた】
1.マグカップに水とハヤシルウを入れ、肉→野菜の順に重ねる。
2.ラップをかけずに電子レンジ600Wで8分加熱する。
これは電子レンジにかける前。たった8分で……
本格的なビーフシチューに変身!
何時間も煮込んだようにコクがあって、とてもおいしい!!
長時間、火の前に立つのがつらい夏にもってこいです。
ひとり暮らしは、賢く手を抜く
村上さんが「マグごはん」に行き着いたきっかけのひとつは、「ひとり暮らしになったこと」です。
年をとると食材の買い物や料理が面倒になり、食事そのものも面倒になり、ひとりになるとなおさら……。それでも、最後まで「生きる力」を支えてくれるのは「食べ力」。だから、食べるために賢く手を抜くことも必要だと言います。
例えば、「ぬか漬け」もそのひとつ。
村上さんは幼い頃にお母さまから“おさんどん係”を任され、70年以上ぬか漬けを漬け続けています。でも、自分ひとりのためだけに毎日ぬか床から水を抜いて、かきまぜるのはおっくう。
だから、水抜き・かき混ぜ不要のぬか漬けメーカー「ぬか漬け名人」に頼っているそうです。ひとり分の野菜ではとても埋まらない冷蔵庫の野菜室に入れ、収納場所をとらない工夫もしています。
村上さんのご自宅のキッチンは、今やとてもコンパクト。
以前は、料理研究家という職業柄、お皿があり余るほどあったそうですが、現在はひとり暮らしのサイズに合わせてほとんど処分してしまったのだとか。「自分で使うお皿とマグカップは、もう壁にかかっている分だけ。鍋も本当に必要な小さなものだけ残して、あとは電子レンジを活用するようにしています。
とてもシンプルでしょう? でも、これで十分足りるんですよ」。
難しいことはもうしなくていい。
その代わり、ひとりっきりでどんなに忙しくても、時間をかけずにおいしい食事がとれるように頭を切り替えたそうです。
村上さんも、忙しいときは電子レンジ調理できるごはんパックやスーパーのお惣菜を利用しています。それでも、自家製のお漬物を少し添えたり、スーパーの肉じゃがをカレーに作り変えたり。
「便利なものには賢く頼って、少し自分でアレンジを加えれば、味気なくなりません」
村上祥子(むらかみさちこ)さんのプロフィール・おすすめの本
料理研究家・管理栄養士。1942年、福岡生まれ。公立大学法人福岡女子大学国際文理学部・食・健康学科客員教授。食材の持つ力で健康寿命の延伸を図る研究に関与する同大学にある「村上祥子料理研究資料文庫」で50万点の資料が一般公開されている。「ちゃんと食べてちゃんと生きる」が、モットー。「電子レンジ発酵パン」「バナナ黒酢」「玉ネギ氷」など、画期的な料理を生み出し続けている。これまでに出版した著書は300冊以上、累計622万部にのぼる。
一人分でも短時間においしく調理できる電子レンジに着目。糖尿病、生活習慣病予防改善のための栄養バランスのよい、カロリー控えめのレシピ、簡単にできる一人分レシピを作る「電子レンジ調理の第一人者」である村上さん。
自身もキッチンを1口のIHコンロに変え、鍋を減らし、電子レンジを活用する村上さんの著書『頑張らない 電子レンジのおかず』(大和書房刊)は、全国の書店で好評発売中です。
「隠居の美学は過去のこと。年老いてひとり暮らしになっても、自分らしく毎日を送ることが大切だと思う」と村上さん。料理はもちろん、ひとり暮らしを楽しく生き抜く知恵をまとめたご著書が全国の書店で好評発売中です。
『60歳からはラクしておいしい 頑張らない台所』(1300円/大和書房刊)
『凍ったまますぐ使える1人分冷凍パック』(1400円/大和書房刊)
村上祥子さん公式ホームページはこちら。
http://www.murakami-s.jp/