「種種雑多な世界」水木うららさん
2024.11.302023年10月25日
通信制 青木奈緖さんのエッセー講座第6期第6回
エッセー作品「希望に向かって」加地由佳さん
「家族」をテーマにしたエッセーの書き方を、エッセイストの青木奈緖さんに教わるハルメクの通信制エッセー講座。参加者の作品から青木さんが選んだエッセーをご紹介します。加地由佳さんの作品「希望に向かって」と青木さんの講評です。
希望に向かって
いよいよ私も、もうすぐ後期高齢者の仲間入りをします。
人生100年時代とよく耳にするようになりました。
あと20年、厚かましくも希望を持って元気に過ごしたいと願っています。
まだまだ私的には、年を重ねたという実感はなく「気分は孫たちには負けていない」と自負していますが、現実に戻れば、我が家に下宿している平成生まれの2人の孫たち、彼らはもう大学生ですが、男の子も女の子もスマホを片手に1日が始まり、1日が終わっている感じです。全く何を考えているのかわかりません。
頭でっかちで、私が一言言うとすぐに調べて確実な答えが返ってきます。
私は「ああ、疲れる」と言いながらも2人の賄いばあちゃんです。刺激をたくさん受けています。
孫たちにはもう付いていけないけれど、昭和世代の私はペンとノートを出して、この先あと20年余りの生活の道しるべを、希望を書きだしています。
とにかく最後まで自宅で生活しよう、生活したい。
それには自分専用の部屋を作ろう。
これまで、祖母、母、夫を介護した経験から学んだ事を参考にして、南側の窓から明るい日差しを取り入れた、バリアフリーの使い勝手の良い部屋を。
屋根には太陽光発電をつけてエコな生活をめざす。
と夢中で間取りを考えていると、あっという間に時間は過ぎていきます。
そして、その夢が道半ばで終焉を迎えたとしても、それはそれで想い残すこともなく、「ああ、幸せで楽しかった」と思えればと願っています。
まずは健康第一に他人様にはあまり迷惑をかけず、自分のしたいことができて、それでもみんなが集まってきてくれたらいいな。
そうだ、そんな場も用意せねばとまた設計図に書き加えられて、夢はどんどん膨らんでいきます。
青木奈緖さんからひとこと
「家族のエッセー」の最終回にふわさしいエッセーです。この方は開講当初から3年間、36回、欠かさず書き続けてくださいました。今作は肩に力を入れずに、何気なく書かれているような印象を受けますが、ここまで書き慣れるのは容易ではありません。まさに「習うより慣れよ」ですね。
今の世について行くのはなかなか大変ですが、この著者のようにできる範囲で積極的に取り入れて、夢と希望を持って過ごしていきたいものです。「家族のエッセー」講座を通じ、私は多くの人生の先輩方に生きる極意を教えて頂きました。心より御礼申し上げます。
ハルメクの通信制エッセー講座とは?
全国どこでも、自宅でエッセーの書き方を学べる通信制エッセー講座。参加者は毎月1回家族の思い出をエッセーに書き、講師で随筆家の青木奈緖さんから添削やアドバイスを受けます。講座の受講期間は半年間(参加者の募集は終了しています)。
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