お得なきっぷを使った鉄道旅行プラン

房総横断乗車券|春爛漫の千葉で菜の花畑満喫の旅

公開日:2019.03.12

千葉・房総半島を横断する小湊(こみなと)鐵道といすみ鉄道といえば、春になると菜の花と桜が“競演”する絶景ローカル線として知られています。この2つの鉄道を乗り継ぎがお得になる「房総横断乗車券」を使って、春を満喫する鉄道旅に出かけてみませんか。

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写真提供:千葉県観光物産協会

房総横断がお得にできる鉄道2社の共通乗車券

上総中野駅でいすみ鉄道と小湊鐵道の乗り換えができる

内房エリア(房総半島の東京湾側)の五井駅から東へ延びる「小湊鐵道」と、外房エリア(房総半島の太平洋側)の大原駅から西へ延びる「いすみ鉄道」。この2つの鉄道線は、半島のちょうど真ん中に位置する上総中野駅で接続しており、2つの鉄道を合わせて「房総横断鉄道」とも呼ばれています。

小湊鐵道といすみ鉄道を直通する列車は運行していませんが、乗り継ぎ利用を想定した「房総横断乗車券」が販売されています。料金は、おとな1,700円で、五井〜大原間の通常運賃2,130円より、430円も割引されてお得です。しかも途中下車が自由にできるので、観光スポットに立ち寄りながら鉄道旅が楽しめます。ただし、五井駅からスタートしたら大原方面へ一方通行での利用に限られており、後戻りはできないので注意しましょう。

五井~大原間を寄り道せずに乗り通すだけなら、列車の待ち合わせなどを含めて、およそ3時間。五井駅と大原駅、どちらからスタートするか迷うところですが、都心からの日帰り旅なら五井駅がオススメです。大原駅よりも都心に近いのでアクセスが短縮でき、昼間の明るい時間帯をフルに房総横断旅に費やすことができるからです。

 

ノスタルジー溢れる里見駅でひと休み

菜の花と桜が咲き誇る田園風景がある里見駅

小湊鐵道が鉄道事業を始めたのは、1925(大正14)年のこと。もともとは、現在のJR外房線安房小湊駅付近まで線路を延ばす計画でしたが、資金難で建設が中断となりました。その名残は、小湊鐵道という社名にしっかりと刻まれています。

そんな小湊鐵道ですが、実は開業時の駅舎やトンネルが今なお残る“鉄道遺産”の宝庫で、沿線にある22の施設が、国指定の登録有形文化財に登録されています。五井駅から約50分で到着する里見駅の駅舎も、登録有形文化財の一つ。今から90年以上前、1925年の駅開業時に建造され、そのノスタルジー溢れる佇まいは、映画『東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~』(2007年公開)などの作品でロケ地として登場しています。

駅構内では毎週土・日曜日(冬季などを除く)限定で、地元ボランティア団体「喜動房倶楽部(きどうぼうくらぶ)」が地域活性化のために、オリジナル弁当や惣菜、地元のとれたて野菜などの産直品を激安価格で販売しています。コーヒーやケーキを提供する駅喫茶も営業しているので、旅の途中で一服するのに最適でしょう。

里見駅ホームにある「喜動房倶楽部」の直売所には、停車時間の間に多くの乗客が集まることも 写真:坪内政美

喜動房倶楽部 直売所&駅喫茶

住所:千葉県市原市平野176-1(里見駅構内)
電話:0436-50-8005(開催日のみ)
営業:2019年は3月16日以降の土・日を中心に8:00〜17:00に開催
※開催日などの最新情報は、上記Webサイトで確認ください。

 

沿線の春の風物詩「石神の菜の花畑」へ

「石神の菜の花畑」の中を走る小湊鐵道のディーゼルカー 写真:坪内政美

里見駅から4駅先の養老渓谷駅は、観光地・養老渓谷の玄関駅とあって、ハイキング姿の観光客らでにぎわいを見せます。この駅から10分ほど歩いて、沿線随一の菜の花の名所「石神の菜の花畑」を目指しましょう。

この場所はかつて、雑草や竹などが生い茂る荒れ果てた休耕田でしたが、2009(平成21)年から地元有志が菜の花を植え始め、現在でもボランティアの手により種まき・草刈が実施されています。線路の両脇に数100メートルにわたって菜の花畑が広がる景観は、まさに「黄色の絨毯」。列車が菜の花畑の間を走り抜ける光景を撮影しようと、全国から鉄道ファンや写真愛好家たちが訪れ、なかには太陽の動きに合わせて場所を変えながら一日中撮影する人もいるのだとか。菜の花の見頃は、3月中旬から4月下旬です。

石神の菜の花畑
住所:千葉県市原市石神227付近
アクセス:養老渓谷駅から徒歩約10分

 

養老渓谷駅に戻ったら、駅構内の足湯で疲れた体を癒してはいかがでしょう。付近の養老渓谷温泉から運んで来た褐色の湯は、肌をツルツルにするといわれています。駅では、タオルを1本100円で販売しています。

養老渓谷駅の構内にある足湯 写真:坪内政美

養老渓谷駅足湯

住所:千葉県市原市朝生原177
電話:養老渓谷駅 0436-96-1609
営業:12:00~17:00(土・休日 11:00~17:00)
料金:鉄道利用者、養老渓谷駅駐車場利用者は無料。それ以外は、養老渓谷駅で入場券(大人140円、小人70円)を購入

 

鉄道公園で地元の絶品たまごかけごはん!?

上総中野駅で、いすみ鉄道へ乗り継ぎます。歴史好きなら、徳川四天王の一人に数えられ、無敵の武将として知られる本多忠勝ゆかりの地・大多喜をたずねるのも楽しいでしょうが、ここでは鉄道好きにはたまらない“珍スポット”を紹介します。

国鉄時代に製造された113系電車(手前)などが並ぶ「ポッポの丘」 写真:坪内政美

その名は、「ポッポの丘」。最寄りの上総中川駅からおよそ2キロ離れた小高い丘に、いすみ鉄道の引退したディーゼルカーをはじめ、「みかん電車」や「湘南色電車」と呼ばれた国鉄時代製造の113系電車やブルートレインなど、20両以上の引退した鉄道車両がズラリと展示されています。

実はこの場所、養鶏会社が保有する私設の鉄道公園で、入園は無料。敷地内の「カフェTKG」で提供している「たまごかけごはん」(562円)は、屋外で放し飼いにされたニワトリが産んだ「庭先たまご」を使った絶品グルメで、車内で味わうことができます。

カフェTKGの「たまごかけごはん」は、米も地元のいすみ産で、地元の味が満載 写真:坪内政美

ポッポの丘

住所:千葉県いすみ市作田1298
電話:0470-62-6751
営業:金・土・日・月・祝日のみ、10:00~16:00(悪天候時は休業)
料金:無料
交通:上総中川駅から徒歩約30分
   国吉駅からタクシーまたは無料のレンタサイクル(土・休日のみ、10:00~15:00)で10~20分

 

小湊鐵道&いすみ鉄道共通「房総横断乗車券」の買い方

小湊鐵道「里山トロッコ号」は土・日・祝日を中心に運行

「房総横断乗車券」を使った、小湊鐵道といすみ鉄道で房総半島を横断する鉄道旅をご紹介しました。なお小湊鐵道では3月16日から、観光列車「里山トロッコ」号が土・日・祝日を中心に運行します。「里山トロッコ号」は、乗車券のほかに、トロッコ整理券(500円、大人・小人同額)が必要。整理券はホームページ、または電話にて事前に申し込むことができ、乗車当日にトロッコ乗車駅(トロッコ整理券窓口にて、名前もしくは受付番号を伝え現金で購入します(当日券は空席がある場合のみ販売)。定員制の4両全車自由席ですが、展望車(窓なし車両)、普通車(窓付き車両)を選べます。旅行プランに組み込んでみるのも楽しいでしょう。

房総横断乗車券

区間:小湊鐵道五井駅〜いすみ鉄道大原駅
   ※乗車当日の1日限り有効。途中下車可、下車駅より後戻りは不可。
料金:大人1,700円 小人850円
販売場所:五井駅、大多喜駅、大原駅など。列車内の車掌からも購入可。
問合せ:小湊鐵道株式会社 0436-21-6771(運輸課)
    いすみ鉄道株式会社  0470-82-2161

 

文:古橋龍一(美和企画)

ハルメク365編集部

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