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- 温泉豆知識[5]健康回復に役立つ足湯と手湯
体をささっとと流して、どぼんと浸かる。最高の気分ですが、国がおすすめする「入浴方法」には、まず手足にお湯をかけて体を慣らしたほうがいいとあります。実は、足湯や手湯はお手軽なだけではない、すごい効果があるのです。
浴槽に入る前にしたほうがいいこととは
体にやさしい温泉の利用法が、温泉法の改訂(2014年)の際に環境省から各地方自治体へ送られた通知の「入浴方法」にあります。
その中の[入浴形態]には、「心肺機能の低下している人は、全身浴よりも半身浴又は部分浴が望ましいこと」とあります。併せて、[入浴前の注意]として、「浴槽に入る前に、手足から掛け湯をして温度に慣らす(後略)」とも記されています。
環境省からの通知で、体にやさしい入浴法は、「半身浴又は部分浴」や「手足の掛け湯」であることがわかります。
体にやさしい入浴法を、手軽に体験できるのが足湯と手湯です。足湯は、温泉地の多くに設置されていて、衣服を脱がないでも温泉を体感できるので人気があります。もっと手軽なのが手湯です。
“足湯”については、国立循環器病センター(現・国立循環器病研究センター 大阪府吹田市)が、2007年に、心臓移植待機患者4名と、07~08年にかけて人工心臓装着中の重症心不全患者5名に対して行った研究があります。研究では、患者さんの下半身をタオルでくるみ、下肢に42℃のスチーム浴を15分間行って、その後、30分間安静にして保温するという手順を1日に1回、2週間続けました。
その結果、心臓の僧房弁(左心房と左心室の間にある弁)の逆流が減少傾向になって、心臓から血液を送り出す能力が向上し、血管内皮細胞(血管の内側にある細胞)の機能も改善して、血管が広がりやすくなりました。どちらの効果も、心臓の負担が減ったのです。
手足を温めるだけで体全体の機能が回復する
手足が冷たくなるのは、血流が悪くなっているからです。体の末端にある細胞に酸素や栄養を送るために、細くなった血管に血液を送ろうとすれば血圧を強くしなければならず、血液を押し出す心臓に負担がかかります。そこで、手足の先端を温めてやれば、温かい血液が全身を巡って、体全体の機能が改善される可能性があるのです。
この研究で使用された下半身のスチーム浴は、足湯や手湯と同じものではありませんが、末梢循環(体の末端の血液循環)を活発にするという点では両者は共通しています。
足湯は、温泉地には必ずと言っていいほど設けられて、ほとんどが無料で利用できます。それに比べて、手湯は少ないながらも、JR別府駅(大分県別府市)の東口あるほか、温泉水の汲み場で流れているお湯を手に当てるだけでも温まります。
足湯と手湯を同時にできれば、末梢循環はさらによくなるはずです。岡山県真庭市の湯原温泉(アルカリ性単純温泉)では、足湯と手湯が同時に利用できます。また、飯坂温泉(福島市)の旧堀切邸では、足湯と手湯が別々になっていますが、どちらも利用可能です。
余談ながら、体の機能を改善するために、東洋医学のツボ刺激があります。足裏の土踏まずの指に近いところにある湧泉(ゆうせん)や膝の内側の曲泉(きょくせん)は、血の巡りを良くして冷え症を改善するツボと東洋医学では考えられています。末梢循環を良くし、自律神経を正常にして、体全体を改善するという考え方は、温泉療法につながります。
また、膝がしらの外側の指三本分下にある足三里(あしのさんり)は、消化機能をアップのツボです。栄養の消化・吸収は健康の基本。江戸時代の俳人・松尾芭蕉は、足三里にお灸を据えながら、奥の細道を踏破したと伝えられています。
ツボは、人間の歴史の中で経験的に得られた神経や血管の“刺激ポイント”で、その効果は科学的に証明しつつあります。ツボの刺激には、セルフ灸のほかに、つまようじの尖っていない方を使って押すだけでも効果があります。ただし、温泉や足湯で温まった足のツボを刺激しても、効果はありません。
ところで、温泉地の浴室には、足の裏側一面に人体のツボを記した「足裏反射区」がよく紹介されています。そのツボについて、ある東洋医学会の会長は、こう話していました。「足裏反射区は、アメリカ人医師が、両足の裏側に、人体図を当てはめたこじつけです。それらの“ツボ”と、表示された内臓や器官との関係に、根拠はありません。
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