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- 温泉豆知識[1]日本に温泉が多い理由とは
プレートがぶつかり合う日本は世界でも屈指の火山大国。自然災害も少なくありませんが、その一方、温泉という最高の贈り物ももたらしてくれています。
活火山がもたらす大きな恵みが温泉
日本の温泉地数は、環境省によれば3038か所(2017年3月末現在)で、源泉数は2万7421か所(同)にものぼります。
温泉といえば、火山の近くや火山地帯で、沸騰するようなお湯や蒸気が噴出しているところを想像する人が多いでしょう。たしかに、日本には世界の活火山(1548山)のうち108山の活火山がある世界4位の火山大国です。
火山は、噴火や降灰などの自然災害をもたらす一方で、きれいな水や美しい景色、噴出物を資源として有効利用できるなど、多くの恩恵を与えてくれます。そのひとつが温泉なのです。
温泉は、成因によって火山性の温泉と非火山性の温泉に分類されます。
火山性の温泉は、マグマに由来します。マグマが地上に噴出したものが溶岩です。火山の地下数キロから十数キロにあるマグマ溜まりにマグマが満たされると、その周囲は1000度以上の高温になります。地下水が、マグマで温められて高温になり、地殻の割れ目などを通って噴出したり、ボーリングして湧き出したりするのが火山性の温泉です。
火山性の温泉では、高温で吹き出す温泉や蒸気が吹き出すところが多く、私たちは入浴や調理に利用し、今では地熱発電も行われています。
では、なぜ日本には火山性の温泉が多いのでしょうか。それは、日本の周辺には、地球の表面を覆うプレートと呼ぶ大きな岩盤が集まっているからです。東日本から北海道にかけては北米プレートに乗っていて、西日本から九州・沖縄にかけてはユーラシアプレートに乗っていて、両者はせめぎ合っています。その境界上にフォッサマグナ(中央構造線)はあります。
さらに、その境目に、フィリピン海プレートが南から押し上げ、東からは太平洋プレートが押し寄せています。
プレートどうしが押し合うと、片方が、もう片方の下にもぐり込んで、岩盤が摩擦熱で溶けてマグマになります。そのマグマが噴出したのが火山。火山が連なる火山帯は、地球のプレート運動と大きな関係があって、日本の火山帯は環太平洋火山帯の一部に過ぎません。
たとえば、伊豆半島はフィリピン海プレートに乗っていて、かつては日本の数千キロ南方にありました。その伊豆半島が100万年ほど前、本州にぶつかり、造山運動によってできた火山が富士山です。今でも伊豆半島は年に数センチずつ北上し続けています。富士山周辺の神奈川県西部から山梨県にかけてと、フォッサマグナが走る長野県から新潟県にかけて温泉が多いのは、地球のプレートが動いている結果にほかなりません。
ボーリング技術が進み非火山性温泉が増えた
これらの火山性の温泉に対して、火山とは関係ない非火山性の温泉があります。火山とは関係ないのに、なぜ温泉ができるのか。それは、地下を掘り進んでいくと100mごとに約3度ずつ地温が上昇していくためです。
日本の温泉井戸は、1000mも掘り下げるケースが多く、最近では2000m以上も掘削する技術が利用されています。それだけ地下の深いところにある地下水は、地下1000mで30度以上、地下2000mで60度以上になる計算ですから、温泉法に照らしても25度以上の温泉の規準を満たしています。ちなみに、日本でいちばん深い温泉井戸は、青森県六か所村にある六ヶ所温泉(地下2714m)で、泉温は約92度。戦後、ボーリング技術が進歩したおかげで、今では火山性の温泉よりも非火山性の温泉のほうが多くなりました。
都道府県別の温泉地数のトップ5は、1位・北海道(245か所)、2位・長野県(224か所)、3位・新潟県(153か所)、4位・青森県(133か所)、5位・福島県(132か所)です。
温泉のもとは、地上に降った雨や雪、海水などが染み込んだ地下水です。その地下水が地下で温められたのちに、マグマや岩盤に含まれる鉱物やガスなどを含んで、温泉として噴出しています。その含有成分の量によって、温泉法で10種類の泉質が定められています。
私たちの祖先は、温泉の効能を経験上知っていて、少なくとも2000年以上前から、健康や生活のために利用してきたのです。
■温泉豆知識
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