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- 温泉豆知識[4]温泉の正しい入浴法とは
温泉では、お湯に肩までどっぷりとつかって、できるだけ長く湯船に入る……という方はいませんか。夕食でお酒をたくさん飲んだあとに入浴したり、体に負担がかかるような入り方をすると、かえって体を悪くしかねません。
高温の長湯はお肌のダメージにつながる!?
大分県別府市の共同浴場・竹瓦温泉(普通浴100円、砂湯1030円)を訪れた時、浴室の壁に「温泉の禁忌症・適応症・その他」が貼り出されていて、中に「入浴方法」が記されていました。これは、温泉法の改訂(2014年)の際に、環境省から各地方自治体へ通知された「技術的助言」が元になっています。
先に、竹瓦温泉の泉質を説明しておきます。男湯は泉温が53.8℃で、泉質はナトリウム・カルシウム・マグネシウムを含む塩化物・炭酸水素塩泉。一方、女湯の泉温は52.0℃で、泉質はナトリウムを含む炭酸水素塩泉と異なっています(砂湯は男湯と同等)。
男湯の「入浴方法」にはこうありました。
[温度]高齢者、高血圧症若しくは心臓病の人又は脳卒中を経験した人は、42℃以上の高温浴は避けること。
[形態]心肺機能が低下している人は、全身浴よりも半身浴叉は部分浴が望ましいこと。
[回数]入浴開始後数日は、1日当たり1~2回とし、慣れてきたら2~3回まで増やしてもよいこと。
[時間]入浴温度により異なるが、1回当たり、初めは3~10分程度とし、慣れてきたら15分~20分程度まで延長してよいこと。(大分県東部保健所長)
[温度]の項目に記されているように、「42℃未満」が無理なく入浴するには適した湯温です。この温度より高いと、記された既往症の人には負担が多くなります。
それに、43℃以上のお湯に長時間つかっていると、皮膚の表皮細胞やその下にあるコラーゲン繊維がダメージを受けて、皮膚の老化(シワ)につながります。女性は要注意です。
とはいっても、湯温が43℃以上でも体の深部体温(舌下温など体の内部の体温)は急には上がらないので、それほど心配するには及びません。温泉を健康的に利用するには、深部体温を約1℃上げるような入り方が望ましいと言われています。体温を1℃上げるだけでも、血流が多くなって、免疫細胞が活性化します。
湯あたりを防ぐにはコップ1杯のお水を飲んでから入浴を
[形態]で、心肺機能が低下している人に半身浴や部分浴を勧めるのは、首まで湯に長時間つかっていると、温熱や水圧で心臓や肺などの内臓に負担がかかるからです。それに、入浴するだけでもコップ1杯分ほど汗をかくので、熱中症や脱水症状を起こしやすくなります。
湯あたりを防ぐためにも、入浴前後には水分補給を心がけてください。ただし、お酒は逆効果。お酒には利尿作用があるうえに、アルコールを肝臓で加水分解するためには水が必要なので、ますます脱水症状になりかねません。
[回数]と[時間]については、滞在しながら入浴する人向けのアドバイスです。ある国立大学で温泉療法を研究されていた教授(当時)は、温泉の効能をこう話していました。
「二酸化炭素泉やイオン系の成分を含む温泉は、皮膚から成分が吸収されて血管に入りますが、それらの成分を体が異物として認識して対外に排出させようとするので、血流が良くなると推測されています。体内に異物が入ると、血管内皮細胞から一酸化窒素(NO)が出て、血管を拡張させるのではないかと考える研究者もいます」
つまり、温泉の成分は、薬というよりは、体を活性化するための“刺激剤”なのかもしれません。
温泉は入浴するだけでも、精神的にリラックスする効果があります。もっと温泉の効能を感じたかったら、こちらで紹介した適正な入浴方法を守り、湯上がりの体は上がり湯やシャワーで流さないようにして温泉の成分を皮膚に付着させましょう。プチ湯治や湯治の場合は、入浴開始から3~4日目に1日休むと、体の負担がやわらぎます。
■温泉豆知識
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