大人女性におすすめ!温泉めぐりの旅・7

名湯と冬の味覚・松葉蟹を堪能!玉造温泉の旅:島根県

公開日:2023.11.23

玉造温泉(島根県)の特徴・アクセス方法をチェック

玉造温泉の玉湯川に架かる勾玉橋。巨大な勾玉が目印 (島根県観光写真ギャラリー)
玉造温泉の玉湯川に架かる勾玉橋。巨大な勾玉が目印
(引用:島根県観光写真ギャラリー

島根県松江市中心部から約9.5km、宍道湖南岸の山間に湧く玉造温泉。開湯は奈良時代初めと伝わり、733年に編纂された地誌書『出雲国風土記』には、「いで湯に一度入ると容姿が端麗になり、再び入れば万病が治る」との記述があることから、日本最古の美肌温泉と言われます。

松江市を代表する観光名所である国宝の松江城も車で20分程度の距離に位置しているため、合わせて訪れることもできます。

東京・大阪・名古屋・福岡など各都市を結ぶ空の玄関口・出雲空港(出雲縁結び空港)からは車で30分ほど。空港連絡バスも運行していて、所要約30分とアクセスも良好です。

【空港からのアクセス】
●出雲空港(出雲縁結び空港)→空港連絡バス約30分→バス停温泉下、姫神広場、温泉上

今回訪れた温泉宿「界 玉造」と周辺観光スポット

今回訪れた温泉宿「界 玉造」と周辺観光スポット
大人女性に人気の温泉宿「界 玉造

今回宿泊した「界 玉造」は、2022年11月にリニューアルオープン。すべての部屋に温泉露天風呂が備わり、気兼ねなく好きな時間に湯浴みができます。また、日本海の海の幸や地場食材をふんだんに使った食事、地酒、そして石見神楽など、島根の伝統文化も体験できます。

玉湯川沿いに宿が立ち並ぶ玉造温泉街には、温泉コスメや特産品を販売するお店、温泉の神様を祀る神社、無料の足湯も備わり、散策を楽しみながらひと休みすることができます。ここでは温泉街と周辺の観光スポットをまとめてご紹介します。

松江市のシンボル、現存天守は国宝「松江城」

約400年もの間、建て替えられることなく残る松江城
約400年もの間、建て替えられることなく残る松江城

玉造温泉から車で約20分、出雲空港(出雲縁結び空港)からは約35分の距離に位置する松江城。慶長16年(1611年)に堀尾吉晴によって築城され、廃城令が下る明治8年(1875年)までの間、京極氏、松平氏の居城として機能しました。全国に12城のみ残る現存天守のひとつであり、平成27年(2015年)、国宝に指定されました。

天守最上階(5階)から眺める松江の城下と宍道湖
天守最上階(5階)から眺める松江の城下と宍道湖

地下1階から5階、四重の構造をもつ松江城。城内では建物の荷重を分散させる、互入式の通し柱の構造や、国宝指定を決定付ける「慶長16年」と記す祈祷札が付けられていた天守最大柱など、貴重な歴史遺産を見ることができます。

当時のままの姿を残しているため、階段は狭く急勾配ですが、天守最上階「天狗の間」は松江の城下を一望できるビュースポットとなっているので、ぜひ登ってみてください。

松江の城下町で味わう「季節の風 蔵」のしじみ丼

松江城から歩いて10分、京店商店街近くにある「季節の風 蔵(ときのかぜ くら)」は、宍道湖産の大和しじみをたっぷり使った丼が名物の食事処。米穀店を営んでいたということもあり、お米にもこだわっています。

松江市の西側に広がる宍道湖は、淡水と海水が混じり合う汽水湖で、シラウオやウナギなどさまざまな魚介が獲れます。なかでも大和しじみは日本一の漁獲量を誇り、粒の大きさや旨味成分もたっぷり含まれていることから島根県を代表する名産品のひとつです。

島根県を代表する名産品:しじみ丼
しじみ汁、しじみの佃煮、とろろ芋、おひたし、漬物がセットに

こちらが名物のしじみ丼です。漁師から直接仕入れる新鮮な大和しじみを一つ一つ剥き身にして、特製のタレに漬け込みます。しじみの出汁で炊き上げた奥出雲産コシヒカリと混ぜ合わせ、しじみを取り出してご飯の上にのせれば完成です。

ふっくらとした「しじみ丼」は、旨味そのもの! 甘めの特製タレが染みたご飯の程よい粘りと風味もよく、あっという間に完食です。

もっとしじみを堪能したい人は、特大の大和しじみをぜいたくに使った「特別仕立て しじみ丼」がおすすめ。ただし、数量限定なので早めに訪れてください。

「玉造アートボックス」で温泉コスメや特産品をおみやげに

玉造温泉街にある「玉造アートボックス」は、かつての旅館をリノベーションした、おみやげ店やカフェなど個性豊かなショップが集まる複合施設です。

1階は玉造温泉の温泉水を使った美肌コスメメーカー「姫ラボ」のスキンケアアイテムを中心に、地元の特産品も販売。2階はレトロ雑貨店、カフェ、着物レンタルやフォトスタジオ、マッサージルームもあります。

玉造温泉街にある「玉造アードボックス」
1階は「姫ラボ」のスキンケア商品がずらり

温泉成分を80%も配合したエッセンスローション、高保湿の石けんなど「姫ラボ」のスキンケア商品は約15種類揃います。そのほか、地元和菓子店やお茶屋とのコラボ商品もあります。

左からブレンド茶、さいころ寒天、「姫ラボ」のフェイスパックシート、ミニ石けんと泡立ネットのセット

1階でおみやげをセレクト。「こころ潤すブレンド茶」は、日本の香草・クロモジをベースに柚子と生姜をブレンドしたさわやかな香りが心地いいティーバッグタイプのお茶です。玉造温泉をイメージしたさいころ寒天「きらきら」とともに「玉造アートボックス」限定販売です。

温泉成分74%配合の「エッセンシャルフェイスパックシート」、お試しサイズの泡立てネット付きのミニ石けんは、親しい友人たちへのおみやげにぴったり。テスターもあるので、つけ心地や肌馴染みをチェックすることもできます。

古社「玉作湯神社」で願い石のお守りを授かる

玉造温泉街の奥には勾玉などの玉造・温泉医療・温泉守護の3神を祀る「玉作湯神社」が鎮座します。創建は不明ですが、『出雲国風土記』には登場することから、1300年以上の歴史をもつといわれます。

「玉作湯神社」の願い石のお守り
叶い石のお守りセット。叶い石は色や形はさまざま

境内には真玉(まだま)とよばれる御神石が奉られています。この真玉に、叶い石(お守り石)を触れさせて祈願すれば、願いが叶うと伝わります。社務所で叶い石を授与して、自分だけのお守りを作ってみましょう。

拝殿でお参りしたのち、真玉から流れ出る御神水で叶い石を清めます。

その後、真玉に叶い石を直接触れされて、心の中で祈願します。記帳台で複写式の願い札に願い事や名前・住所を書き、1枚は拝殿に備わる納入箱へ、もう1枚は叶い石といっしょにお守り袋に包んで完成です。願いが叶った際にはお礼参りも忘れなく。

島根の伝統文化に彩られた「界 玉造」へ!

島根の伝統文化に彩られた「界 玉造」へ!

温泉街や周辺スポットで観光を楽しんだ後は、いよいよ温泉旅館「界 玉造」へ! 

玉湯川が流れる温泉街の中心に立つ、純和風の建物。期待を胸に石畳のアプローチを進み引き戸を開けると、日本庭園を望む静寂に包まれたロビーに到着です。梁を見せた開放的な空間に大きな岩、その上には『因幡の白兎』の影絵がひょっこりお目見えします。

滞在プランの内容

  • 特徴的なフロントや太鼓橋
  • ご当地部屋「玉湯の間」
  • 「温泉いろは」で温泉の歴史や泉質を知る
  • 源泉・日本酒パックもある大浴場
  • 山陰の冬の味覚「松葉蟹」を楽しむ会席
  • 「日本酒BAR」で地酒を飲み比べ
  • 伝統芸能「石見神楽」を鑑賞
  • 目覚めの「奉納相撲体操」と「ご当地朝食」

ロビーを抜け、昭和13年(1938年)の建築当時から残る朱色の太鼓橋を渡り客室へ向かいます。2階建て全24室の「界 玉造」は、1階に12の客室と大浴場や食事処など、2階は客室のみで、竹の中庭を囲むようにレイアウトされています。

竹の中庭(星野リゾート様提供)
竹の中庭(星野リゾート様提供)

竹の中庭は無数の竹灯篭が置かれ、夜になると幻想的な灯りで彩られます。中庭散策はもちろん、食事処から眺めることもできます。

湯浴み三昧が叶う、ご当地部屋「玉湯の間」

湯浴み三昧が叶う、ご当地部屋「玉湯の間」

1階は広さ52平米の檜または信楽焼の露天風呂を備えた客室、2階は広さ46平米でバルコニーに信楽焼の露天風呂があります。

すべての客室が島根の伝統工芸を活かした“ご当地部屋”とよばれる「玉湯の間」で、和の装いのなかにモダンなデザインを取り入れた、大人女性にぴったりの寛ぎ空間。

今回宿泊したのは、2階の客室。小上がりとなったベッドスペースを飾るのは、150年以上続く糸染専門・天野紺屋による藍染アートです。雲の切れ間から宍道湖に差す太陽の光“天使の椅子”を藍色のグラデーションで表現しています。

「界 玉造」の“ご当地部屋”「玉湯の間」

ぽってりフォルムがかわいいコーヒーカップ、瑠璃色が印象的な湯呑み、どちらも地元窯元「出西窯」によるもの。ほかにも出雲鉄工の技を継承する鍛治工房弘光による灯籠やルームキーのキーホルダーなど、アメニティもご当地揃いで、探すのが楽しくなるほどさまざまな意匠に出合えます。

「界 玉造」酒樽の形をしたテーブルを置く次の間

アーチを描く天井に、酒樽の形をしたテーブルを置く次の間は、酒蔵の麹室をイメージ。日本酒発祥の地と伝わる島根県ならではのデザインに遊び心を感じます。次の間を彩る勾玉が隠れた研ぎ出しアートにも注目してみてください。

露天風呂は次の間の奥。

信楽焼の温泉露天風呂:界 玉造

すべての部屋に檜または信楽焼の温泉露天風呂を設えているので、24時間いつでも美肌の湯に浸かれる、非日常のリラクゼーションを体感できます。

大浴場で効能あらたかな美肌の湯に浸かる

界 玉造の大浴場:美肌の湯に浸かる

大浴場への入浴前に、まずは玉造温泉の歴史や泉質、紙芝居で入浴方法を学ぶ「温泉いろは」に参加しましょう。

奈良時代から美肌の湯として人々を癒してきた玉造温泉。泉質はナトリウム・カルシウム・硫酸塩・塩化物泉(弱アルカリ性)で、その特性から古い角質を取り除き、肌に潤いを与え、さらに保湿効果にも優れています。

界 玉造の「温泉いろは」
「温泉いろは」は16時から15分間、大浴場前にある湯上処で開催

玉造温泉のいろはを学んだ後は、大浴場で湯浴みを。中央にあるお社から名湯が流れ出る内風呂、その先には岩造りの開放的な露天風呂もあります。無色透明な湯は柔らかく、肌にさらっと馴染む感覚が心地よく感じられるでしょう。

大浴場には源泉を使ったフェイスパックのセットも! 

大浴場入り口の美酒処。日本酒に含まれる麹酸は美白美肌の効果に優れている
大浴場入り口の美酒処。日本酒に含まれる麹酸は美白美肌の効果に優れている

枡に源泉を注いでシートに浸せばパックが完成。しっとりもちもち肌に導いてくれます。大浴場で、部屋の露天風呂で、温泉に浸かりながらお肌のお手入れができます。

夕食は冬の味覚・松葉蟹(松葉ガニ)を思う存分味わう!

夕食は冬の味覚・松葉蟹を思う存分味わう!
産地を証明するタグが付いた「活松葉蟹の杉板奉書蒸し」

毎年11月になると冬の味覚・松葉蟹の蟹漁が解禁されます。山陰地方で水揚げされるズワイガニの雄は松葉蟹とよばれ、凝縮された上品な旨みは全国的に知られるほど。

「界 玉造」では2023年11月7日から2024年3月9日まで、蒸し蟹、焼き蟹、蟹刺しなどあらゆる調理法で松葉蟹を堪能できる、「タグ付き松葉蟹会席」と「タグ付き活松葉蟹づくし会席」の2つの蟹コースを提供しています。

その中の一品「活松葉蟹の杉板奉書蒸し」は、奉書(厚手和紙)で包んだ松葉蟹を杉板と高温で一気に蒸し上げる、松江藩の7代目藩主・松平不昧公にゆかりの調理法です。

蟹の旨味が凝縮され、ふっくらしたみずみずしい身は極上の味わいです。

活松葉蟹の杉板奉書蒸し(界 玉造)

「タグ付き活松葉蟹づくし会席」では、ご当地の味覚を掛け合わせた一品が、宍道湖名産・しじみの出汁でいただく、蟹すき鍋も楽しめます。しじみからたっぷり染み出たスープは、栄養の宝庫! 締めの雑炊まで存分に楽しんでください。

島根の地酒を飲み比べできる「日本酒BAR」

島根の地酒を飲み比べできる「日本酒BAR」
18時からオープン(予約制、利用時間は30分)

日本酒発祥の地に訪れたからには、島根の名酒に酔いしれてみたいところです。食事処の先にある「日本酒BAR」は、「界 玉造」のスタッフが県内の酒蔵を訪れて厳選した、42の銘柄を取り揃えています。

(左)日本酒3種(90ml)+おつまみ1種、(右)八塩折の酒(30ml)+おつまみ1種
(左)日本酒3種(90ml)+おつまみ1種、(右)八塩折の酒(30ml)+おつまみ1種

初見の日本酒が多く、どれにしようか迷ったときには、甘口・辛口・どっしり・優しさなど、スタッフおすすめの3種を組み合わせたセットがあるので、そのなかから選ぶこともできます。低アルコールの日本酒も用意しているので、お酒が弱い人も気負わずに、地酒の魅力を堪能できます。

特別な日本酒を味わいたいなら、八岐大蛇(ヤマタノオロチ)退治に登場するお酒を再現した、八塩折の酒をぜひ。濃厚で独特な甘さがクセになります。

痛快!迫力大!ご当地楽 石見神楽「大蛇」で神話の世界へ

痛快!迫力大!ご当地楽 石見神楽「大蛇」で神話の世界へ
毎晩21時15分からフロントまたは竹庭で披露される石見神楽「大蛇」

地域の伝統文化を発信する「界」おもてなしの一つ「ご当地楽」。「界 玉造」では石見地方に伝わる芸能「石見神楽」をスタッフが披露します!

演目は須佐之男命(スサノオノミコト)が大蛇を日本酒で酔わせて退治する、八岐大蛇伝説を題材にした「大蛇(オロチ)」。16mはあろう大蛇がとぐろを巻きながら舞台上を暴れ回る姿は圧巻の迫力です。上演後は演者と写真撮影ができるので、より近くで須佐之男命の華麗な衣装や大蛇を見てください。大蛇の素材や重量に驚きますよ。

翌朝は「奉納相撲体操」&朝食でパワーチャージ!

朝7時からフロントで行われる「奉納相撲体操」(予約制)

翌朝は「現代湯治体操」から1日を始めましょう。相撲発祥の地、出雲にちなんだ「奉納相撲体操」は、4秒で吸って、8秒で吐くという呼吸法を基本に、すり足や四股を取り入れた体操を行います。硬くなった筋肉がほぐれ、体がぽかぽかと温かくなります。

体を動かした後は、「ご当地朝食」の時間です。

界 玉造の「ご当地朝食」

のどぐろの干物に、わかめを板状に乾燥させた板わかめ、魚のすり身に唐辛子を練り込んだ赤天など、普段なかなか味わうことのない島根の食文化が楽しめます。酒粕と味噌を合わせた鶏つくねの杜氏鍋は、発酵の旨味が際立つ一品でした。

「トラベルライブラリー」のそばにあるテラス席
「トラベルライブラリー」のそばにあるテラス席

界 玉造」のチェックアウトは12時。客室の露天風呂で湯浴みをしたり、「トラベルライブラリー」でコーヒーを飲みながら島根にまつわる本を読んだり、最後までゆっくり寛げます。竹の中庭に面したテラスで緑に癒されながらのんびりするのもおすすめです。

美肌の湯にたっぷり浸かり、冬の味覚・松葉蟹に舌鼓を打つ。寒さが厳しくなるこれからのシーズンにぴったりな、心も身体も温かくなる玉造温泉旅へ出かけてみてはいかがでしょうか。

今回宿泊した温泉宿はこちら

界 玉造

日本最古の美肌の湯・玉造温泉の中心街に佇む全室露天風呂付きの温泉旅館。山陰の海の幸を活かした会席料理や、伝統芸能「石見神楽」を楽しめる。2022年11月にリニューアルオープン。「70歳以上限定 温泉旅シリーズ」の対象施設の一つとして、シニア女性にも人気。

 ●住所:〒699-0201 島根県松江市玉湯町玉造1237

取材協力:星野リゾート 文・写真:木村秋子 編集:  竹下沙弥香(ハルメク365編集部)

ハルメク365編集部

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