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- 棚田ビューを満喫!初夏の由布院温泉なごみ旅:大分県
大人女性に人気の温泉&周辺エリアの四季折々の楽しみ方を紹介する連載企画。今回訪れたのは、全国2位の湧出量と源泉数を誇る大分・由布院温泉。金鱗湖や観光辻馬車などの観光スポットとともに、棚田ビューが美しい「界 由布院」滞在レポートを紹介します。
由布院温泉(大分県)の特徴・アクセス方法をチェック
標高1584mの由布岳の麓に広がる由布院(湯布院)温泉。無色透明のやわらかい肌触りの単純温泉が街のあちこちから湧出します。開発規制のため高層な旅館やホテルはなく、田園地帯を残しながら宿が点在。のどかな風景が広がります。
また「ゆふいん音楽祭」をはじめとする文化事業も多く、芸術を楽しむ温泉地でもあります。
空の玄関口である大分空港へは東京・大阪・名古屋など各都市からの便数も多く、福岡・博多駅からはJR特急ゆふいんの森号や、西鉄バスゆふいん号で2時間15~20分と、乗り換えなしで到着でき、アクセスも抜群です。
【空港からのアクセス】
大分空港→高速リムジンバス約55分→JR由布院駅前
今回訪れた温泉宿「界 由布院」と周辺観光スポット
今回泊まった「界 由布院」は、星野リゾートが運営する温泉旅館ブランド「界」の中でも、2022年8月3日に開業したばかりの新しい宿。
アメリカの大手旅行専門誌『トラベル・アンド・レジャー(Travel + Leisure®)』が2023年4月6日に発表した「The 100 Best New Hotels in the World(The It List)」で、日本国内で唯一選出されたことで注目が高まっています。
由布岳を望む静かな立地とともに、宿の中心に広がる棚田が魅力。宿の設計・デザインは世界的な建築家・隈研吾氏。自然の純粋な美しさを棚田を通して感じてもらいたいと語ります。
季節や時間帯によって移りゆく棚田の情景は見飽きることがなく、良質な温泉を楽しみながら、のんびりと過ごせる温泉宿です。
宿の周辺には、幻想的な朝霧で知られる金鱗湖(きんりんこ)や共同浴場、さまざまなショップが立ち並ぶ湯の坪街道、ポコポコとのんびり走る観光辻馬車など、賑わいの中にものどかな観光スポットが豊富です。
今回は、そんな数ある観光名所の中から、大人女性に特におすすめの立ち寄りスポットなどをご紹介します。
散策にぴったり!温泉が流入する「金鱗湖」
由布院駅から徒歩約20分、周囲400mほどの金鱗湖に到着。金鱗湖には温泉が流れ込み、年間を通して水温が高いため、冬の早朝には湖面から湯気が立ち上がる幻想的な光景が見られます。
また、金鱗湖の名前由来が「夕日にきらめく魚の鱗」とされるだけに、夕方の散策もおすすめです。時間があれば、遊歩道を歩いてみましょう。周りには小さな公園や天祖神社が。鳥居が湖の中に立っているのも神聖な雰囲気がありますよ。
由布院名物!田園を走る「観光辻馬車」
40年続く由布院の風物詩、観光辻馬車。由布院駅前をスタートし、佛山寺や宇奈岐日女神社(うなぎひめ・じんじゃ)を経て駅に戻る約1時間のコースです。
馬の蹄の音を聞きながら、美しい里山の風景を眺めていると、日常を忘れてしまうよう。がんばって馬車を引いた馬との記念撮影もお忘れなく! 予約は駅の由布市ツーリストインフォメーションセンターで、当日のみ・先着順です。
「箸屋一膳」で由布院の木材を使った箸作り体験に挑戦
山々に囲まれる由布院。周辺で育つ間伐材などを使って箸作りをしているのが「箸屋一膳」です。クヌギや桜、カエデなど約30種類の木材で作る美しく使いやすい箸が揃います。
自分の手に合う箸のサイズは、一咫半(ひとあたはん)。親指と人差し指を90度に開いた時の斜辺の長さに1.5倍にした長さです。覚えておくと便利ですね。
工房を備える本店では、お箸作り体験ができます(※なるべく事前予約を)
所要時間は、約2時間。小刀とサンドペーパーを使って削っていきます。
2本の箸を対称に作るのが難しいですが、仕上げに焼きペンを使って模様や文字を入れれば、自分だけの「マイ箸」が完成! 防水コーディングが施され、3週間ほどで手元に届きます。マイ箸は愛着がわきますし、旅の思い出にもなりますね。
山椒の香りが際立つ「菊すけ」のカレーうどん
大分空港からこの店に直行する客がいるというほど人気の「菊すけ」。由布院の中心街から少し離れた高台にあります。
もともと実家のそば屋を手伝っていた店主・菊地昇さん。自身のカレー好きが高じて、独学でうどん作りを学んで「山椒カレーうどんの専門店」をオープンしたといいます。
九州産小麦粉の自家製麺に山椒をきかせた看板メニュー「山椒カレーうどん」は、刺激的な「赤」とカシューナッツでまろやかにした「白」の2種類があります。
アスパラガスやパプリカ、茄子などが盛られた季節の野菜(赤)は、香り豊かな山椒がピリリと効いたカレーと、もちもちの麺がよく絡み、さらに野菜の甘みがなじみます。
麺を食べ終わった頃合いに、ご飯とフライドガーリックが運ばれ、カレーに投入。うどんとご飯で2度楽しめます。
食後のお口直しは、パイナップルとマンゴーのスムージー。ひりひり痺れた口の中をさっぱりさせてくれます。病みつきになること間違いなしのおいしさです。
棚田やかまど、日本の原風景を五感で感じる「界 由布院」へ
由布院の中心街の散策を終えたら、いざ「界 由布院」へ!
由布岳を望む静かな立地にあり、宿の中心には美しい棚田が広がります。宿のコンセプトは「棚田暦(たなだ・ごよみ)で憩う宿」。
私が訪れた新緑の時期は、田植えが終わり、みずみずしい表情の棚田が一面に広がっていました。縁側で寛ぐように、棚田テラスのいすに座れば、時間を忘れるひとときを過ごせます。
「かまど」を模したフロントカウンターには、羽釜(はがま:周囲につばのある飯たき釜)のオブジェが置かれています。チェックインで訪れた際には、どうぞ羽釜の蓋を開けてみてくださいね。
45部屋ある客室は、棚田の景色を楽しめるお部屋と、くぬぎ林に面したお部屋の大きく2種類に分かれており、それぞれに露天風呂付きの「離れ客室」が2室ずつあります。
「棚田離れ」は農家らしい寄棟屋根で、日田杉の床、室内に入ると大きな一枚ガラスのピクチャーウィンドウが。窓からの景色は目の前に絵画のような美しい棚田が広がります。
一方、樹木の中に点在する「くぬぎ離れ」には、独立した湯小屋があり、ラタンを編みこんだデッキチェアが置かれ、オープンエアのすがすがしい空間になっています。
由布岳を望む大浴場!「あつ湯」と「ぬる湯」の交互浴も
美しい景色を眺めて、しばしお部屋でゆっくり過ごしたら、お楽しみの温泉へ!
大浴場は広々とした開放的な空間。泉質は弱アルカリ性単純温泉で、やわらかな湯が満ちています。内湯には源泉かけ流しの「あつ湯」と、ゆっくりリラックスできる「ぬる湯」の2つの浴槽があります。
まずは「ぬる湯」で温泉に体をなじませ、次に「あつ湯」へ。交互浴でのんびりもおすすめです。肌を整える成分としても注目されるメタケイ酸も多く含まれた湯で癒しのひとときを。
露天風呂の前には棚田を模した植栽や高木があり、晴れた日には由布岳が顔を出してくれます。
ジビエ初心者も引き込まれる!山のももんじ鍋
夕食の特別会席は、猪(いのしし)と椎茸の最中パテと猪肉の生ハムと緑いっぱいのサラダから始まります。ジビエを代表する猪肉も、まったくクセがなく、食べやすく仕込みがされているので、初心者でも楽しめるはずです。
お造りや和え物、酢の物などが続き、いよいよ名物の「山のももんじ鍋」へ!
すっぽんの出汁で猪、鹿、穴熊、牛肉をしゃぶしゃぶで味わいます。
ジビエといえばイタリアンやフレンチでいただくのが一般的ですが、このシンプルなしゃぶしゃぶは秀逸。すっぽんの凝縮された力強い出汁にくぐらせることで、それぞれの肉が持つフルーティーで上品な甘さを引き出します。
個性的な肉に合わせるタレもすべて異なり、味わいを引き立てます。ジビエの概念が変わるかもしれません。
初夏の水辺に舞う蛍をイメージした「蛍かご照明」
地域らしさあふれる「界」のお楽しみといえば、ご当地部屋。「界 由布院」で注目したいのが、蛍かご照明です。
蛍かごとは、蛍を入れて飼育したり鑑賞したりするために、麦わらなどで作ったかごのこと。
「界 由布院」の客室には、これをイメージして、大分の国東(くにさき)半島でしかとれない植物・七島藺(しちとうい)のかごの中で淡い光が点滅する照明が配されているのです。
まさに蛍が舞うような、幻想的な光の演出を楽しみ、リラックスしてから眠りにつきましょう。
「棚田体操」で目覚めたら、わら綯いでお守り作り!
翌朝は少し早起きして「朝霧テラス」へ。
ここで毎朝行われているのが現代湯治体操「棚田体操」。呼吸法と田植えの動作にヒントを得た独特のストレッチで体をほぐします。朝霧の中、爽やかな風に吹かれて、山の朝の空気のおいしさも味わってください。
「界 由布院」のチェックアウトは12時と、2日目の朝もゆっくり過ごせるのがうれしいポイント。
朝食に野菜を中心とした和食膳を楽しんだ後は、ご当地楽を楽しみましょう。「界 由布院」では、農閑期に行われる手仕事である「わら綯い(わらない)」でお守りを作ります。
わら綯いとは、手を合わせてわらを綯っていくこと。右綯えはわらじなどの日用品をつくる方法、左綯えはしめ縄などの神事に用いる方法で、左綯えで祈りを込めてお守りを作り、最後に水引などの飾りをつけて完成です。
所要時間は30分。当日トラベルライブラリーで受付しているので、旅の思い出づくりに、ぜひ参加してみてくださいね。
今回は田植えが終わったばかりの6月の取材でしたが、「界 由布院」では季節ごと、時間ごとの棚田の美しさを体感できます。夏を越えた棚田には、豊かに稲穂が実り、黄金色の世界の中で稲刈りを迎えます。晩秋には藁こづみ(わらこづみ)が点在して……と、「棚田暦」の言葉通り、四季折々の情景を楽しめることでしょう。
日本人の琴線に触れる棚田ビューを楽しみながら、のんびりゆったり「なごみ旅」を楽しんでみてはいかがでしょうか。
今回宿泊した温泉宿はこちら
界 由布院
由布院の中心街から少し離れた小高い丘の上に佇む温泉旅館。豊富な温泉と棚田の情景を通して四季を感じることができる。70歳以上限定『温泉めぐり 界の定期券』の対象施設の一つとして、70代以上のシニア女性にも人気。
●住所:〒879-5102 大分県由布市湯布院町川上398
取材協力:星野リゾート 文・写真:関屋淳子 編集:竹下沙弥香(ハルメク365編集部)
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