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2022.07.252021年12月03日
日本全国のさまざまな焼き物をチェック!
プロに学ぶ!産地別・焼き物の種類と特徴
お茶時間に欠かせないのが急須や湯呑みなどの茶器。茶葉選びはもちろん、好みの茶器を揃えるのもお茶の楽しみ方の一つですよね。今回は、多くの茶器が作られる全国の焼き物の産地とその特徴や魅力についてご紹介します。
焼き物の種類と日本全国の産地をチェックしよう!
私たちの生活に欠かせない焼き物。陶磁器とも呼ばれ、石を原料とする「磁器」や土を原料とする「陶器」、磁器と陶器の中間的な特徴を持つ「せっ器」などさまざまな種類があります。
古くから多くの焼き物が作られてきた日本には、各地に陶磁器の産地が点在しており、国の伝統的工芸品に指定されているものだけでも31種類あります。それぞれの産地によって素材や焼き方、形などが異なり、それぞれの違いが楽しめるのも焼き物の魅力の一つです。
「日本六古窯(にほんろっこよう)」とは?
日本では多くの産地でそれぞれの特徴を生かした焼き物が作られてきましたが、そのような陶磁器窯の中でも中世から現在まで生産が続く代表的な6つの産地を「日本六古窯(にほんろっこよう)」と呼びます。
越前(福井県越前町)、瀬戸(愛知県瀬戸市)、常滑(愛知県常滑市)、信楽(滋賀県甲賀市)、丹波(兵庫県丹波篠山市)、備前(岡山県備前市)がその6つです。これは、昭和23年頃に古陶磁研究家・小山冨士夫氏により命名され、平成29年「日本遺産」に認定されました。
今回は、日本六古窯など日本の文化財として「日本遺産」に認定された窯元の陶芸作家3名に、その産地の焼き物の特徴や魅力、今後の展望などについてお聞きしました。
愛知県:更紗窯・長江哲男さんに学ぶ!瀬戸焼の特徴
まずご紹介するのは日本六古窯の一つで、1000年以上の歴史を持つ瀬戸焼。
良質な陶土、焼き物の燃料となる森林資源に恵まれ、陶磁器を「せともの」と呼ばれるようになったのもこの瀬戸焼が起源と言われています。鉄分がほぼ含まれない粘土から白い焼き物が作られ、その素地を生かすため多彩な釉薬、技法を用いた製品が生み出されてきました。
「瀬戸焼の魅力は幅広い焼き物が揃っていること。家庭用の食器から業務用食器、ニュウセラミック、碍子など多様な製品が作られています。また、長い歴史の中で培われてきた技術の高さも特長で、赤津地区で焼かれる伝統的な釉薬を使った陶器である赤津焼や、伝統技法である瀬戸染付は伝統工芸にも指定されています」(更紗窯・長江哲男さん)
瀬戸エリアには、陶芸家も多く抹茶椀や急須、茶香炉などお茶を楽しむための身近なアイテムも作られているとのことです。
「瀬戸焼の歴史は古く、1000年以上前にもさかのぼります。今後も伝統を大事にしつつ、自分のエッセンスを加えて新しい焼き物を創作していきたいと思います」(更紗窯・長江哲男さん)
兵庫県:山五陶勝窯・市野勝磯さんに学ぶ!丹波焼の特徴
続いてご紹介するのは同じく日本六古窯の一つである丹波焼。
丹波焼は山の斜面を利用した登り窯や蹴りろくろ(日本では珍しい左回りのろくろ)で作られ、人工的な釉薬を使用せず「自然釉」を用いることで、緑色や鳶色などの美しい発色が特徴です。1300℃の高温で約60時間焼く間に薪の灰が降りかかり、一品ずつ異なる模様や色合いに仕上がります。
「土は山土を使用し、そのまま焼成すると赤褐色で重厚な素朴な色合いになります。古くから現代もなお、穴窯や登り窯など薪窯での焼成が行われ、焼き締め独特の変化が楽しめる、味わい深い作品が作り続けられています。一方で今の生活様式に合った、明るく、現代感覚あふれる作品や食器も多く作られているのも魅力です」(山五陶勝窯・市野勝磯さん)
渋い焼き締めの陶器から、新しいデザインの現代陶器まで、幅広く作り続けられているのが、今の丹波焼の特徴とのこと。しかも土物の陶器で保温性に優れているため、お茶を飲むときはゆっくりと手に温もりが感じられるような質感で茶器にも向いています。
「守ってゆきたいものは自然豊かな丹波焼の故郷、この恵まれた環境です。登り窯も土も人もすべてが大切な財産です。この伝統的な環境を持ってチャレンジしたいのは自分にしか出来ない作品を作り続ける事。新しい形のオブジェから器に至るまで、自分の世界をこれからも展開して行きたいです」(山五陶勝窯・市野勝磯さん)
日本六古窯以外にも、有名な焼き物の産地はたくさんある
これら日本六古窯以外にも、日本には優れた焼き物の産地がまだまだあります。
例えば、日本遺産として文化庁に認定された「肥前やきもの圏」もその一つ。佐賀県唐津市、伊万里市、武雄市、嬉野市、有田町と、長崎県佐世保市、平戸市、波佐見町の8つのエリアになります。
そのうちの波佐見焼についても、その特徴や魅力をご紹介します。
長崎県:馬徳陶苑・馬場弘光さんに学ぶ!波佐見焼の特徴
波佐見焼の始まりは、元禄時代の1590年代頃。大村藩が、文禄・慶長の役の折に連れ帰った朝鮮人陶工たちによってもたらされたと言われています。
400年以上の歴史を持ち、庶民生活に陶磁器を広めた「くらわんか碗」や海外へ酒や調味料の輸出に使われた染付白磁の「コンプラ瓶」が有名。白磁の美しさと、呉須(藍色)で絵付けされた繊細な染付の高い技術が特徴で、長崎県最大の窯業地であり、日用和食器の出荷額は全国3位を誇っています。
「波佐見焼は主に陶石を素材にした陶磁器の器が盛んに作られています。ニーズに合わせて粘土質の素材の陶器(土もの)も増えています。焼成方法は主に還元焼成(酸素に触れない状態で焼く)で行われています。色合いは白磁に藍色の染付が主ですが、近年はさまざまな色合いの絵具や釉薬を用いて、カラフルなものも増えています」(馬徳陶苑・馬場弘光さん)
波佐見焼は、歴史的に普段使いの器がメイン。茶器に関しても普段使いのしやすさを意識したものが作られています。急須は注ぎ口が身と一体型になっているものが多く、洗いやすく、衛生的で茶渋などが目立ちにくい技法を施しているのがポイントです。その他、湯呑み、仙茶、土瓶、ポット、その他に茶香炉や湯冷ましなど多種多様な茶器が作られています。
「馬徳陶苑は、昔からホタル焼(蛍手)を焚き上げてきた窯元ですので手彫の伝統を継承しつつ、新たな風合いの魅力の追求し、これからもその時々の感覚での器造りに精進していきたいと思います」(馬徳陶苑・馬場弘光さん)
その他にも、全国にはさまざまな焼き物の産地があります。ぜひお近くの焼き物の産地をチェックして、お気に入りの茶器を探しに出掛けてみるのもいいかもしれません。素材・形・デザインにこだわって茶器を選ぶと、お茶もグッとおいしく感じるかもしれませんよ!
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