在位70年、96歳の英国君主の知られざる素顔

【映画レビュー】「エリザベス 女王陛下の微笑み」

公開日:2022/06/28

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女性におすすめの最新映画情報を映画ジャーナリスト・立田敦子さんが解説。今月の1本は、在位70年を迎える英国のエリザベス2世の半生を貴重なアーカイブ映像で綴る作品。

【映画レビュー】6月に見るべき「エリザベス 女王陛下の微笑み」

「エリザベス 女王陛下の微笑み」

【映画レビュー】6月に見るべき「エリザベス 女王陛下の微笑み」
© Elizabeth Productions Limited 2021

1926年生まれの英国エリザベス女王は、去る4月21日で96歳を迎えた。父の崩御により25歳の若さで君主となってから在位70年、これは国家の君主として世界最長といわれている。そのプラチナジュビリー(70周年)の行事でお祝いムードの中、公開されるのがドキュメンタリー「エリザベス 女王陛下の微笑み」である。思えば、ヘレン・ミレンがアカデミー賞主演女優賞を受賞した「クィーン」やNetflixのオリジナルドラマ「ザ・クラウン」などエリザベス女王をテーマにした映像作品(しかも秀作)は結構ある。が、女王をモナ・リザのようだと評し、「誰もが知る圧倒的存在。ビートルズよりもはるかに有名だが実態はベールに包まれている」と語るロジャー・ミッシェル監督は、これまでの作品とはまったく違ったアプローチで女王の知られざる姿に迫る。

膨大なアーカイブから厳選された映像に音楽をつけたミュージックビデオのようなテンポのいい構成の斬新さ。未公表の女王の生の言葉は効果的に使用されているが、ドキュメンタリーの常套手段であるナレーションはほとんどない。ナット・キング・コールの「モナ・リザ」、ビートルズの「ノルウェーの森」などのロックやポップスの歌詞が絶妙に女王の人生と重なり、その波乱に富んだ半生と女王の冒険の旅を描き出す。

オードリー・ヘプバーンなど映画スターのような若き日から、家族の問題を抱えた現在まで、走馬灯のように映し出される姿にいつしか魅了される。90分という短い時間の中で、君主というより一人の人間としての魅力をユーモアをもって見せ切った監督の手腕にも拍手を送りたい。

「エリザベス 女王陛下の微笑み」

在位70年を迎える英国のエリザベス2世の半生を貴重なアーカイブ映像で綴る。監督はロマンチック・コメディ「ノッティングヒルの恋人」で知られるロジャー・ミッシェルだが、本作の完成後の2021年9月に急逝した。

監督/ロジャー・ミッシェル
出演/エリザベス2世、フィリップ王配、チャールズ皇太子、ウィリアム王子、ヘンリー王子、キャサリン妃、ジョージ王子、メーガン妃、ダイアナ元妃、ザ・ビートルズ、エルトン・ジョン、ダニエル・クレイグ他
製作/2021年、イギリス 配給/STAR CHANNEL MOVIES
6月17日(金)より、TOHOシネマズ シャンテ、Bunkamura ル・シネマ他にて、全国公開

https://elizabethmovie70.com/

今月のもう1本「ベイビー・ブローカー」

【映画レビュー】6月に見るべき「エリザベス 女王陛下の微笑み」
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クリーニング店のサンヒョン(ソン・ガンホ)は、ドンス(カン・ドンウォン)が働く教会の“赤ちゃんポスト”から赤ちゃんを盗み、斡旋していた。しかし、赤ちゃんを預けた母親(イ・ジウン)に見つかり、成り行きから養父母探しの旅に出るが、その後を彼らに嫌疑をかけた刑事(ペ・ドゥナ)らが追っていた。

「万引き家族」でカンヌ国際映画祭パルムドール賞を受賞した是枝裕和(これえだ・ひろかず)監督が韓国の俳優・スタッフで撮った意欲作。

監督・脚本・編集/是枝裕和
出演/ソン・ガンホ、カン・ドンウォン、ぺ・ドゥナ、イ・ジウン、イ・ジュヨン他
配給/ギャガ
6月24日(金)より、TOHOシネマズ日比谷他にて、全国公開

https://gaga.ne.jp/babybroker/

文・立田敦子

たつた・あつこ 映画ジャーナリスト。雑誌や新聞などで執筆する他、カンヌ、ヴェネチアなど国際映画祭の取材活動もフィールドワークとしている。エンターテインメント・メディア『ファンズボイス』(fansvoice.jp)を運営。

※この記事は2022年7月号「ハルメク」の連載「トキメクシネマ」の掲載内容を再編集しています。

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