宝塚退団から約10年目!節目に迎えた大きな挑戦

真飛聖!宝塚トップスターから女優へ。その心の舞台裏

2019/12/13

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元宝塚歌劇団・男役トップスターの真飛聖(まとぶ・せい)さん。2011年に宝塚退団後は女優に転身し、ドラマや映画、舞台、バラエティーにも数多く出演。男役トップスターから女優に転身した際の舞台裏をお聞きしました。

真飛聖(まとぶ・せい)さん

宝塚歌劇団を引退して、すぐに舞台に復帰できなかったワケ

真飛さん

――宝塚の男役トップスターとして長年活躍されてきた真飛さんですが、退団後は舞台ではなく、映像のお仕事からスタートされたんですよね?

真飛聖(以下、真飛) 
そうなんです。宝塚の舞台は、お芝居はもちろん、歌や踊りもあったりとかなりハードなので、公演期間中は超神経質になるぐらい、細やかに体調管理を行う必要がありました。張り詰めた緊張感の中でメンタルも維持し続けなくてはならないので、そうした「舞台のルーティン」をすぐ再開できるほど腹を括れなかったというのが正直なところです。

私自身、宝塚時代からテレビが大好きでよく見ていたので、まずは映像の世界にチャレンジしたいなと。そこから女優としてドラマやバラエティーに出演させてもらう機会が増えていきました。

宝塚男役トップスターから女優へ。演じる上で戸惑いも多かった

真飛さん

――男役スターから女優に転身するにあたって、ご自身の中でギャップや戸惑いはありましたか?

真飛
ありましたね~。20年近く男役を演じてきて、男性の気持ちやしぐさばかり研究し続けてきたので、宝塚を辞めて、いざ女性を演じようとしたときに「あれ? 女心って、どんなんだったっけ?」と頭を抱えてしまいました。

それから歩き方にしても、しぐさにしても宝塚の舞台では遠くの席のお客様にもわかりやすいように、オーバーに表現するんです。男らしく背中で語っちゃったりとか(笑)。でも、映像だと目の動き一つ一つも繊細に表現することが求められるので、これまでダイナミックに演じていた部分をいかにナチュラルなものにそいでいくかは最初の頃、特に苦心した部分です。
 

――バラエティ番組でも度々お見かけしますが、真飛さんのトークが面白すぎて、キリリとした見た目とのギャップに驚きました。

真飛
そうですか(笑)? ありがとうございます。宝塚の男役をやってきたことでクールな印象があるのか、キリっとした強い女性の役をいただくことが多くて。でも、本当は三枚目路線なんですよ。バラエティー番組に出演するようになって、やっと本来の自分を出せたことで、だいぶ楽になりましたね。ドラマなどのお芝居の仕事にも肩の力を抜いて臨めるようになりました。

宝塚時代は台本覚えが早かったが……女優になったら一変

台本

――真飛さんは宝塚時代から「台本を覚えるのがすごく速い」というのをお聞きしたことがあります。

真飛
いやぁ……。宝塚時代は確かに一日で台本を覚えていたんですけど、その頃に記憶力を使い果たしちゃったのか、最近はなかなか覚えられなくて直前まで台本を見ています(笑)。宝塚では練習期間がショーとお芝居で半月ずつぐらいしかなく、しかも80人もの組子を動かさなくてはならないので、みんなの時間を無駄にしたくないなと。それに宝塚って説明せりふが少なくて、会話が中心なので覚えやすかったというのもあるかもしれません。

でも、女優の場合は医者や弁護士、キャビンアテンダントなど専門用語が多い職業を演じることもあるので、おのずと説明せりふが多くなります。その意味を調べて納得して演じようとすると、台本の読み込みに時間がかかってしまうので、その点はだいぶ違いますね。

歴史ある名作に出演することは、自分にとって大きな挑戦

――2020年4月に井上ひさし氏の名作「雪やこんこん」(こまつ座)への出演が決まったときはどんなお気持ちでしたか?

真飛
もともと、こまつ座さんの作品が好きでしたが、お話をいただいたときは「こんなにすごい舞台に自分が立てるの?」と驚きすぎて、すぐには受け止められませんでした。

しかも、「雪やこんこん」はこれまでに4度も再演されている、歴史ある作品。私が演じる、旅館の女将の佐藤和子という役は、以前キムラ緑子さんが演じてらして。抜群の演技力をお持ちの尊敬する女優さんなので、「果たして自分が務まるだろうか?」と、喜びよりも恐れ多い心境でした。


――井上ひさし氏の作品は以前にも出演されたことがあるとか。

真飛
はい、「もとの黙阿弥」という作品に出させていただいたことがあります。井上先生の作品は登場人物の心の機微を繊細かつダイナミックに描かれていて、以前から先生の作られる作品の世界観が大好きでした。時に切なく、笑いあり、涙ありで、人情味あふれる舞台に役者自身も心を動かされます。

「もとの黙阿弥」では着物を着る役でしたが、宝塚時代はずっと男役でしたので、着物というと侍の格好しかしたことがなく(笑)。バサバサ歩いて、着物の裾が広がっているような状態でしたから、女性らしい着物の所作を習得するのに少々苦労しました。「雪やこんこん」でも女将役として着物を着るので、心して臨みたいですね。

今回、「雪やこんこん」に出演するにあたって、過去の舞台映像を見させてもらいましたが、役者さんたちの熱量が画面からも伝わってきて、思わず涙があふれました。映像でもすごかったのに、生で見たらどれほどだろうと。みなさんが魂を込めて作ってきた作品ですから、その一員に加わるのは怖さもありますが、もしこのお仕事を引き受けなかったら絶対後悔するなって。私の中で大きな挑戦になりますが、その分、役者として一回りも二回りも成長できると感じています。
 

――なるほど。井上ひさし氏の舞台でも、せりふの一つ一つにこだわりがあるそうですね。

真飛
そうですね。井上先生の台本は、語尾や助詞の一つ一つにも意味があるから、一語一句変えてはいけないと言われています。映像だと現場によっては、自分なりに変えていいというケースもありますが、井上先生の場合は世界観が完成されているので、「せりふを完璧に入れていかないと!」というプレッシャーは少なからずあります。でも、言葉の一つ一つにその人の心情って表れるものなので、どんな思いでその人物が言葉を発しているのか、読み解いていく作業がとても楽しみです。

2020年で初舞台から25年。役者人生のいい節目にしたい

真飛聖さん

――2020年はデビュー25周年という節目の年だそうですね!

真飛
はい、宝塚で初舞台を踏んでから、2020年でちょうど25年になります。この節目に、「雪やこんこん」の舞台のお仕事をいただいたのも、巡り合わせかもしれないなと。最近は映像のお仕事が多かったのですが、やっぱり舞台は自分にとって大切な原点。神様から「ここでもう一度、一から勉強しなさい!」と言われているような気がします。公演に向けて全身全霊で臨んでいきたいですね!

次回インタビューでは、真飛聖さんのプライベートに迫ります!

取材・文=伯耆原良子 写真=山下コウ太 ヘアメイク=国府田圭 構成=鳥居史(ハルメクWEB)


■真飛聖プロフィール
1976(昭和51)年生まれ。神奈川県出身。95年に宝塚歌劇団初舞台。2007年に花組トップに就任し、数々の作品に出演。11年4月に宝塚を退団し、女優に転身。12年に関西テレビ「37歳で医者になった僕」でドラマデビュー。同年、テレビ朝日「相棒Season11」に新レギュラーとして出演。ミュージカル「マイ・フェア・レディ」で主演を務めるなど、ドラマ、映画、舞台、バラエティーなどでも幅広く活躍。

■公演概要
こまつ座 第132 回公演『雪やこんこん』
作:井上ひさし 演出:鵜山 仁
出演:熊谷真実  辻 萬長(※「辻」は一点しんにょう)  藤井 隆  小椋 毅  前島亜美  外薗海士  安久津みなみ  まいど豊  真飛 聖


<東京公演>
公演日程 2020 年4 月24 日(金)~5 月8 日(金) 全19 回
会場 紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYA
発売 こまつ座 03-3862-5941
発売日 2020年2月22日(土)


http://www.komatsuza.co.jp/

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ハルメクWEB編集部

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