女優・熊谷真実!18歳年下夫との幸せライフの秘密
2021.01.032019年11月29日
憧れの井上ひさし作品で座長に
熊谷真実59歳!女優として輝き続ける秘訣とは?
いつも元気いっぱいでエイジレスな魅力を振りまく、女優の熊谷真美さん。往年の大女優が演じてきた井上ひさしの舞台「雪やこんこん」の主演への思いと、女優業で大切にしていることとは?
熊谷真実さんが座長を務める、井上ひさしの名作とは?
2020年4月、こまつ座にて井上ひさしの昭和庶民伝三部作の第三作である「雪やこんこん」が上演されます。この作品は、崩壊寸前の大衆演劇劇団の楽屋裏を舞台に、大衆演劇の作者や役者たちが生み出した名ゼリフとともに、演劇の面白さが描かれた井上ひさしの名作です。
「雪やこんこん」の舞台は、これまで市原悦子さん(享年82)、宮本信子さん、高畑淳子さん主演で、4度上演。今回、女優の熊谷真実さんが女座長役を務めることになりました。本作に挑む意気込みや女優としていつまでも輝き続けるための秘訣をたっぷりと伺いました。
名女優が演じてきた憧れの役。今からワクワクが止まらない
――2020年4月に「雪やこんこん」の主役(座長)を務めるということで、今どんなお気持ちですか?
熊谷真実(以下、熊谷)
井上ひさし先生の作品は、2001年から何本か出演していますが、「雪やこんこん」は本当に憧れていた作品で、まさか自分が座長として呼んでもらえるなんて……正直、驚きでいっぱいです。
2018年井上先生の作品である「マンザナ、わが町」で演じた浪曲師の役は、これまでチャレンジしたことのないような、とてもハードルが高いものでした。
でも、最後まで演じ切ったときに、私の中で「役者としての自信」が芽生えまして。井上先生の作品を一つ一つ演じる度に着実に成長できるという手ごたえを感じているので、今回の中村梅子という旅役者の役もハードルは高いですけれども、今からワクワクが止まりません。
台本に忠実に演じれば、おのずと完成度が高くなる
――「雪やこんこん」は、これまで市原悦子さん、宮本信子さん、高畑淳子さんが主演を務められてきましたが、熊谷さんはどのように中村梅子を演じたいと思いますか?
熊谷
そうそうたる名女優が演じられてきた役なので、本当に光栄です。市原悦子さんの演技は映像で、宮本信子さんと高畑淳子さんの舞台は生で観劇しました。息をのむような素晴らしい演技だった、お三方の良いところを吸収していけたらいいなと思っています。
井上先生のお芝居は、台本が素晴らしく、セリフを忠実に言えば、自分たちがどうこうしなくても完成度が高いものが出来上がるようになっているんです。なので、私は台本をしっかりと叩き込んで、忠実に演じるのみ。あと、私にできることは、「空気感」を生み出すことかなと思います。
大衆演劇ならではの空気を肌で感じて、大役に挑みたい
――どんな「空気感」を生み出したいと考えていらっしゃいますか?
熊谷
今回演じる中村梅子という人物は、「大衆劇団の女座長」なんですが、私の周りには速水映人さん、葵好太郎さん、晃大洋さんなど、大衆演劇の第一線で活躍されているお友達が多いんです。
みなさんから聞いて、「大衆演劇ってすごいなぁ」と感心したのが、毎日出し物が違って、本番前に役者同士で「口立て(※)」で合わせて芝居を作っていくらしいんです。
そういう現場の空気感って実際に味わってみないとわからないので、何日か劇団に弟子入りしようかな、と(笑)。大衆演劇ならではの空気感や匂いを肌で感じて、この大役に臨みたいと思っています。
(※)完全な脚本がなく、大よその筋だけ立てて、俳優同士が口頭の打ち合わせで芝居をまとめていくこと
――今回の大舞台でご自身はどんな座長でありたいと考えていますか?
熊谷
実は、芸歴40年を超えていまして、2019年5月の「熊谷真実一座旗揚げ公演」で初めて座長を務めたんです。それまで役者の一人として出演していたときは、「座長さんは今、何を思っているかな?」と、座長さんの方に意識が向いていたんですけど、いざ自分が座長になってみると、「みんなは元気かな?」「ちゃんと食べてるかな?」って、今度は役者さん一人一人に目が行くようになりました。皆が生き生きと楽しんでいることが、結果的にいいお芝居にも繋がるんじゃないかと思うんですよね。
まぁ、仲が悪くてもお芝居はできますけど(笑)、私はみんなに「この座組、楽しい!」って思ってもらった方が、舞台そのもののエネルギーが上がる気がしていて。そういう仲間の雰囲気って、やっぱりお芝居に出るし、お客さんにも伝わると思います。
ハッピーでいるために、日々心掛けていることは?
――熊谷さんと一緒にお仕事すると、みんなハッピーになれそうですね。ご自身はハッピーでいるために心掛けていることは何ですか?
熊谷
そんなふうに言ってもらえて、うれしいなぁ。ありがとうございます! 心掛けていることというと、「気分をいい状態にすること」でしょうか。
私、オリジナルのものが大好きで、自分のその時の体調に合わせて調合してもらった香水を使っているんです。天然の植物から採取したものなので、香りもとってもフレッシュ。何より、“私だけの香り”というのが、気持ちが上がりますよね。
バッグもオーダーメイドで作った1点ものを愛用しています。色や形、手触りも自分好みに作ってもらったのですごく気に入っています。
こうして身の回りにお気に入りのものを取り入れるだけでも、気分って上がりますからね。自分自身が朗らかでいると、場も和んで朗らかになるので、結果としていい仕事ができる気がします。
日々の生活の中で自分なりの楽しみを持つこと。そして人と比べないこと。それがハッピーでいるための私なりのコツですね。
――もともとそうした考えを持っていたんですか?
熊谷
いえいえ、そんなことないです! 私自身、ずっといろんな人に憧れて、比べることもありました。例えば、森光子さんやいしだあゆみさんなど、素晴らしい女優さんに憧れて、自分はまだまだだ……と思うこともしょっちゅうでしたから。
でも、2020年に還暦を迎える今、自分なりに毎日を楽しめればいいなって思うようになったんです。人と比べても、上には上がいますから、キリがない! だからこそ、今の自分に感謝して、日々を大切に生きようと。美輪明宏さんが以前、「人は背景を背負っている。一目見ればどんな生き方をしてきたかがわかる」ということをおっしゃっていて、その言葉が今でも心に残っているんです。どんなに繕っても、ごまかしても、それまでの自分の生き方って出てしまうものだから、心も体もいい加減にはできない。自分自身をおざなりにせず、磨いていくこと。そうした日々の積み重ねが、“背景”としてにじみ出てくる気がします。
取材・文=伯耆原良子 写真=山下コウ太 ヘアメイク=国府田圭 構成=鳥居史(ハルメクWEB)
■プロフィール
熊谷真実(くまがいまみ)
1978(昭和53)年、舞台「サロメ」のオーディションに合格して芸能界入りし、同年ドラマデビュー。その後、数々の映画、ドラマ、演劇、バラエティ番組などでも幅広く活躍。2016年「マンザナ、わが町」で紀伊国屋演劇賞・読売演劇賞受賞。
■公演概要
こまつ座 第132 回公演『雪やこんこん』
作:井上ひさし 演出:鵜山 仁
出演:熊谷真実 辻 萬長(※「辻」は一点しんにょう)藤井 隆 小椋 毅 前島亜美 外薗海士 安久津みなみ まいど豊 真飛 聖
<東京公演>
公演日程 2020年4月24日(金)~5月8日(金) 全19回
会場 紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYA
発売 こまつ座 03-3862-5941
発売日 2020年2月22日(土)
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