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更新日:2025年03月07日 公開日:2025年03月03日
YouTubeもクラシック界も熱狂する !
東京大学出身ながら世界的に活躍する異端のピアニスト・角野隼斗さんは、「かてぃん」の名でYouTubeでも人気を博しています。ドキュメンタリー映画で見せた、ニューヨークに拠点を置き世界で活躍する姿を通じ、素顔の魅力に迫ります。2記事中2本目。
――映画の中で、2021年ピアノプロデビューのときに「究極のオンリーワンを目指す」と語りましたが、それが何なのか、いま見えていますか?
角野隼斗さん(以下、角野隼斗)
自分のような、クラシック音楽をさまざまな演奏で伝える思いが、本場ヨーロッパでも受け入れられるのだろうか、と考えました。
2025年1月のドイツ・スイスのソロ・リサイタルツアーでは、自分のやりたいことが伝わっている感触がありました。新しいことが受け入れられたなと感じたんです!
ただ、それが本当に「オンリーワン」なのかどうかは……まだ不確かです。あ、(映画のタイトル)“不確か”という言葉は、こういうときに便利ですね(笑)
――現在拠点にしているニューヨークでの生活はどうですか? ジャズが好きなこともニューヨークを選んだ理由でしょうか。
角野隼斗
それは大きな理由ですね。ビル・エヴァンスが大好きで、ジャズをもっと学びたい、触れたい気持ちは強いです。ライブにも出かけますし、ジャムセッションで友達になった人とメールすることも。
――ニューヨークでの生活は快適ですね。日本に留まりたいという気持ちは、全くなかったですか?
角野隼斗
いや、快適さとはまた別の話ですね。やはり日本にいる方が快適です。でもニューヨークに行った頃は、とにかく日本を出たい気持ちが強かったし、ニューヨークでの毎日はとても刺激的です。
――映画を見ると、普段感情を表に出さない方に見えますが、怒ったり、あまり感情をぶつけたりすることはないのですか?
角野隼斗
そういうことは、ないですね。あ、パソコンが遅いときには怒りがこみ上げてきますが、それくらいですかね(笑)
――確固たる美学や思いがある、ということも話していますが、具体的にはどういうことなのでしょうか?
角野隼斗
音楽を表現するときに、自分の体を通して感情を込めて弾きなさい、ということをよく言われますが、果たしてそれだけでしょうか。自然が美しいと思っても、自然には感情はないですよね。宇宙もそうですけれど。
でも人はそういう自然に、美と調和を見い出します。
僕は、音楽に対してもそういう美しさを感じますし、自分でもそれを表現したいと思うんです。感情とは別の自然と湧き出てくるものが美しいという、自分の美学が脈々とあります。
――登録者数144万人のYouTubeの位置づけは、ご自身の中で変わりませんか? ますます時間を使うことになりますが、これからも発信し続けますか?
角野隼斗
本当はもっとやりたいんですけれど、今は時間がなくてできてないです。寝る時間を削るとうまく弾けないですし。でもYouTubeのコメントはよく参考に見ています。
――YouTubeのコメントは、コンサートの反応とはまた違いますか?
角野隼斗
2022年頃、よく配信していたときは、コメント欄から新しい演奏アイデアが浮かぶこともありましたね。こういう受け取り方をしてくれるんだ、と自分が思っていた反応と違っていて、面白かったです。
――さまざまな面で独自の美学を持っている角野さんですが、普段のファッションのこだわりは?
角野隼斗
服は着心地がいいものが好きです。イッセイ ミヤケのパンツは好きではいています。海外ではよく珍しがられて、どこのブランドかと聞かれますけれど、日本ではミュージシャンなどが皆はいているので……。
そういうときは、僕の「あまのじゃく精神」が出て、はきたくなくなります(笑)。
――ヘアスタイルも個性的ですね。ショパンコンクールのときはショパン風に決めていました。
角野隼斗
髪型で僕と認識されることが多いので、基本的に変えていないです。ウェーブのクセもありますが、パーマをかけています。なので帽子をかぶると認識されなくなり、それでよく出歩いています(笑)
――映画のラストシーンの「武道館リサイタル」は感動的でした。八角形のステージも美しかったですし、大小3種類のピアノを弾きながらの演奏が素晴らしかったです。ご自身の満足度は?
角野隼斗
武道館の満足度は……85点です。音響はステージのつくり方によりますが、今回はとても良かったと思います。
――ステージが回転して4方向にピアノの向きが変わりましたね。
角野隼斗
観客席から見て、皆が平等に見えるように考えました。最後の曲「ボレロ」では自分も回りながら弾く、クライマックスの仕掛けとして考えた舞台です。
――映画では、ステージ前に寝坊して遅刻してくる場面も描かれていました。そこにもドラマがあって盛り上がりましたね。
角野隼斗
ほんと、すみませんでした(汗)。盛り上げるためだったということにしておいてください。
――旅が多いそうですが、そこで得られるものは何でしょう?
角野隼斗
最近は観光していませんでしたが、時間と精神に余裕があるときは街を歩いて教会に入ったり、公園に行ったりします。
新しい場所に行って、そこの空気を感じてピアノに向かうとまた違うものが出てくることもあります。即興してボイスメモに録ったりします。
――行ってみたい場所はありますか?
角野隼斗
今は、ギリシャに行ってみたいですね。アテネの神殿とか島々を巡って、そこの文化を肌で感じてみたいです。
1995年生まれ、千葉県出身。2018年、東京大学大学院在学中にピティナ・ピアノコンペティション特級グランプリを受賞。21年にプロとしてデビュー。ショパン国際ピアノコンクールではセミファイナリストに選ばれた。パリ、ウィーンなどでの海外公演を行い、ロンドンのロイヤル・アルバート・ホールでデビューを飾る。24年日本武道館で前人未踏の1万3000人動員のクラシックコンサートを開催。2025年11月にニューヨーク・カーネギー大ホールでソロデビュー予定。
2024年7月の日本武道館。その圧倒的なパフォーマンスで、見る者すべてを魅了した。ピアニスト・角野隼斗は、なぜこれほどの人気を得ることができたのか?ピアノ演奏、容姿、学歴、そしてYouTubeでの人気…。彼のこれまでの3年間の軌跡と、海外での演奏活動に挑む姿を映し出したドキュメンタリー作品。
取材・文=金田千里、写真=小倉啓芳、ヘアメイク=川口陽子、スタイリスト=金野春奈(foo)、編集=鳥居史(HALMEK up編集部)
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