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- 【書評】『真実なる女性クララ・シューマン』他
雑誌「ハルメク」の編集部員がおすすめする新刊情報を毎月お届けします。今月は、ピアニストとして活動を続けながら8人の子どもを育て、たくましく生き抜いた女性、クララの生き様を描いた『真実なる女性 クララ・シューマン』など3冊をご紹介します。
原田光子著 『真実なる女性 クララ・シューマン』
作曲家ロバート・シューマンの妻であり、自身も19世紀で最も有名な女性ピアニストとして知られるクララ・シューマン。生誕200年となる今年、昭和16年に出版されて以来、多くの人に愛されてきた『眞実なる女性 クララ・シュウマン』を復刊したのが本書です。
天才少女として9歳で初舞台を踏み、やがてシューマンと結婚。夫の才能を誰よりも愛し、演奏活動を続けながら8人の子どもを産み、たくましく生き抜いたクララの姿は読む者の胸を打ちます。
著者の原田はらだ光子みつこは、初版が世に出た5年後、36歳の若さで死去しています。クララの生き方はもちろん、原田光子の美しく清潔な文章にも心を洗われます。
西口紀雄著『日本の名花 礼文島から波照間島まで』
静岡の中学・高校で、理科の教師をしながら、世界中の花を巡る旅を続け、撮影をしてきた著者の写真集です。北は礼文島から南は波照間島まで14万枚を超えるカットを自分だけで保存しているより、多くの人に「豊かな美しい花を見て、何かを感じてほしい」との思いから出版したそう。
ページをめくっていくと、けなげに咲く花たちが穏やかな気持ちにさせてくれます。私が惹かれたのは「八重咲きギンリョウソウ」。「2年間見られたが消えた」と説明があります。希少種ゆえに盗掘、絶滅、もう見られない花々も掲載されています。街や自然に花が少ない時期に、ゆったりとした時間を過ごすのに最適な一冊です。
大塚ひかり著『女系図でみる日本争乱史』
日本史に数多く出てくる「〇〇の乱」。本書を読むと、どんな戦乱もせんじ詰めれば身内の争いにすぎないことが、よくわかります。
有名な応仁の乱も、原因を紐解けば単なる相続争い。家(畠山はたけやま家)を継ぐ者の母親の身分が低かったことが発端でした。平将門たいらのまさかどの乱の場合は、将門が妻の父(舅)に結婚を認めてもらえなかったことが原因です。
保元の乱の始まりは、父・鳥羽院とばいんが兄・崇徳すとくを嫌って、弟・近衛このえをひいきしたこと。崇徳は実は鳥羽院の子ではなく、鳥羽院の祖父・白河院の子。嫌うのも道理です。結局、人の愛憎ドラマが歴史を作っていくのだなとつくづく思わされます。
※この記事は2019年12月号「ハルメク」に掲載された内容を再編集しています。
※雑誌「ハルメク」は書店ではお買い求めいただけません。詳しくは雑誌ハルメクのサイトをご確認ください。
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