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- 【書評】「60歳ひとりぐらし 毎日楽しい理由」他
雑誌「ハルメク」の編集部員がおすすめする新刊情報を毎月お届けします。今月は、「自分を心地よくできるのは自分だけ」という思いで、40年間一人暮らしを楽しむヘア&メイクアップアーティストの山本浩未さんの書籍など、3冊をご紹介します。
曳地トシ+曳地義治『オーガニック植木屋の庭づくり暮らしが広がるガーデンデザイン』
雑誌・ハルメクの連載「がんばらない庭づくりのススメ」でおなじみの曳地(ひきち)夫妻による、庭づくりから考える社会課題や生き方にまで論を広げた野心的な一冊。
オーガニック・ガーデンと聞くとハードルが高く感じる人もいるかもしれませんが、本書を読めば、人の命はさまざまな生き物に支えられており、それだけに環境の変化を受けやすいこと、多種多様な命がつながる有機的な世界を取り戻すためには、無農薬・無化学肥料は必然であることがわかります。
自然の神秘に目を見張る感性を「センス・オブ・ワンダー」と言いますが、二人はまさにその感性の持ち主。本書を読み終わる頃には、自然を見る目が変わります。
山本浩未『60歳ひとりぐらし 毎日楽しい理由』
ヘア&メイクアップアーティストの山本浩未(やまもと・ひろみ)さんは、一人暮らし歴40年。「自分を心地よくできるのは自分だけ」という思いで楽しく暮らす工夫をしているそう。
本書では、「健康と元気をつくる」「きれいな人になる」「ハッピーに生きる」の3つのテーマで、そのヒントを紹介しています。例えば衣替えはファッションショーにしてしまうのだとか。「まだイケる」のか「もう似合わない」のかは服を眺めているだけでは判断できないので、服を全部出してコーディネートし、全身を鏡でチェック。
モデル気分も味わえ、いざ着るときに組み合わせに困らず、不要なもの・足りないものが一目瞭然だそう。もちろん専門のスキンケアやメイクのコツも満載です。
大塚ひかり『嫉妬と階級の『源氏物語』』
千年にわたって愛読者を増やし続けてきた『源氏物語』。現代に至るまで読み継がれてきたのは、登場人物の感情や人間関係が普遍的で共感を呼ぶからでしょう。
読み込むほどに登場人物の新たな側面が見えてくることを、本書が教えてくれます。嫉妬する登場人物といえば六条御息所が有名ですが、光源氏は若さに嫉妬しますし、才色兼備で優等生の紫の上も実は、格上の女君への嫉妬に苦しみます。
宇治十帖の主人公・薫の執拗な男の嫉妬は呆れるほどですし、主人公クラスだけでなく女房達が見せる赤裸々な嫉妬の姿も紫式部は細部まで描いていました。
本書を読むと、雅な『源氏物語』の別な姿が見えてきて、大河ドラマと合わせて、改めて五十四帖を読み返したくなります。
※この記事は2024年2月号「ハルメク」に掲載された内容を再編集しています。
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