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- 【書評】クスッと笑えるエッセイ『顔面放談』他2冊
雑誌「ハルメク」の編集部員がおすすめする新刊情報を毎月お届けします。今月は、生い立ちより観察力を培った著者によるタイトルの通り有名人の顔について「放談」するエッセーなど3冊をご紹介します。
上大岡トメ著『遺伝子が私の才能も病気も決めているの?』
50代のイラストレーター・上大岡トメ(かみおおおか・とめ)さんは遺伝子検査を受けたことをきっかけに、自分のカラダをもっと知りたい!と思うようになったそう。
「がんや認知症は遺伝するの?」「才能や性格は遺伝子で決まるの?」など誰もが気になる素朴な疑問から、新型コロナで話題になった免疫システムの暴走・サイトカインストームまで。遺伝子や人体について、ユニークな登場人物たちとの会話の中で、わかりやすく解説したコミックエッセーです。
知識が身につくとともに「生きているだけで奇跡」「DNAの中には約38億年分の仲間の記憶が入っていて、あなたはひとりではない」などのメッセージに、生きる元気をもらえる1冊です。
桜木紫乃著『ヒロイン』
直木賞作家、桜木紫乃(さくらぎ・しの)さんによる最新小説の主人公は、17年間にわたり逃げ続けた女性です。
1995年3月某日。渋谷駅で毒ガス散布事件が発生します。実行犯として指名手配されたのは宗教団体「光の心教団」の幹部男性と、何も知らずに同行させられた23歳の信者、岡本啓美(おかもと・ひろみ)。
この日から、主人公の啓美は無実の罪を着せられて、長い逃亡生活を送ることになります。容姿や名前を変えながら、他人を演じ続けて17年。流れついた地で彼女が見つけた本当の“罪”とは何だったのか――。
プロローグでは、古い木造住宅の2階に住む40歳の啓美が、逮捕されるシーンが描かれます。そこに至るまでの物語は、誰にでも起こり得ると思わされます。
姫野カオルコ著『顔面放談』
直木賞作家・姫野ひめのカオルコさんが、タイトルの通り有名人の顔について「放談」するエッセー。生まれてから小学校2年生まで「赤の他人の家」に預けられて育ったため、人の顔(色)をじーっとうかがう癖がついたという姫野さん。
著名人の顔を凝視し続け、誰と誰が似ているという『週刊文春』の「顔面相似形」に投稿し、何度か採用されたそう。本書でも、松田優作(まつだ・ゆうさく)と南海キャンディーズの山里亮太(やまさと・りょうた)、真田広之(さなだ・ひろゆき)とテニスのナブラチロワは似ていると語りますが納得できるようなできないような……。
原節子(はら・せつこ)や田宮二郎(たみや・じろう)など美人やハンサムについて独自の解説もあり、「確かに!」とか「そうかなー」と突っ込みを入れながら、ぐいぐい読み進めてしまいます。
※この記事は2023年12月号「ハルメク」に掲載された内容を再編集しています。
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