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- ツヤ肌が輝いた雅子さまのメイクから見える令和とは?
50代コラムニストの矢部万紀子さんによる、月2回のカルチャー連載です。令和が始まって、5月で1年たちました。長年の報道経験から、雅子さまと「時代」について考えている矢部さん。ちょうど1年前の雅子様のメイクについて考えます。
ファッションを語れるのは、幸せなこと
令和が始まり1年がたちました。記者、編集者として長く皇室報道にかかわり、皇室は時代を映す鏡だと思っています。本も2冊出し、最新刊は『雅子さまの笑顔 生きづらさを超えて』です。最初に雅子さまのことを書いたのは、1993年。皇太子さまとの婚約が決まった“小和田雅子さん”のファッションがテーマでした。
それから27年。雅子さまと同世代である私は、自分のいる場所で葛藤する雅子さまの姿に己を重ねてきたところがあります。そして今、感じているのは、雅子さまのファッションを語れる幸福です。
2004年に「適応障害」と病名が発表され、雅子さまのファッションを伝える余地はなくなりました。17年にお代替わりが決まって活動の幅は広がっていきましたが、平成の終わり、雅子さまは大丈夫だろうかという心配をしていたのは私だけではなかったと思います。
ところが令和になってみれば、雅子さまは大活躍。19年5月末のトランプ米大統領夫妻の来日では、通訳なしで会話されました。雅子さまのファッション記事が女性週刊誌に載ったのは、それから約1か月後のことでした。初夏のストール&ネックレス使いが、紹介されていたのです。
雅子さまも国民も、とうとうここまで来た。そう思いました。国民の雅子さまを見る目から力が抜けたと、心が明るくなったのです。雅子さまファッションを語れる幸福です。
ファッションは語られた。では雅子様のメイクは?
残念ながら今は、雅子さまも「ステイホーム」の日々。お出掛け機会がなく、新しいファッションを見られません。そこで、雅子さまのメイクのことを書いてみることにします。
令和の初日の朝、「即位後朝見の儀」に車で向かう雅子さまは、キリッとした眉でした。そして笑顔でした。その様子からは、安定感が感じられました。以来、明るい茶系で太めの眉が、すっかり雅子さまの定番です。
自分が皇后であるという事実が、ご自身の中でストンと落ちたのだと思います。皇太子妃時代、カメラが苦手だった雅子さま一転、スマホやカメラを手にする大勢の人に笑顔で手を振られるようになりました。太めの眉は、雅子さまの自信の証しではないかしら。そんなふうに思います。
雅子さまメイクは、「輝くつや肌」と「肌なじみリップ」
雅子さまメイクをどう見ているか、美容ライター・田中優子さんにお話を伺いました。
田中さんの注目は、雅子さまのベースメイクでした。令和初日、ローブ・デコルテ姿の雅子さまを見て、“つや感”を取り入れたと気付いたそうです。田中さんによると、“つや感”は今どきベースメイクの主流。肌の均一さは保ちつつ、内側から発光させるような明るさを出すもので、「つや」という言葉が入ったファンデーションが世代を超えてヒットしているそうです。
「あの日の雅子さまを見て、晴れやかそう、お元気そうとみんなが感じたと思うのです。もちろん雅子さまの内面から出たものですが、トレンドを上手に取り入れたことも、一役買ったのではないでしょうか」と田中さん。
もう一つ、雅子さまメイクの特徴は、肌なじみのいい口紅の色だそうです。外務省時代の雅子さまは明るい色のリップもしていたけれど、皇室入りしてからは控えめな色になった。それは令和になっても変わっていないと、田中さんは言います。
それで思い出したのが、日本テレビで多くの皇室番組を制作した渡邉みどりさんの話です。渡邉さんは、外務省時代の小和田雅子さんをイギリスで取材しました。大勢の取材陣に囲まれながらきちんと意思表示をし、爽やかで媚びるところが一切ない小和田さんの姿にとても感心したと言います。そのときの口紅がオレンジ色で、少し日焼けした肌によく映え、知的でとても印象に残ったそうです。
小和田さんはその後、皇室入りを決意、外務省を去ります。皇太子妃になり、口紅は控えめな色にしました。皇后になり、肌の色はつやっぽく、眉はきりりとしています。でも、口紅はそのままで、外務省時代の目立つ色に戻すことはありませんでした。
立場にふさわしいかどうかを常に考え、貫いていく。雅子さまの真面目さと意思を見る思いがします。
新型コロナウイルスはいったん収束しても、第二波、第三波が来るとも言われています。軽い気持ちで「これから」を考える。そういうことができない時代になったと感じます。
雅子さまの真面目さと意思は、そんな時代にどう生きていくのでしょう。もうじき見えてくるのではないでしょうか。
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