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- 青木奈緖さんのエッセー講座6期第1回参加者の作品
「家族」をテーマにしたエッセーの書き方を、エッセイストの青木奈緖さんに教わるハルメクの通信制エッセー講座。大切な思い出を形に残すべく取り組む参加者たちの作品から、青木さんが選んだ3つのエッセーをご紹介します。
青木奈緖さんが選んだ3つのエッセー
「青木奈緖さんのエッセー講座」参加者による家族のエッセーです。クリックすると、作品と青木さんの講評をお読みいただけます。
「俺、やばいかも」上道弘美さん
「俺、やばいかも……」「えっ、何だったの?……
「ザンギとざんげ」浦田しおりさん
釧路では鶏の唐揚げをザンギと言う。うちの子供たちが好きだった……
「母の庭」加藤三和さん
草引きをした。少し暖かくなってきたかと思ったら……
エッセーに関する質問・お悩みに動画で回答
2023年3月、エッセイストの青木奈緒さんを講師に迎え、半年間でエッセーの書き方を学ぶ通信制エッセー講座・第6期がスタートしました。
このエッセー講座のテーマは「家族」。日本各地からご参加いただいた30名の皆さんが毎月1本、家族との大切な思い出をエッセーの形に残すべく取り組んでいます。
参加者ひとり一人がエッセーを書くうちに直面する悩みや疑問は、実は、書く人にとって共通する学びの宝庫です。ハルメクでは、月1回青木さんが参加者の質問に回答する動画を制作。現在の参加者が生き生きと学べるように、また、どなたでもご覧になって学びを生かせるように公開していきます。
第6期1回目となる今回の動画では、「タイトルの大切さ」についてお話を伺いました。
エッセーにとって「タイトル」は「小さな予告編」。
青木さん:第6期のエッセー講座が始まりました。皆さん、本当に力作揃いです。今回新しく参加された方々のレベルが最初からとても高くてびっくりしています。今後が楽しみです。
今回のご質問:「タイトルは必要ですか?」
青木さん:タイトルは必ず必要です。そして、とても大切です。
「こんな感じでいいかな」といい加減にしてしまうこともあるかもしれません。
でも、エッセーにしても、映画にしても、何においてもタイトルは大切です。その本を買うか、映画を観るか、もタイトルで左右されることもありますよね。
では、「タイトル」とは一体何かを考えてみましょう。
エッセーにとって「タイトルは小さな予告編」です。
中に何が書かれているかをお知らせすると同時に、「これ、面白そうだな」「読んでみたいな」という気持ちを読者に起こさせる役割になっています。
ですので、逆を言えば面白くなさそうなタイトルだと「読まなくてもいいかな」という気持ちにさせてしまうわけです。
「書き起こし」と「書き納め」と「タイトル」、この3つはポイントとなります。
間の部分は極端な話ですが、書き進めていくとなんとかなる、と言ってもいいでしょう。
でも、この3つのポイントについては「伝えたいことはこういうことです」と、はっきりさせることが大切です。
タイトルの決め方には、大きく2つのパターンがあります。
・構想を練るのと同時に考え、書く前にタイトルを決める
・内容を先に書き、最後にタイトルを決める
何を書くか構想を練っている間に、タイトルが決まるということがあるでしょう。
たとえば、ハルメクのもうひとつのエッセー講座を受け持つ随筆家の山本ふみこさん。
山本さんは「内容を書くときには既にタイトルが決まっていることが多い」と仰っていました。
私は山本さんとほぼ逆のパターンです。
タイトルは空欄にして内容から書き始め、最後の最後に悩むタイプで、どちらかというとタイトルを決めるのが「苦手」です。
では、タイトルをつけるのが苦手な私がどうしているのか、というと次のとおりです。
1) 執筆後、作中からキーポイントとなる単語を探す
書き終わった作品を読み直す作業をしているときに、作中でキーポイントとなる単語を探します。
数で言うと、大体2つから3つほど。私は作品の後半から見つけることが多いです。
2) 抜き出した単語を見比べ、より印象的になる言葉を連想し精査する
作中から抜き出した単語を一度並べてみて、その中から「この単語は他にこんな言い方もできるかもしれない」など、より印象的になる言葉がないか考えます。
このとき、作品から少し離れた言葉(どんな話なんだろう、と想像をかきたてるような)になるよう心がけています。
3) 自分が作品で表現したいイメージと単語を照らし合わせる
2つの工程を経て、そのとき自分が作品で表現したいこととタイトル(単語)を照らし合わせます。
「今回はキャッチーにつけてみよう」「さり気なく、サッと読み始められるものがいいな」、といった感じで作品によって変えています。
また、タイトルをつけるときは「広すぎるタイトル」にならないよう気をつけてください。
これはどんなことかと言うと、たとえば家族の話を書くとき「母のこと」「父のこと」などにしないということです。読者は「そういう話なんだろうな」と思うだけで、何の引っ掛かりもありません。
また、漠然としたタイトルになってしまった場合、内容も漠然としたものになっていることが傾向的に多いかなと思います。
タイトルは読者にとっても、書き手にとっても、大切です。
簡単ではないけれど、なるべくぎゅっと絞った「小さな予告編」となるよう考えてみましょう。
青木奈緒さんの今月の朗読作品
動画では、さらに詳しいお話や、青木さんの朗読もお楽しみいただけます。朗読するのは、料理を通して家族への思いを心に思い描いた作品「ザンギとざんげ」(浦田しおりさん作)です。
エッセイスト・青木奈緖さんのプロフィール
1963(昭和38)年、東京生まれ。文豪・幸田露伴を曽祖父に、作家・幸田文を祖母に、随筆家・青木玉を母に持ち、自身もエッセイストとして活躍。著書に『幸田家のきもの』(講談社刊)、『幸田家のことば』(小学館刊)他。
ハルメクの通信制エッセー講座とは?
全国どこでも、自宅でエッセーの書き方を学べる通信制エッセー講座。参加者は毎月1回家族の思い出をエッセーに書き、講師で随筆家の青木奈緖さんから添削やアドバイスを受けます。講座の受講期間は半年間。
ハルメク365では、青木先生が選んだ作品と解説動画をどなたでもご覧になってお楽しみいただけます(毎月25日更新予定)。
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