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- 青木奈緖さんのエッセー通信講座第4回参加者の2作品
「家族」をテーマにしたエッセーの書き方を、エッセイストの青木奈緖さんに教わるハルメクの通信制エッセー講座。大切な思い出を形に残すべく取り組む参加者たちの作品から、青木さんが選んだ2つのエッセーを紹介します。
青木奈緖さんが選んだ2つのエッセー
「青木奈緖さんのエッセー講座」参加者による家族のエッセーです。クリックすると、作品と青木さんの講評をお読みいただけます。
「主人が『気管切開』をした」大橋悦子さん
あれから5年が過ぎた。主人が難病の診断を受けてからだ。徐々に……
「叔父が伝えたかったこと」とこはさん
5年ほど前、入退院を繰り返していた叔父を、久しぶりに姉と訪ね……
エッセーに関する質問・お悩みに動画で回答
エッセイストの青木奈緖さんを講師に、半年間でエッセーの書き方を学ぶ通信制エッセー講座。
このエッセー講座のテーマは「家族のエッセー」。日本各地からの参加者が毎月1本、家族との大切な思い出をエッセーの形に残すべく取り組んでいます。
参加者一人一人がエッセーを書くうちに直面する悩みや疑問は、実は、書く人にとって共通する学びの宝庫です。ハルメクでは、月1回青木さんが参加者の質問に回答する動画を制作。現在の参加者がいきいきと学べるように、また、どなたでもご覧になって学びを生かせるように公開しています。
第4回となる今回の動画では、「エッセーの始まりと終わりの書き方」について、青木さんにお話を伺いました。
Q.エッセーの始まりの書き方について
青木さん:始まり方は誰もがずいぶんお考えになるのではないでしょうか? 書き始めは、著者と読者が最初に出会う場所です。著者としては、なるべく早く読者を作品の世界に引き入れたいところです。うまくいかないと、読者は覚めてしまって、どこかに行ってしまいます。読ませる力を持つかどうか、というのが書き始めのカギですので、存分に悩みましょう。
では、工夫を凝らしたすごい書き出しにしないといけないかと言うと、そんなことはありません。会話から始まるのもいいですし、ふっと誘われるようなさりげない書き出しもいいと思います。
私の祖母・幸田文に『おとうと』という小説があり、その始まりは「太い川が流れている。」とあります。短くてさりげない文章だと思いますが、これを読むと脳裏に川が流れている情景が浮かびませんか? 身びいきのようですが「うまいな」と思う例です。
Q.エッセーの終わりの書き方について
青木さん:書き納めも、書き始めと同じか、それ以上に大切なところです。
印象深い言葉を投げかけるか、余韻を残して読者に考えを委ねるか、いろんなやり方がありますが、基本的には「これが一番伝えたい」ということを素直に出すのでいいと私は思います。胸にあることを強く心に持ち「こうだ」と書くことで、メッセージが直接渡されたという印象を受けるので、よい終わり方だと思います。
私自身は、書いてきたものを見ると、余韻を残してすっと引くタイプのようです。読者の心に小石を投げ入れて、水紋が広がっていく……という状態が私にとっての理想です。
書き納めには注意すべきことが2つあります。ひとつは常套句で終わらせないこと。「……なこの頃です。」「こんな私です。」などの常套句は、その言葉が出た途端に読者に既視感を与えがっかりさせてしまいます。
2つめは家族をテーマにしたエッセーならではなのですが、取り上げた家族への呼びかけで終わらせないこと。気持ちはわかるのですが、エッセーは著者と読者の対話です。最後まで読んできて、例えば「お母さん、ありがとう。」「お父さん、ごめんなさい」「生まれてきてくれてありがとう」などで終わると、読者はどう思うでしょう。置き去りにされたように感じるのではないでしょうか。その思いは、違う形の文章に転換するのがよいですね。
動画では、さらに詳しいお話や、青木さんの朗読もお楽しみいただけます。朗読するのは、家族の病と向き合う心の揺らぎを描いた大橋悦子さんの「主人が『気管切開』をした」です。
エッセイスト・青木奈緖さんのプロフィール
1963(昭和38)年、東京生まれ。文豪・幸田露伴を曽祖父に、作家・幸田文を祖母に、随筆家・青木玉を母に持ち、自身もエッセイストとして活躍。著書に『幸田家のきもの』(講談社刊)、『幸田家のことば』(小学館刊)他。
ハルメクの通信制エッセー講座とは?
全国どこでも、自宅でエッセーの書き方を学べる通信制エッセー講座。参加者は毎月1回家族の思い出をエッセーに書き、講師で随筆家の青木奈緖さんから添削やアドバイスを受けます。
書いていて疑問に思ったことやお便りを作品と一緒に送り、選ばれると、青木さんが動画で回答してくれるという仕掛け。講座の受講期間は半年間。
2022年9月からは第5期の講座を開講します(募集は終了しました)。
次回第6期の参加者の募集は、2023年1月を予定しています。詳しくは雑誌「ハルメク」2023年2月号の誌上とハルメク365WEBサイトをご覧ください。
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