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- 山本ふみこさんエッセー通信講座第4回参加者の3作品
随筆家の山本ふみこさんが講師を務めるハルメクのエッセー通信講座。参加者の作品から山本さんが選んだエッセーを紹介します。今月の作品のテーマは「待つ」。優しい読後感に満たされる3作と、山本さんの動画をお楽しみください。
山本ふみこさんが選んだ3つのエッセー
クリックすると、作品と山本ふみこさんの講評をお読みいただけます。
「1日バス5本」近藤陽子さん
歳時記に寒さの中で暖かな春を待つ気持ち「待春(たいしゅん)」という冬の季語がある……
「山椒」高村富恵さん
結婚して初めて住んだアパートのお風呂は、今のようにお湯をためるのではなく、水を入れ……
「雨宿り」原エリカさん
雲の合間から薄日が射してきた。もう大丈夫だろう。イオンミストのような湿り気を……
エッセーに関する質問・お悩みに動画で回答
通信制エッセー講座の参加者から寄せられた質問やお悩みに、山本ふみこさんが動画で回答します。
今月の質問①「推敲はどの加減でやめればよいですか?」
山本さん:推敲をしたくなってしまう気持ちはよくわかりますが、し過ぎて原型がなくなってしまうとなると、もったいないです。
私の場合は、ひと通り書き上げても、すぐには送らないようにしています。少し間を置いて、送る直前に読み返して、何かを直したりしてから送ります。それで、もう忘れて次に行きます。少し間を置くという長さは、お茶を飲んで10分後とか。余裕があれば、ひと晩寝て、起きてからとか、そのくらいです。
つまり、人に見せる直前になると、少し違う神経が生まれるようなので、その神経で見直すということです。
今月の質問②「違う話題に移るときの接続語に迷ってしまうので、教えてください」
山本さん:接続語には「さて」や「ところで」があったり、前の文章を受けて「しかし」と続ける場合もありますけど、何もしないで1行空けるという手もありますよ。ここで少し気分を変えて読んでいただきましょう、というときにおすすめです。
意外と、いい接続語を選ぼうということよりも、それが何時のことで、主語は誰で、何をしようとしているか、ということを一つ一つ正確に書いていくことの方が大切です。
それから、会話では少しも「しかし」でも「だけど」でもないのに「だけどさぁ~」とか「でもね……」と言うことがあるでしょう? 会話のクセだと思いますけど、文章にすると力を発揮し過ぎてしまうので、気を付けましょう。
今月の質問③「会話の入れ方について教えてください」
山本さん:会話を入れるとリアリティーが増すので、いいですよね。みなさんももう少し入れてくださったらいいかなと思いますけれど、会話は難しいです。
「今日、雨が降りましたね」と●●が言った。
というスタイルで、私たちは学校で習っています。なので、会話を入れるときは「」(鍵かっこ)の前後に誰が言ったかを書く、となってしまうんですけど、最初に誰が言ったかがわかっていると、「」の会話だけでつないでも大丈夫。いちいち、●●が…、山本が…、●●が…、山本が…と書かなくてもいいんです。
ここは会話で書いた方が効果的か、会話だと伝わりにくいかという選択は、書き手の個性なので、これがいいですとは言えません。山田太一さんの本とか、劇作家のものを読むと、会話の面白さ、美しさ、あと効果のあげ方が学べると思います。
動画では、山本さんから書き手に向けて、さらに2つのアドバイスがあります。
- 丁寧過ぎない
教養あるみなさんなので「えっ、□□先生に話を聞いた、と書いていいの?」と思われると思いますが、いいんです。新聞を読んでも「首相が……とおっしゃった」とは書いていないけれど、それはやはり、その方がよりストレートに伝わるから。私たちが書くエッセーも同じです。
- 〇〇してしまう
話し言葉ではつい「〇〇しちゃったのよね」なんていいがちですけど、書くときの「〇〇してしまう」は、話し言葉よりも威力を発揮します。負のイメージ、失敗、「こうしなければよかった」、「ああ、こうしてしまった」というようなイメージを強く表すんですね。ですから、なるべく使わない。事実だけを伝えれば、それをどう受け取るかは、読者に任された世界です。
■もっと知りたい■
随筆家・山本ふみこさんのプロフィール
1958(昭和33)年生まれ。出版社勤務を経て随筆家に。ハルメクでは連載「だから、好きな先輩」やエッセー講座(会場開催と通信制)の講師でおなじみ。著書に『朝ごはんからはじまる』『まないた手帖』(ともに毎日新聞社刊)『おとな時間の、つくりかた』(PHP文庫刊)『暮らしと台所の歳時記 旬の野菜で感じる七十二候』(PHP研究所)『こぎれい、こざっぱり』『台所から子どもたちへ』(ともにオレンジページ刊)『家のしごと』(ミシマ社刊)ほか多数。公式ブログは http://fumimushi.cocolog-nifty.com/
ハルメクの通信制エッセー講座とは?
全国どこでも、自宅でエッセーの書き方を学べる通信制エッセー講座。参加者は毎月1回出されたテーマについて書き、講師で随筆家の山本ふみこさんから添削やアドバイスを受けます。講座の受講期間は半年間。
第3期の募集は終了しました。次回第4期の参加者の募集は、2021年12月に雑誌「ハルメク」の誌上とハルメク旅と講座サイトで開始予定。募集開始のご案内は、ハルメクWEBメールマガジンでもお送りします。ご登録は、こちらから。
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