毎週シャンシャン♪

シャンシャンを毎日撮るぱんだうじさんの、パンダ愛

公開日:2019.10.23

更新日:2021.10.28

10月28日は「パンダの日」!2017年に東京・上野動物園で誕生した、パンダのシャンシャン。公開観覧日からなんと毎日撮り続けているという、ぱんだうじさんこと高氏貴博さんが語る、シャンシャンの止まらない魅力とは?

ぱんだうじさんが上野動物園に通うことになったワケ

高氏貴博(たかうじ・たかひろ)さん。シャンシャンのファンからは「ぱんだうじさん」と呼ばれています
高氏貴博(たかうじ・たかひろ)さん。シャンシャンのファンからは「ぱんだうじさん」と呼ばれています

実は、僕が上野動物園に通い始めたのは2011年、8年も前なんです。

たまたま上野にいたとき仕事の空き時間ができてしまって、プラプラ歩きながら、じゃあ動物園にでも、と入ってみました。入ってすぐがパンダ舎で、進むとリーリーとシンシン(シャンシャンの父と母)がいました。

シンシンは背中を向けていて、顔を見せようとしない。だけど、あどけなくて大胆な後ろ姿に一目ぼれしちゃいました。でっかい桃がデーンと置かれているみたいなお尻が、もうかわいくて。仕事柄いつも一眼レフカメラを持ち歩いているので、自然にシャッターを切っていました。

あまりのかわいらしさに、その日すぐ、上野動物園の年間パスポートを買いました。入園料が600円だから、2400円の年間パスポートは4回行けば元が取れちゃう。4回なら絶対また来るだろうなと。

年間パスポートはスマホの透明ケースに入れて、いつでもサッと出せます!
年間パスポートはスマホの透明ケースに入れて、いつでもサッと出せます!
名刺入れも、パンダです!「いただきものなんです……」
名刺入れも、パンダです!「いただきものなんです……」

上野は通勤途中の駅でしたし仕事もフレックスなので、翌日、翌々日と、出勤前に上野動物園に寄りました。

毎日パンダを見ると、様子が違うんですよ。それが面白くて、1か月通ってみることにしました。通い始めると、最初は区別がつかなかったリーリーとシンシンの顔がわかるようになり、2頭の行動の違いや性格も鮮明になってきました。ますます面白くなって、いつの間にか今に至っている、というわけです。

いよいよシャンシャン公開。180分待ちの日も

上野動物園で販売されている、ぬいぐるみ。左は生後2日目、右は生後10日目のシャンシャンをモチーフにしています。大きさも重さも、その時とほぼ同じ。
上野動物園で販売されている、ぬいぐるみ。左は生後2日目、右は生後10日目のシャンシャンをモチーフにしています。大きさも重さも、その時とほぼ同じ

パンダの発情期は、1年に1回だけ、しかも3日間くらいなんです。わずかなチャンスでリーリーとシンシンのお互いの気持ちや環境がピタッと合わなければ妊娠できません。

シンシンは2012年に子どもを産みましたが、残念ながらその子は生後6日で死亡。2013年は偽妊娠(想像妊娠)でした。その後もいい知らせは届かず、ようやく2017年に待望の妊娠。6月12日に、シャンシャンが生まれました。

誕生日から半年ほどして、いよいよ公開。大フィーバーでしたから、最初は抽選制で、あらかじめ整理券を手に入れて(手に入らないときは、パンダ仲間から譲ってもらったりして)通いました。

初めて対面したシャンシャンは、柴犬くらいの大きさでコロコロしてて、お母さんにべったり甘えて、かわいかったなあ。顔つきは、お母さんのシンシン似でしたね。

整理券制度が終わると、大行列に並んで見ることになったんですが、これが大変で。公式記録では、最高240分待ちなんて日がありました。僕の場合は180分待ちが最長記録かな。

公開初日。奥の方で丸まって寝ていたシャンシャン
公開初日。奥の方で丸まって寝ていたシャンシャン
公開2日目。今日は起きてる! はじめまして、シャンシャン!
公開2日目。今日は起きてる! はじめまして、シャンシャン!

シャンシャンの写真は1日でだいたい1000枚撮影

1歳。笑いながら眠っているみたい。どんな夢を見ているの?
1歳。笑いながら眠っているみたい。どんな夢を見ているの?

公開日は、一日で3~4巡してシャンシャンと会います。写真は1000枚くらい撮影。その中から30~40枚に絞り込んで、さらにいいものをブログ「毎日パンダ」にアップ。8年間で、ブログに掲載した枚数は13万枚を数えます。

今、シャンシャンの年齢は2歳4か月。人間でいうと、7歳くらい。親離れして、力もついてきて、元気な盛りです。いろいろな行動や表情を見ることができます。

パンダって、一日のほとんど、寝ているんですよ。午前中、特に開園直後は活動的なので、動くシャンシャンを見たいなら午前中がおすすめです。でも、ぼくとしては寝ている姿を見てほしい。それが本当のパンダの姿だから。コロンとして、かわいいんですよ。

取材当日の高氏さんと、よく動き回るシャンシャン
取材当日の高氏さんと、よく動き回るシャンシャン

シャンシャンを見に来る人は、50代以上とおぼしき女性が多いです。僕と同じように、毎日シャンシャンに会いに来る人たちも30~40人はいるかな……。顔見知りもたくさんできました。

僕もそうですけど、みんな「自分の子どもに会いに来る感覚」なんです。成長を見守るのは、楽しいものです。僕の場合は正確に言うと、リーリーとシンシンが子どもで、シャンシャンは、孫に会いに来る感覚かな。

毎日シャンシャンに会いに来るようになってよかったこと、それは生活にメリハリがついたことでしょうか。それに、どんなに仕事が大変でも、シャンシャンに会えば、元気がもらえる。だから一日も休みたくないので、健康管理にも気を付けるようになりました(笑)。

シャンシャン

上野動物園でシャンシャンを見るには?

東京・上野動物園でシャンシャンを見るなら、一番いいのは、「表門」から入ることです。いわゆる正面玄関で、ここから入ればすぐパンダ舎があります。表門に着くと、入場券や年間パスポートを持っている人の列と、これから入場券を買う人の列に分かれます。そして、入場した順にパンダ舎に並んで、シャンシャンを見ます(2019年取材時)。

9時30分の開園直後は、シャンシャンと、リーリーまたはシンシンが、それぞれ屋外の運動場で朝ごはんを食べていたりお散歩していたりします。だいたい昼間は外の運動場で、シャンシャンたちを見ることができます。

上野動物園のホームページでは、ライブ映像を配信中なので、今何をしているかが見られますよ(2021年現在はライブ映像は配信されていません)。

シャンシャン
2歳。自分で笹をバリバリ食べられるようになりました

<編集後記>
「じゃあ、僕、もう一度シャンシャンに会ってから帰ります。ありがとうございました」。取材が終わった平日のお昼。高氏さんはその日4巡目のシャンシャンに会いに、上野動物園のゲートをくぐっていきました。5巡目もあったのでしょうか……

取材・文=前田まき(ハルメクWEB)

※2021年10月現在、上野動物園は入園予約制です。パンダの観覧も制限があります。詳しくは上野動物公園の公式サイトでご確認ください。

ハルメクWEBでは、2019年10月30日から2020年4月29日まで、毎週水曜日に、高氏さんのシャンシャンの写真とコラムを紹介。全28本の記事が読めます。

■もっと読みたい■

高氏貴博

毎日、上野動物園のパンダをレポートするブログ「毎日パンダ」が大きな反響を呼び、テレビ、雑誌など多くのメディアで取り上げられる。著書に『毎日パンダ-365日上野動物園に通っているよ日記』(平凡社刊)ほか。さいたま市在住、一児の父。

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