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- 三陸鉄道で東北応援旅!宮古の新名物と心の故郷・久慈
大の鉄道好きマンガ家・文筆家のYASCORN(やすこーん)さんが、気軽に行ける1泊2日の女性ひとり旅をご紹介。全線開通をした三陸鉄道リアス線に乗り通す旅の後編。青の洞窟、「あまちゃん」のゆかりの地を巡ります。夏ばっぱのモデルも登場します!
朝イチで、宮古駅近くの市場へ
前編を読んでいない方はこちら「全線開通の三陸鉄道で東北応援旅!(前編)」
昨夜の宣言通り、早起きをしました。
今日はこの辺りで観光をしてから、久慈に向かいます。宮古から久慈に向かう三陸鉄道リアス線は、1日に12本。1時間に約1本?と思われるかもしれませんが、例えば10時44分発・久慈行きの次の便は、13時15分。乗り遅れると大変なのです。
とはいえ、不便さを楽しむのも旅の醍醐味。気持ちの余裕は持っておきたいところです。
宮古駅から歩いて7分ほどの宮古市魚菜市場。朝の市場は活気があっていいですね。
こちらはそんなに大きい市場ではありませんが、魚や野菜、食堂も2か所あり、朝7時からオープンしています。朝ごはんをここで食べようと考えていたのですが、海鮮はお昼に食べる予定……迷います。
岩手の沿岸では、獲れたてのうにを牛乳瓶に詰めて保存するそう。最近都心でも、この状態で売られているうにを見かけることが多くなりました。さすがにここで買って帰るわけにいかないので「このままスプーンですくって食べたらおいしいだろうなあ」と想像するのみでした。
さて、こちらは現在の三陸鉄道宮古駅。実は3月に新開業するまで、ここはJR宮古駅でした。元の三陸鉄道宮古駅は、さんてつやの右側の位置にありました。現在もそこに本社があります。
結局、朝ごはんは駅の改札外にある、駅そばで食べることにしました。あまり見かけず気になったのが「そうめん」。こちら、そば・うどんと同じ製麺やさんで作っているそう。年中あるメニューで、温かいそうめんのみ。「温かいそうめんは、温麺では?」とツイッターに書きこんだら、「にゅうめんだと思います」と一斉にツッコミがきました。
甘くないさっぱりした出汁のにゅうめんは、胃にやさしく朝食にぴったりでした。
ウミネコを頭に乗せて、青の洞窟に向かいます
駅前のバス乗り場から、「浄土ヶ浜ビジターセンター」に向かいます。浄土ヶ浜のさっぱ船で、青の洞窟へ行ってみたかったのです。さっぱ船とは、小型の船のこと。2名〜7名の相乗りで、運転してもらえるので座っているだけでOK。ヘルメットと救命胴着を着用し、かっぱえびせんをもらいます。これはおやつに食べるのでしょうか?
私と他に女性1人旅の客2人を乗せて、さっぱ船は出発しました。なぜかウミネコたちとやたらと目が合います。船頭さんが景色の説明をしてくださるのですが、エンジン音とウミネコの鳴き声で、半分くらい聞こえません。
どうやらウミネコたちが騒ぐ理由はこれでした。かっぱえびせんは、ウミネコの餌として渡されていたのです。空に投げると空中でキャッチし、手に持つと我先にとものすごい速さで奪います。スマホで連写してようやく撮ることができました。
頭に乗るやつは、私がえびせんを取り出すと同時に取りにくるので油断も隙もありません。
ウミネコと戦っていたら、いつの間にか青の洞窟の入り口に着いていました。
陸中海岸の「青の洞窟」と言われる八戸穴。こちらから見る海がエメラルドグリーンやコバルトブルーで大変きれいだそうですが、果たしてどんよりしたお天気の日でも、そう見えるのでしょうか。
見えました!確かにエメラルドグリーンです。天気の悪い日でも光が差し込んでちゃんと色が出るそうです。もちろん晴れた日、しかも午前中が一番きれいに見えるとのこと。
ぜひまた晴れた日に、改めて来てみたいです。
マリンハウスに戻って、青の洞窟ソフトクリームを食べていたら、ウミネコとまたもや目が合いました。もうあげません。ソフトクリームはソーダ味でおいしかったです。
三陸を代表する景勝地「浄土ヶ浜」は、火山岩からできた白い岩と小石で入り江が作られているので、波があまり来ず穏やか。夏は海水浴客で大変賑わいます。
浄土ヶ浜の地名は、天和年間(1681〜1683)に宮古山常安寺七世の霊鏡竜湖が、「さながら極楽浄土のごとし」と感嘆したことから名付けられた、と言われているそう。
浜辺に座り、波の音を聞いていると、自分がどこにいるのかわからなくなってきます。確かにちょっと不思議な場所です。
宮古の新名物は、牛乳瓶に詰まった海鮮!?
レストハウスの手前の壁、2階の窓の位置に青いラインがあり、近づいてみてハッとしました。そこには「2011.3.11 津波浸水ライン」と書かれています。震災時、津波がなんとあの位置まで来ていたそうです。目の当たりにして、自然の恐ろしさを実感しました。
バスで駅まで戻り、駅の目の前にある「魚彩亭 すみよし」で宮古の新名物「瓶ドン」をいただきます。こちらは牛乳瓶に入った海鮮を、自分でご飯の上にかけて食べるスタイル。
現在、宮古市内10店舗で個性の違う「瓶ドン」が食べられるそう。このように街一体となって盛り上げているものは、どんどん応援していきたいです。
さらに宮古駅には、駅舎のある北口と、反対側の南口をつなぐ自由通路ができていました。南側には市役所などが入ったイーストピアみやこが建てられ、景色もすっかり変わりました。通路はガラス張りで、鉄道ビューなスポット。丸1日でもいられそうです。
列車に乗り遅れないよう、早めに三鉄に乗って久慈に向かいます。今日は飲みながら景色を楽しみたいと思います。
秘境駅としても知られる一ノ瀬、佐羽根を過ぎ、見逃せないのが田老と摂待の間に作られている新駅「新田老」駅。年内には開業する予定だそうです。
全国で駅の廃止が相次ぐ中、新しい駅ができるのは実にめでたいこと。新駅はトンネルを過ぎてすぐ右側と聞き、先頭ですかさず連写しました。結局、ほぼ座っていません……。
国民的人気の朝ドラ「あまちゃん」の世界へ
さて、ここからはあの国民的人気の朝ドラ「あまちゃん」の世界を堪能できます。ロケ地にもなった田野畑駅舎や、一番の見どころ大橋橋梁。大橋橋梁は白井海岸と堀内の間です。
車窓からは白井海岸と広がる海が見渡せます。ここは時間帯によって徐行運転、もしくは橋の上で停車してくれるので、ゆっくり風景写真が撮れますよ。
さらに堀内駅で降りて、1㎞ほど歩いて反対側の堀内大橋という橋から見下ろすと、この構図の写真が撮れます。私も1度、ここからの写真に挑戦したのですが、列車が遅れていたのか、まさかの勢いで通り過ぎられてしまいました。
あちらこちらの駅に、ドラマで使われていた駅名の表示が掲げられていました。ロケ地巡りをしたいファンにはうれしいサービスです。
久慈は、何度も訪れたくなる心のふるさと
「ようこそ〜!」と到着してまず出迎えてくれたのは、久慈駅窓口にいらっしゃる久慈さん。久慈駅で、駅まわりの実にさまざまな業務をこなされています。切符を売ったり、観光案内したり、グッズを売ったり、あまちゃんの格好をして列車に同乗したり……本当に頭が下がる働きぶり。私が久慈に来るのはたぶん5回目。何度も来るうちに、すっかり仲良くなり、ごはんをご一緒したりする仲です。
その斜め前には同じく何度も「うに弁当」を買った三陸リアス亭があります。
実はこの写真の左側に見える白黒の印刷物は、私の漫画「メシ鉄!!!」(集英社刊)の第29話「三陸鉄道&うに弁当」の回(3巻収録)のプリントです。貼ってくださってありがとうございます!
この日も、うに弁当を予約していました。顔を出すと「久しぶりだね〜」とクニエさんが迎えてくれました。ここ数年、新宿京王百貨店の駅弁大会に出店されていたのですが、今年はクニエさんの体調が悪く、東京に来られなかったので心配していたのです。
「もうすっかり元気ですよー」と笑顔でうに弁当を手渡してくれて安心しました。
「喫茶モカ」も久慈に来る度に行く場所です。こちらは、あまちゃんの喫茶リアスのモデルになったお店としても有名。うに弁当は帰りの新幹線で食べることにして、こちらでいつものナポリタンをいただきました。太めの麺にケチャップの懐かしい味……それからたまごサンドもおすすめです。持ち帰りもできますよ。
昭和の香り漂う店内は不思議と落ち着きます。壁にはドラマの出演者や来店した有名人のサインがずらり。朝ドラの主演を務めたのんさんの描いた絵も飾られています。こちらでも手が空いたマスターご夫妻としばし会話。楽しいひとときです。
父の仕事の都合で転校続きだった私には、故郷と呼べる場所がありません。だから何度でも訪れたくなる場所は、心の故郷として勝手に認定しています。ここ、久慈もそう。
鉄道好きになり、あちらこちらに乗りに行って楽しむようになりましたが、故郷へは、むしろ人に会いに行くという比重が大きいです。
リアス線がつながったことで、観光客はもちろん、今まで三鉄に乗ったことがない地元の方が乗ってくれるようになったそう。知らない場所へ旅するのも楽しいですが、よく知った場所に何度も訪れるのも、常に新しい発見がありますよ。
次回、青春18きっぷならではの旅をします!
☆本記事に記載されている写真や本文の無断使用・ 無断転載を禁じます。また掲載情報は取材時点のものであり、最新の情報は施設等へお問い合わせください。
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