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- 食べないと人生損!西日本の駅弁ラインナップ15
大の鉄道好きマンガ家・文筆家のYASCORN(やすこーん)さん。毎年1月開催の京王百貨店 新宿店の「駅弁大会」の常連客です。普段は現地でしか手に入らない、絶品駅弁が一堂に会する機会。見た目華やか、味もおいしい西日本の駅弁をご紹介します!
名古屋、岐阜、富山、ぜいたくな名産品を味わう!
「冷めてもおいしいのが駅弁」
これは駅弁の定義です。出来たてのご飯がおいしいのは当然ですが、駅弁は冷めた状態で売られるもの。その環境で、おかずやご飯を、いかにおいしく食べてもらえるか……と考える駅弁業者さんたちの努力によって、作られているのです。
そして駅弁大会では、私たちがその地に出向かなくても、駅弁たちが全国各地から旅をして、私たちに会いに来てくれる。気軽に旅に行けない方の中には、年に一度の京王百貨店 新宿店駅弁大会を楽しみにしている人も少なくありません。
さて、今回は西日本で売られているおすすめ駅弁をご紹介しますね。
私はウナギが大好きです。名古屋に行くと、ひつまぶしが食べたくなりますが、人気店が多いので、たいてい行列しています。そんなときに手軽に楽しめるのがこちら、「ひつまぶし弁当」。国産ウナギを使用したひつまぶし風駅弁で、別途、出汁・わさび・きざみのり・山椒が付いています。
ひつまぶしと同様に、最初はそのまま、次に薬味をかけて、最後に出汁をかけて食べるという本格派。スプーンも付いているので車内でも食べやすいです。かなり満足できますよ。
「飛騨高山 牛しぐれ寿司」はローストビーフと牛肉しぐれ煮が酢飯にのったお弁当。きれいなピンク色の自家製のローストビーフは、とってもやわらかくて甘いです。ローストビーフで酢飯をまいて、付属の生わさびとお醤油を付けていただくと、まさにお寿司。冷めてもおいしいお弁当の代表格ですが、今回は実演販売なので、作りたてが食べられますよ。そうそう、このお弁当を食べるときは、常にお酒も一緒です。
ますのすしで有名な、源の新商品。オレンジ色のきれいな魚は、鱒(ます)です。その上にチーズ、カニ、いくらをのせた、豪華なお弁当。色どりがきれいでまず目を引きましたが、食べるとチーズのほのかな風味とともに、ますとカニの相性のよさに驚きます。時々プチプチとした食感のいくらも入ってきて、なんともぜいたくな味。こちらは実演で、期間限定の販売です。冬季限定販売の「ぶりかまめし」もオススメですよ!
見た目も美しく楽しい、関西地方の駅弁
印象的なきつねのお面のパッケージを開けると、これまたきれいな市松模様に並べられた、いなり揚げが目を引きます。黄金色と黒糖色の二種類のいなり揚げはそれほど甘くなく、下のゴマ入り酢飯とも相性よし。付け合わせのクルミ甘煮はこれだけでも食べたいくらい好きです。こちら、輸送弁当の中では、連日真っ先に売り切れているようです。(輸送弁当というのは、全国の駅弁屋さんが自分たちのところで作り、送られてくるお弁当。通常、駅で販売されているものと同じです)
「湖北のおはなし」は米原に行くたびに買っているお弁当。湖北地方の名産の鴨のロースト、赤カブ、海老豆、鶏のくわ焼き風、小芋、こんにゃく、卵焼き、山ゴボウ漬けなどがおかずとして入っています。特にこの鴨のローストがとってもジューシー!
おこわは季節によって変わります。春は山菜、夏は枝豆、秋は栗、そして冬は黒豆。駅弁大会は冬なので、毎年買えるのは冬バージョンのみ。ちなみにサイコロの中身はキャラメルではなく、飴です。
そして今回の分は、おこわがベチャッとならないよう、竹皮に包まれていました。これは駅弁大会用に、今年初めてやってみた試みとのこと。お弁当へのこだわりを感じます。
実際に現地に行くことがありましたら、他の季節のお弁当もぜひ味わってみてください。
伊勢神宮にお参りに行く際、必ず立ち寄って買うお弁当が「松阪名物黒毛和牛モー太郎弁当」。紙のスリーブを外すと印象的な牛の顔の容器が登場。さらに牛のフタを開けると、音が鳴り出す、日本初のメロディ駅弁です。そしてぎっしり詰まった松阪ブランドの黒毛和牛を使用したすき焼きは、誰もが大好きな味。ふわっと生姜の香るお肉は、本当にやわらかくて感動します。視覚・聴覚・嗅覚・味覚、そして心と「五感に響く」お弁当、手に取って感じてほしいです。
「小鯛雀寿司」は和歌山駅で購入できる駅弁。なかなか食べる機会がなかったので、以前、駅弁大会で購入し、予習してから、現地に行った際に再度買いました。こちら、お醤油が入っていません。そのまま食べるお寿司なのです。ふんわり握られた酢飯と、程よく酢締めされた小鯛の上品な味を楽しんでほしい一品。同じく和歌山県の郷土料理で、「めはり寿司」もあります。
「ひっぱりだこ飯」といえば、明石のタコと穴子、季節の野菜などたっぷりの具材と炊き込み御飯が、タコ壺風の陶器に入った駅弁です。元々は1998年の明石海峡大橋開通を記念してできたお弁当。その後すっかり定番となり、最近ではゴジラとコラボしたものや、金色のタコ壺風入れ物など、さまざまなものが出ています。私もついつい、いろいろなバージョンの入れ物を集めてしまっていますが、最新作がこちら「銀色のひっぱりだこ飯」です。銀色なのは入れ物だけでなく、中身も。通常のひっぱりだこ飯の上に、銀杏と、銀ザケがのっています。銀ザケはやわらかく、銀杏も彩りをさらに添えて、いつものひっぱりだこ飯が、とてもぜいたくに感じられました。
中国・四国地方からは、岡山、広島、松山の駅弁に注目!
こちらは加熱式のお弁当。冷めてもおいしいのが駅弁といいつつも、加熱式容器はヒモを引っ張ると、蒸気が出てお弁当を温めてくれます。飛行機便だと加熱式容器は輸送できませんが、岡山からは鉄道輸送なので、駅弁大会で買うことができます。
「あったか 岡山名物えびめしとデミカツ丼」は、一度に2つの岡山名物が味わえるお得な駅弁。カツにはデミグラスソースがかかっていて、下にはキャベツのコンソメ煮。えびめしは、味が濃そうに見えますが、まったくそんなことはなく、香ばしくておいしいです。
加熱式容器のものは毎年1月1日〜4月30日までの販売。5月1日〜12月31日の間は、通常の駅弁、「岡山名物えびめしとデミカツ丼」が販売されています。
広島ならではのカキざんまいのお弁当。カキが炊きこまれたカキめし、カキフライ、カキ身のゆず味噌和えと、いろいろな味のカキが楽しめます。厳島神社の宮島杓子をかたどった赤いしゃもじ型の容器は、捨てられずに取ってあります。9月中旬から翌3月までの冬季限定販売なので、カキが好きな方はぜひ。
松山駅の名物「醤油めし」は、1960(昭和35)年からのロングセラー。しかし2018年、駅弁業者さんの倒産によって、一度姿を消しました。ところが地元民にも愛された醤油めしを、元の味を引き継ぐ形で調整し、岡山の駅弁業者「株式会社 三好野」が復活させてくれたのです。復活した醤油めしは、多少のマイナーチェンジはあるものの、パッケージも変わらず、素朴で飽きのこない味はほぼそのままでした。松山に行くたびに醤油めしを買っていたので、本当にうれしいです。
九州の駅弁も、もちろん買えます!
駅弁大会では、午後に到着する輸送駅弁は、毎年整理券を配布しての販売となっています。
整理券をもらうため、朝10時の開店と同時に総合カウンターに向かう人も少なくありません。そして午後2時〜3時半の間に再び受け取りに行きます。整理券をもらったものの、時間内に行けない場合はキャンセルに。その分は、キャンセル待ちで並んでいる方に、先着順で販売されます。
その整理券をもらって買ったのがこちら、人気の折尾駅の「かしわめし」。九州では昔から、鶏肉のことを「かしわ」と呼ぶそう。鶏のスープの炊き込み御飯に、鶏肉と卵をあしらった「かしわめし」は、食べ出すと箸が止まりません。経木が余分な水分を吸ってくれて、ベチャッとせず、ちょうどよいバランス。1921(大正10)年からの伝統の味はさすがです。
そして値段が770円というのもまたうれしい。現地の折尾駅では、なんと立ち売りで駅弁を販売しています。駅のホームで、立ち売りの方から買う経木の駅弁……食べながら旅情をかきたてられる、そんな駅弁です。
実演販売で連日行列ができている「佐賀牛ザブトンステーキ・ローストビーフ・ロースすき焼き弁当」。会場に行くと、ステーキ肉を焼くいい匂いが漂ってきて、ついつられて並んでしまいます。お肉はどれもやわらかく、脂が本当に甘いです。数年前に、佐賀の武雄温泉駅で初めて食べたときも感動しました。駅から歩ける距離にある武雄温泉も、すばらしいですよ。
器を集めている「有田焼カレー」シリーズ。小さいこのサイズが、普段の食卓でもとても使い勝手がよいのです。今回は持っていない柄があったので、「有田焼シチュー」にしました。シチューやカレーの駅弁自体がめずらしいのですが、なんと有田焼の器に入っています。こちらはレンジで温めて食べるお弁当。有田焼なので、そのままレンジに入れることができます。そして有田焼は保温性が抜群。現地で買う際に温めてもらえば、しばらくたってから食べても温かいです。シチューはマイルドなデミグラス味、カレーは結構スパイシーで私好みです。
何度か現地で買っていますが、有田焼なのでやはり重い。旅で動き回るときの荷物を考えると、容器を集めたい駅弁は、駅弁大会などで買うのが一番な気がします。
「山海三昧」は、第11回JR九州駅弁グランプリ受賞の駅弁。大分県の海の幸、山の幸を握り寿司にした、いろいろな味わいが楽しめるお弁当で、見た目もきれい。柚子胡椒でいただく湯布院牛を炙った握りや、大分名物のとり天握りはこのお弁当でしか食べられない味。一つ一つの造りも凝っていて、グランプリの名にふさわしいお弁当だと思いました。
京王百貨店新宿店の後、駅弁大会は大阪、熊本へ
ところで駅弁を買ってすぐ食べたい!という方も多いと思います。会場内には何か所か座って食べられる場所があります。その賑やかな雰囲気の中で食べるのもよいのですが、私が好きなのは屋上。屋上には夏に使用されるビアガーデン用の机といすが並べられていて、こちらで食べることができます。北風が冷たいときにはちょっとつらいですが、晴れた昼間なら、自販機で温かい飲み物を買って、新宿の高層ビルを眺めながら食べるのはとても快適。おすすめです。
駅弁大会は、東京の京王百貨店 新宿店大会(2020年1月8日〜21日)が終わると、大阪の阪神梅田百貨店(1月22日〜28日)、続いて熊本鶴屋百貨店(1月29日〜2月4日)へと全国各地を巡ります。参加店や駅弁のラインナップは変わりますので、各店のホームページなどをご参照ください。地方のスーパーなどでもこの季節に駅弁大会の催事が行われることが多いのではないでしょうか。
それにしても駅弁業者さんたちは大変です。スケジュールを見るとわかりますが、一日も休みなし!
そしてほとんどの駅で、駅弁は毎日、365日間売られています。駅に行ったら駅弁があるのは当たり前……ではなく、休みなく私たちの元に届けられる駅弁のありがたみをかみしめながら味わいたいものですね。
駅弁と鉄道旅のまんが「メシ鉄!!!」(YASOCRN やすこーん著 、ヤングジャンプコミックス)は1〜
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駅弁と鉄道旅のまんが「メシ鉄!!!」(YASOCRN やすこーん著 、ヤングジャンプコミックス)
■東日本編はこちら
■この記事に登場した弁当が登場する記事はこちら
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