新しくなった特急踊り子号で、伊豆の温泉巡りへ!
2020.04.152018年10月20日
観光特急しまかぜで伊勢志摩旅へ(後編)
観光特急しまかぜで伊勢志摩へ!食に導かれ伊勢神宮
大の鉄道好きマンガ家・文筆家のYASCORN(やすこーん)さんが、食べて食べて、また食べる鉄道旅の楽しさをご紹介します。今回の旅は特別編。雑誌の取材に同行して「伊勢志摩」エリアを1泊2日で堪能します。2日目は海女小屋と伊勢神宮を巡ります。
彩り豊かな朝食。とろ~り卵、そして懐かしのヨーグルトに舌鼓
前編はこちら。「観光特急しまかぜで伊勢志摩旅へ(前編)」
おはようございます。ベッドが良いと、起きた時の気分も違います。
いつまでも滞在したいと思える、大変居心地の良い志摩観光ホテルですが、今日でもうお別れ。
「ホテルに滞在するための旅」というのはしたことがありませんでしたが、こちらにはまたぜひ来てみたいと思いました。名残惜しいですが、最後に朝食を堪能しに行きましょう。
ホテルの朝食は和食か洋食ブッフェが選べます。洋食ブッフェを選ぶと更に卵料理が一品選べるので、私はエッグベネディクトにしました。それが到着する間にブッフェを取りに。
パンに果物、野菜やスープ、オードブルがずらりと並びます。最初に並んでいるパンだけでも種類が多く、どれを選ぼうか、優柔不断な私はかなり悩んでしまいました。
席に戻るとエッグベネディクトがすでに到着していました。私が案内された席は、なんと前回ご紹介した、山崎豊子さんの特等席。朝から気持ちが上がります。
エッグベネディクトが冷めないうちに、と急いでナイフを入れると、トロリとした黄身が。クロワッサンも見た目の通りサクサク、他のパンもオードブルも全てが美味しい……。
乳製品は山村乳業のもの。前日も買っていましたが、私はご当地の乳製品を食べるのが大好き。今度来る時は、こちらに数日滞在してみたいものです。
石神さんと、海女さんに会いに鳥羽へ!
天気予報は雨でしたが、同行者がみんな晴れ女・晴れ男で、お天気はなんとか持ちそうです。今日はまず、石神さんにお参りに行きます。
石神さんとは、相差(おうさつ)町の神明神社にあるお社のひとつ。ここに祀られているのは女性の神様で、ご神体は石だそう。海女さんたちが古くから「石神さん」と呼び、「女性の願いをひとつ叶えてくれる」と親しんできました。
手前の記帳台で紙に願い事を書き、御賽銭箱の横の箱に入れてお参りします。
お守りに書かれた星マークは「セーマン」と言われ、一筆書きでかけることから「海に潜っても元の場所に戻れる」という意味。格子柄は「ドーマン」と呼ばれ、「出入り口がわかりづらいことから、魔物を寄せ付けない」という、共に海女さんが磯着に記す魔除けのおまじないです。
女性に大人気のこのお守りは、授与していただいた数の分だけ封筒と祈願用紙が受け取れます。お土産としてお守りをもらった人はこれに記入して石神さんに送れば、ちゃんとご祈祷していただけるのです。
願い事がありすぎて、なかなかひとつだけに決められず、迷いに迷って「目が良くなりますように」と書きました。本当にそれがベストチョイスだったのか……?
悩みながらも昼食場所の「海女小屋 相差かまど おぜごさん」に向かいます。海沿いのスリルある道を不安になりながら歩いて進むと、奥に小屋が見えてきました。
海女さんが2人、出迎えてくださいました。お二人とも現役の海女さんだそうです。
楽しいおしゃべりをしながら、海女さん達は、テキパキと手際よく魚介類を焼いていきます。見ていて気持ちがよい手さばきを、感心して眺めておりました。
本日のお品書きは、サザエ、大あさり、ひおうぎ貝、アジの干物、うにごはん、餅入りわかめ汁、あらめの煮物、お新香。焼きたての魚や貝が新鮮なのは言うまでもありません。
朝ごはんを食べたばかりでしたが、すっかり平らげてしまいました。「おぜごさん」はひとりでは利用できないそうですが、海沿いの道の手前にある「海女小屋 前の浜」ならひとりでも大丈夫だそう。いずれにしても予約が必要です。
相差(石神さん前)までは、鳥羽駅からバスで45分ほど。石神さんと前の浜は徒歩で約10分。バスは途中、鳥羽水族館や、近鉄の松尾駅も通ります。
伊勢といったら、伊勢神宮。お楽しみの赤福新商品も買いました!
次の目的地はいよいよ伊勢神宮。いつもなら外宮(げくう)→内宮(ないくう)の順番にきっちり参拝するのですが、今回は時間の都合で内宮のみでした。
その前に私は赤福 五十鈴川店で、7日前に応募し、当選した「いすず 野あそび餅」(※)を引き取ってきました。受け渡し時間が午後1時〜3時の間だけなのです。※「いすず野あそび餅」は2018年10月7日以降、抽選ではなく当日先着順で購入できるようになりました。
内宮は「お伊勢さん観光案内人」の方に約90分間、みっちり案内していただくことになっています。
案内人の方と合流、宇治橋を渡りきって左に回ると橋全体が撮影できるポイントがあります。この日の五十鈴川は水量がかなり少なかったです。
橋を通ってみるとわかりますが、内宮は右側通行。外宮は左側通行と決まっています。
神苑を通って手水舍、五十鈴川御手洗場(いすずがわみたらし)で手を清めます。お参りの方法は、1回目の箱根旅・後編イラストに描いたものと同様です。時間がなければ御正宮のお参りだけでも良いし、別宮をいくつかお参りするのも自由です。
今回は案内していただいたので、説明を聞きながら、いくつかの宮社もお参りしました。御正宮にお参りする前に、まずは瀧祭神(たきまつりのかみ)へ。こちらは地元では天照大御神に用件を取り次いでくれる神様とも。それから御正宮を参拝。
その後に、荒祭宮へ。こちらは内宮の別宮の中で最も格式が高い第一別宮。お参りする時は失礼のないようにしましょう。
参拝を終えて、次のお楽しみへ。内宮を出て右手にある「おはらい町通り」を通ります。
雰囲気のある街並みを見ながら、買い食いして歩くのも楽しいです。今回は食べられませんでしたが、私は「すし久」のてこね寿司を食べるのが定番です。
そして伊勢神宮に来ると必ず寄るのが、おはらい町通り中程に位置する赤福本店。
今回も2個入りの赤福をいただきました。お茶はサービスで付いてきます。やはりこちらでいただく赤福が一番美味しいと感じます。夏限定の赤福氷も大好きです。赤福本店の目の前の「おかげ横丁」を散策してから、帰路に向かいました。
帰路は牛肉の駅弁を買って、黄色い伊勢志摩ライナーに!
帰りは宇治山田駅から乗車します。こちらの駅舎は1931(昭和6)年の開業当時から鉄筋コンクリートの3階建て。同じ頃に開業した浅草雷門駅、東武ビル・松屋(現・浅草駅、松屋浅草店)や、南海電鉄難波駅を含む南海ビルディング(現・大阪髙島屋)を手がけた久野節(くの みさお)氏が設計した近代建築。この佇まいが好きで、来るたびに写真を撮ってしまいます。
宇治山田駅から特急に乗車、松阪駅で一度降りてJR側ホームに回ります。改札からは出ません。こちらの駅弁屋さんで、予約しておいた駅弁を受け取りました。
「駅弁のあら竹」は、創業1895(明治28)年。松阪駅の駅弁屋さんとして長年愛されている存在です。あら竹4代目社長の新竹浩子さんは、笑顔がとても素敵な方で、私と同様、鉄道好き。予約時にタイミングが合えば、なんと乗車している列車のホームまで出来立ての駅弁を1個から届けてくださるのです!
今回はお会いすることができず、残念でした。
ここからは私が好きな「伊勢志摩ライナー」に乗車します。
今回は黄色でした。「伊勢志摩ライナー」は赤色もあります。それぞれ、伊勢志摩の太陽と陽射しを表現しているそうです。
こちらは「デラックスカー」。しまかぜと同じように、1列シートが私のお気に入りです。コンセントも付いています。
「サロンカー」はカラフルでとても可愛らしいシートな上、大きなテーブルも付いていて1度乗ってみたいのですが、2名からの設定なので、なかなか機会がありません。他に、レギュラーカーもあります。
他の車両をいろいろと見に行ったあとは、席で駅弁をいただくことにしましょう。
今回買ったのは「松阪牛と本居宣長さんと松阪もめん」というワンランク上のお弁当。こちらには、なんとこの日に駅弁に使用した松阪牛の「松阪牛証明書」が付いています。
こちらは加熱容器式。買ってすぐ食べるのであれば、まだ温かいですが、持ち帰る場合はひもを引っ張って温めると、出来立てが味わえます。
そのままでも大変柔らかく風味の良い松阪肉赤ワイン醤油煮の上に、温められた別容器の松阪肉煮汁をかけて食べると、いくらでもご飯がすすみますよ。
近鉄では、お得なきっぷがたくさん発売されています。伊勢神宮参拝きっぷや鳥羽水族館割引きっぷ、まわりゃんせ、近鉄週末フリーパスなど、自分が回りたいコースを決めて、うまく活用してみてください。
伊勢神宮へ来るのは今回7回目でした。
同じ場所に何度も旅しても、また違う発見があります。次はどういうコースで旅をしようか、どの駅弁を食べようか。考えるともうワクワクしてしまいます。
全く同じ旅というものはないのです。
次回は、「富山で鉄道乗りすぎ旅(前編)黒部峡谷トロッコ電車」
前編は、こちら。「観光特急しまかぜで伊勢志摩旅へ(前編)」
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