新連載 池田まき子 グレイヘアで、心軽やかに

グレイヘアブームがやってきた!

公開日:2019.06.27

秋田市在住の児童書ノンフィクション作家・池田まき子さん(61歳)の連載が始まります。テーマは今やかっこいい女性の一つのスタイルとして地位を確立しつつある「グレイヘア」!池田さんが白髪染めをやめたきっかけは、海外での経験が大きいそうです。

はじめまして、池田まき子です!

はじめまして。池田まき子と申します。オーストラリアの首都・キャンベラに30年在住した後、昨春、秋田市に仕事の拠点を移しました。小中学生向けのノンフィクションを手掛けていますが、60歳になったのを機に「グレイヘア」「女性のライフスタイル」についての発信も始め、昨年末には「グレイヘア秋田」を立ち上げました。

この連載では、グレイヘアにしたきっかけや移行期、化粧やファッション、グレイヘアを通して見つめる「老い」など、「グレイヘア」の世界についてご紹介していきたいと思っています。

白髪を染めていない女性、白髪で悩んでいる女性にとって、「2018年」は、記憶に残る年になったのではないでしょうか。

「グレイヘア」がタイトルに入った雑誌や書籍が次々に出版され、また、流行語大賞にノミネートされたことにより、グレイヘアの女性たちが、さまざまな形でメディアに取り上げられました。

「若さ」を求めた「アンチエイジング」よりも、「自然体で歳を重ねる美しさ」を支持する人が徐々に増えています。そのような女性の象徴としても、グレイヘアが注目を浴び、「白髪を染めない」ことへの共感を呼んでいるように感じています。

「歳を重ねることをポジティブに捉えよう」といった自然志向の価値観や生き方は、今後も注目され、グレイヘアにする女性はどんどん増えていくのではないでしょうか。

池田まき子さん
56歳で白髪染めをやめて、グレイヘアに移行。今は全体的にまんべんなくグレイヘアに

 

グレイヘアにしたきっかけ

私がグレイヘアにしたのは5年前、56歳の時のこと。きっかけとなったことがいくつかあったので、ご紹介しましょう。

  • 50歳を過ぎたころ、白髪染めの後、頭皮にかゆみが出たり、髪の毛にもツヤがなくなったりすることが気がかりに。わずらわしく思っていた白髪染めを無理に続ける必要はないと思った。
     
  • オーストラリアに住んでいた頃、20代の娘と買い物に行くと、姉妹や友達同士に見られるように。年齢より若く見られることに嫌な気はしなかったが、「年相応ではなく見られるのはいいことなのか」と疑問を持つようになった。
     
  • 日本に帰省するたび、女性のほとんどが白髪をきれいに染めていることに驚いていたが、70代や80代でも白髪を染めている姿に、「そこまでがんばって白髪を隠さなくてもいいのでは?」といった疑問を抱いた。
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  • 海外のウェブサイトの、グレイヘアの女性たちを紹介するページを見て、表情豊かに颯爽(さっそう)としている姿に、「私もこうなりたい!」と思った。

このように、白髪を染めている女性の姿に対する疑問、違和感などが重なり、私は「ありのままの自分を受け入れる」ことを選び、グレイヘアにしました。

オーストラリアとの感覚の違い

移民の国であるオーストラリアには、肌の色も髪の毛の色も、さまざまな人がいます。髪の毛を好みの色に染めている人はたくさんいますが、加齢を隠すために白髪を染めるという人は、少ないように見受けられました。

オーストラリアは個性が尊重される国。「白髪が多い少ない」も個性の一つとしてみなされ、「染めた方が若く見える」などと言われることは一切ありません。年齢に見合った美しさや品性を追求する女性が多いと感じます。

日本では、女性が若く可愛らしく見えることが好まれ、「若いこと」がもてはやされ過ぎではないかと思います。そのため、白髪に対して「老化」「加齢」といった悪いイメージが強まり、厳しい目が向けられてきたのではないでしょうか。

「白髪=だらしないこと」じゃない!

白髪があるのは、恥ずかしいことでしょうか? 白髪を染めないのは、だらしないこと、みっともないことでしょうか?

いいえ、私は決してそうは思いません。歳をとったらシワが増えるように、だれにでも白髪は生えてきます。ごくごくあたりまえのことではないでしょうか。

「白髪は染めるのも自由であり、染めないのも自由」――。自然体でいたいという方には、「グレイヘアにすることを選ぶ自由」があることを知ってほしいもの。

2019年1月号「ハルメク」では、池田さんのインタビューを掲載し、読者のみなさんから大きな反響がありました
2019年1月号「ハルメク」では、池田さんのインタビューを掲載し、読者のみなさんから大きな反響がありました

白髪を染めている女性が多い中、みんなと違って白髪のままでいることは、ちょっとだけ勇気のいること。けれども、「グレイヘア」にして、心も解き放たれてみませんか。

今はまだ、「白髪を染めるのが常識」であるものの、私たちの意識の変化によって、そうではない時代が来るかもしれない……そんな予感がしています。

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池田まき子

児童ノンフィクション作家。オーストラリアに30年在住後、2018年春に秋田市に活動拠点を移す。著書に『クニマスは生きていた!』(汐文社刊)、『自由への道―奴隷解放に命をかけた黒人女性 ハリエット・タブマンの物語』(学研刊)など。秋田在住のグレイヘアの女性でつくる「グレイヘア秋田」代表。

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