グレイヘアで、心軽やかに

「グレイヘア」で自由になった心で、人生を楽しく!

公開日:2019.11.18

更新日:2019.11.18

秋田市在住の児童書ノンフィクション作家・池田まき子さん(61歳)が、グレイヘアをテーマにつづる人気連載も、今回が最終回。この1年でブームとなったグレイヘアについて振り返りながら、代表を務める「グレイヘア秋田」の活動にも触れます。

「グレイヘア・ブーム」はどこまで?

「あっ、あそこに、グレイヘアの人!」
「あの女性のグレイヘア、素敵! ファッションもかっこいい!」

「グレイヘア歴5年」の私は、街に出ると、知らず知らず、グレイヘアの人を目で追い、素敵な着こなしの女性を見つけると、後をついて行きたくなってしまいます(笑)。アクセサリーからカバンまで、こだわりが感じられる女性たちは、胸を張ってさっそうとし、表情も生き生きしています。同性の私でも、ときめかずにはいられません。

今月初め、2019年度「流行語大賞」のノミネートが発表されました。振り返れば、昨年のノミネートに「グレイヘア」が選ばれたことが、「グレイヘア」の認知度を高め、「グレイヘア・ブーム」が起こるきっかけになったといえます。

グレイヘア関連の本も多数出て、ブームを感じます
グレイヘア関連の本も多数出て、ブームを感じます
私もこの1年余り、メディアの取材をたくさん受けました
私もこの1年余り、メディアの取材をたくさん受けました

あれから、ちょうど1年。自然志向の価値観が注目され、グレイヘアの女性を見る機会は、確実に多くなったように思いますが、ブームはこのまま続いていくのでしょうか。

そもそも、「白髪を染めないという選択」は、「ありのままの自分を受け入れ、年を重ねることを楽しむ」というライフスタイルにつながるもの。グレイヘアにすることが最終目標なのではなく、目指すは、自由で前向きな生き方。言うなれば、「グレイヘア」は自分のための「マイブーム」。気負いのない捉え方で、いいのかもしれません。

「グレイヘア秋田」を立ち上げて1年

2018年春、60歳になったのを機に、30年在住したオーストラリアでの生活に区切りをつけ、仕事の拠点を故郷の秋田市に移しました。日本でやりたいと思っていたことの一つが、「グレイヘア」についての発信。
    
まずは、インスタグラムへの投稿を始めたところ、全国各地のグレイヘア仲間から、すぐに反応がありました。そして、東京や大阪をはじめとした都市部で「オフ会」が開かれていることを知り、秋田に「グレイヘアの会」を立ち上げることになったのです。

交流会ではおいしいランチを共にしながら、グレイヘアの情報を交換 
交流会ではおいしいランチを共にしながら、グレイヘアの情報を交換 

「グレイヘア秋田」の会の様子が、地元のメディアで紹介されると、問い合わせが多く寄せられるように。加入したいという申し込みだけではなく、白髪にまつわる悩みを打ち明ける人も、少なくありませんでした。

「染毛剤の影響で頭皮がかゆくなるので、いつかはやめたいと思っている」
「グレイヘアにしたいのだけれど、きっかけがないまま、ずるずると……」
「世間の目が気になって、白髪染めをやめられない。どうしたらいいか」

当初は、グレイヘア仲間の親睦を図り、情報交換の場となればと考えていました。けれども、悩みを抱えた人たちの切実な声を聞いてからは、「染めない自由」があることを知ってもらい、一歩を踏み出す手伝いができればと思うようになりました。

回を重ねるごとにメンバーは増え、現在は60人余り。大きな輪になりつつあるといえます。

ファッションのワークショップでモデルを務めた、会の立ち上げメンバーたち
ファッションのワークショップでモデルを務めた、会の立ち上げメンバーたち

12月初旬に開く集まりは、早くも第7回目。4回目のランチ会からは、講師を招き、「グレイヘアに合うファッション」「ヘアスタイル」「メイクアップ」などをテーマに、ワークショップを開いています。これからも、心豊かなライフスタイルにつながる企画を続けていければと、模索しているところです。

「グレイヘア」の適齢期はいつ?

池田まき子さん

私が白髪染めをやめたとき、姉と母からは、「染めた方が若く見えるのに」と、何度も言われました。けれども、私の活動や発信を見聞きしたことが影響したのか、二人とも白髪染めをやめることに。姉66歳、母は88歳にして、「グレイヘアへの道」を選んだのです。

「美容院に行くのがおっくうだったから、もっと早く始めていればよかった」
「髪のパサつきがなくなって、ツヤやハリが出てきた。頭皮も肌もいい感じ」

姉と母にこのようなコメントをもらい、また、傷んだ髪の毛がよみがえる様子を間近に見られたのは、何よりもうれしいことでした。二人にとって、グレイヘアに対して抵抗を感じなくなったこのときが、「グレイヘアにする適齢期」だったのかもしれません。

年をとると、髪の毛が白くなるばかりではなく、眉毛やまつ毛も減ります。額、眉間、目元にシワが増え、頬もたるむなど、全体的にぼんやりした印象に。つまり、顔全体が柔らかい感じになるので、髪だけが黒々と目立つと、はっきりしない顔がますますぼやけ、老け顔になってしまいがちます。

自分で「どこか、しっくりこない」といった違和感があるのなら、そろそろ「グレイヘア適齢期」なのかもしれません。「染めるのも自由・染めないのも自由」ですが、もし、染めるなら「まっくろくろすけ」にならないよう、くれぐれもご用心を。

自由な心で、人生を楽しみたい!

池田まき子さん

「白髪があると、老けて見える」
「白髪を染めないのは、恥ずかしいこと」

多くの人がこのように言います。けれども、私は、全く気にならないし、気にする必要もないと思っています。年を取ると、シミやシワが増えるように、髪の毛が白くなるのは、ごくごく当たり前のことなのですから……。

「女性の白髪はだらしない」といった固定観念、周囲の価値観、世間の目などから解放されると、気持ちがスッキリ。みんなと同じである必要はなく、自分がどうありたいかを考え、自分が心地良いと思えることを貫いていきたいものです。

グレイヘアを選択して得たものの中で、「自由な心」になれたことが、一番の宝物。本来の自分に戻って、自然体で真っすぐに歩んでいけることが、何よりの幸せなのではないかと思うこの頃です。

自分と向き合い、老いていく自分をいとおしく感じられるようになった今、60歳を越えた今だからこそ、人生の面白さを、もっともっと味わっていければと思っています。

どうぞ、みなさんも、「自由な心」で、年を重ねることを大いに楽しまれますように!

池田まき子さん


池田まき子さんのinstagramfacebookもどうぞ。

「グレイヘア秋田」を取材されたときのAAB(秋田朝日放送)の動画が見られます。

池田まき子さんのこれまでの連載はこちら。

池田まき子

児童ノンフィクション作家。オーストラリアに30年在住後、2018年春に秋田市に活動拠点を移す。著書に『クニマスは生きていた!』(汐文社刊)、『自由への道―奴隷解放に命をかけた黒人女性 ハリエット・タブマンの物語』(学研刊)など。秋田在住のグレイヘアの女性でつくる「グレイヘア秋田」代表。

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