歯科医・宝田恭子さんに学ぶ!歯のセルフケア・1

歯の黄ばみの原因は?簡単セルフケアを歯科医が解説!

宝田恭子
監修者
宝田歯科医院院長
宝田恭子

公開日:2022.07.29

更新日:2023.01.13

年を重ねるほどに気になる「歯の黄ばみ」。 笑顔に自信を持つためにも、健康的な“白い歯”はいつまでもキープしたいですよね。自宅で簡単に歯を白くする方法はあるのでしょうか?歯の黄ばみの原因とセルフケアの方法を歯科医・宝田恭子さんに聞きました。

歯の黄ばみの原因は、表面の削れ!

そもそも、子どもの頃は白かったのに、年を取るとなぜ歯が黄色く見えるようになるのでしょうか。

その理由を、歯科医・宝田恭子(たからだ・きょうこ) さんに教えていただきました。

【医学監修】歯科医・宝田恭子さんのプロフィール

歯科医・宝田恭子さんのプロフィール

たからだ・きょうこ 1956(昭和31)年生まれ。宝田歯科医院院長。日本アンチエイジング歯科学会監事。口元の筋肉を中心に表情筋・咀嚼筋を鍛えるエクササイズを考案。歯科医師の視点から「要支援」にならない体づくりを提唱する。著書に『たるみが消える顔筋リフト宝田流表情筋トレーニング』(講談社刊)、『「顔面地滑り」をくい止める! 顔筋リフトアップ』(PHP社)。

「歯の表面のエナメル質のすぐ下には、象牙質という組織があるのですが、象牙質は厚みが出ると色が濃く見えてきます。エナメル質は、年を重ねるごとに、どうしても表面が薄くなります。また歯の中の歯髄が狭窄することから、象牙質の厚みも増化します。その象牙質が薄くなったエナメル質から透け、黄ばんで見えるという仕組みです」

歯の黄ばみの原因:エナメル質が削れ、象牙質が濃く見えるため

黄ばみの原因が歯の表面の削れ・汚れによるものだとすると、50代・60代から歯を白くすることはできないのでしょうか?

「個人差はありますが、セルフケアで黄ばみをきれいにするというのは、年を重ねれば重ねるほど大変になってしまいます。すでに黄ばみがひどい人は、歯科医でホワイトニングを受けたり、ホームホワイトニングを行ったりする必要があるかもしれません。

ただ、ホワイトニングよりも、セルフケアでこれ以上黄ばみを進行させない対策が大事。50代からはまず、時間をかけてていねいにケアすることが何より大切です」

歯が黄ばみやすい人のNG生活習慣5つ

歯が黄ばみやすい人のNG生活習慣5つ

▼セルフケアで落とせる歯の黄ばみ

  • 食べ物の着色汚れ:コーヒー、緑茶、ワインなど色素の強い飲食物は黄ばみの原因に。飲んだあとは、お水を飲むこと。
  • 歯垢の付着:歯垢の付着は歯が黄ばんで見え、放置すると歯石に。

実は、こうした歯の黄ばみには、生活習慣が大きく影響しているといいます。歯の黄ばみの原因になるNG習慣について、宝田さんに教えてもらいました。

1.歯磨きの時間が数十秒~数分と短い

「“口の中がスッキリすればOK”とばかりにパパっと歯磨きを済ませる方も多いのですが、それだと色素や汚れがいつまでもつきっぱなしになります。歯を治療していると、やはり昔から歯をていねいに磨いている人ほど、歯の状態がいいです」

「ちなみに、私は複数の歯ブラシを使い分けて、15~20分くらい毎日磨いています」と宝田さん。

「目指したいのは“1面3秒”。前歯は裏表と両サイドがあるので4面、奥歯はかみ合わせがあるので5面です。そうすると、全部で10分近くはかかることになります。磨いたところを舌で触って、ヌルっとしたら“これはまだやり足りない”と思ってやり直すくらいの気持ちが大切です」

2.家族で同じ歯磨き粉を使っている

「家族で同じ歯磨き粉を使っている方も多いのですが、人それぞれ歯の悩みは違うもの。実は歯磨き剤は、その方に合った成分入りのものをそれぞれ使い分けるほうがいいのです。一度、今お使いの歯磨き粉の成分をチェックしてみるといいと思います」

歯磨き粉は、ご自身の悩みに対応する成分が入ったものを選びましょう。歯を白くしたいならば、ホワイトニング成分が入っているものは必須。その上で、歯の隅々まで成分が行き渡るように、ていねいに歯磨きをするのが大切です。

「ただし歯磨き粉の合う・合わないには、個人差もあります。今お使いのものが自分の歯の状態に合っているか不安な人は、歯科医に聞いてみるとお手入れに自信が持てますよ」

3.研磨剤入りの歯磨き粉で毎日磨く

一方で、研磨剤入りの歯磨き粉を毎日使っていると、表面のエナメル質が削れる原因になります。

「研磨剤は歯の表面が削って汚れを落とすもの。毎日のように研磨剤入りの歯磨き剤でガシガシ磨いていると、エナメル質がより薄くなってしまいます。歯の表面についた黄ばみを落とす効果は強いので、週に1回だけ使うなど、頻度を工夫するといいですね」

黄ばみとは直接関係ありませんが、研磨剤入りの歯磨き粉は、使い方を間違えると、知覚過敏の原因になる場合もあるそう。

「歯と歯茎の間のところはエナメル質が薄く、その先は歯の根っこになりますが、ほぼ終わりの部分です。そこをガシガシ磨くと、どんどん象牙質が削られて知覚過敏の原因に。研磨剤入りの歯磨き剤で磨く際は、より注意が必要です」

毎日使うには、歯を削らずに黄ばみ汚れを落とす歯磨き剤を使用しましょう。

表面の削れが気になる人は歯磨きジェルがおすすめ
表面の削れが気になる人は歯磨きジェルもおすすめ

4.おやつなどを1日に何度も食べる人

「歯は酸に弱く、口の中が酸性に傾くと、酸は歯に穴を開けようとします。だから歯は、口に物を入れた回数分、弱くなってしまうんです。そのため、ちょこちょこ食べ物・飲み物を口の中に入れるのはNGです」

さらに、色の濃いもの、着色料の入ったものを食べた後、そのまま放置すると、歯の表面の削られた部分に色素が入り込み着色汚れで黄ばんでしまうそう。外出中などで歯磨きが難しい場合は、歯の表面の汚れを拭き取るようにしましょう。

「私はコットンを持ち歩き、食べたあと歯の表面を拭いています。手軽でおすすめですよ」

5.喫煙の習慣がある

タバコを吸う人は、ヤニによる「黄ばみ」とともに、「黒ずみ」にも注意が必要なのだそう。

「タバコの成分って独特で、歯の全体ではなく決まったところに黒っぽい点々がついて、黄ばみと同時に黒ずんで見えてきます。すでに黒ずんでしまった人は、研磨剤入りの歯磨き粉でエナメル質を削らないときれいになりにくいので、かかりつけの歯科医に相談してみてくださいね」

歯を「自分の部屋」だと思ってきれいにしましょう!

いかがでしたか? もし思い当たる項目があっても、逆にこれらのNG習慣を改善すれば、歯の黄ばみを進行させずに済むということ。

ちなみに筆者は1と3が完全に自分のことだったので、宝田さんに取材して以来、今までよりていねいに歯磨きするようになりました。歯が白ければ、笑顔にも自信が持てます。みなさんもぜひ、ご自身の生活習慣を見直してみてくださいね。

最後に宝田さんからメッセージです。

歯科医・宝田恭子さんからのメッセージ

「歯を白くすることも大切ですが、“歯を一生健康に保つ”ことが大前提。50代・60代からは歯のトラブルが増え、悩みも多くなってきます。トラブル知らずの歯でいるためにも、歯はていねいにケアしましょう。私はよく“歯を自分の部屋のように掃除しましょう”と言うんです。

ただ掃いて終わりの人、掃いて拭く人、隅々までていねいに拭く人……部屋の様子は全然違いますよね。ぜひ“隅々までピカピカの部屋”を目指して、セルフケアを続けましょう」

次回は、50代以降の歯磨き剤選びのポイントについて紹介します。

取材・文=水野 愛(ハルメク 健康と暮らし編集部) 撮影=渡辺裕之 ヘアメイク=AKANE


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水野 愛

2019年12月より「ハルメク 健康と暮らし」食品記事編集に携わる。好きなものは漫画・歴史・音楽・一人旅。特技は赤ちゃんをあやすこと。今の夢は、習い始めた三線で、沖縄のおばあ・おじいたちとセッションすること!

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