【医師監修】40代50代の発症も多く早期発見が重要
子宮頸がんとは?症状やセルフチェック・検診について
子宮頸がんとは?症状やセルフチェック・検診について
更新日:2024年02月28日
公開日:2021年11月28日
監修者プロフィール:吉岡範人さん(つづきレディスクリニック院長)

1978年生まれ。千葉県出身。2005年、聖マリアンナ医科大学大学院を卒業。同大学初期臨床研修センター、産婦人科に入局。16年間の医局勤務中、約2年間にわたりカナダ・バンクーバーにあるブリティッシュコロンビア大学へ留学。がんの研究に従事。2019年に事業を引き継ぐ形で、つづきレディースクリニックの院長に就任。その後、自らの発案で訪問医療を新たにスタートさせるなど、枠に捉われない多角的な医療サービスを促進。大きな注目を集めている。
40~50代での発症も多い「子宮頸がん」
子宮頸がんは近年20〜30代の若い女性に増加しているといわれていますが、40~50代での発症も少なくありません。
厚生労働省によれば、国内では毎年11,000人程度の女性が子宮頸がんにかかっているとされており、そのうち約2,800人が亡くなっています。
子宮頸がんは、予防できる病気です。正しい知識を身につけて、予防や早期発見につなげましょう。
子宮頸がんとは?

子宮頸がんとは、子宮の入り口にある子宮頸部にできるがんのことです。子宮の入り口付近に発生することが多いため、検査によって発見しやすいとされています。
子宮頸がんは、子宮がんのおよそ7割を占めるがんです。通常の場合、子宮頸がんの進行スピードは遅く、時間をかけてゆっくりと増殖して、がんになる前の状態である「異形成」や「上皮内がん」を経てがんになります。
子宮頸がんは早い段階で発見できれば、治療もしやすく予後のよいがんとされていますが、進行してしまってからでは治療が難しくなるため、早期発見が重要です。
進行すると、骨盤内のリンパ節への転移、血液やリンパ管を通って肺など子宮から遠い臓器へ転移することもあります。
子宮体がん(子宮内膜がん)との違い
子宮がんは、がんが発生する場所によって2種類に分けられます。子宮頸がんと、もう1つが「子宮体がん」です。
子宮体がんとは、子宮上部の袋状をした子宮体部にできるがんのことを指します。子宮体がんの95%は子宮内膜から発生するため、子宮内膜がんとも呼ばれます。子宮体がんは、エストロゲン(女性ホルモン)による長期的な刺激が主な発生原因です。
子宮体がんは40歳後半から増加するがんで、患者数は50〜60代で最も多くなります。近年、日本の成人女性に増えてきているがんの一つであるため、子宮頸がんとあわせて注意が必要です。
子宮頸がんの原因

子宮頸がんのほとんどは、ヒトパピローマウイルス(HPV)と呼ばれるウイルスの感染が大きな原因であると考えられています。ヒトパピローマウイルスは100種類以上あり、皮膚にいぼをつくるウイルスとしても知られています。
ヒトパピローマウイルスのうち、発がんに関与しているのは、約15種類の「ハイリスク型ヒトパピローマウイルス」と呼ばれるものです。
ヒトパピローマウイルスは、主に性器接触によって感染します。特別な感染ではなく、性交渉の経験のある女性の約80%が生涯に一度は感染するウイルスです。90%以上の場合は、免疫の働きによって2年以内に自然に排除されます。
しかし、ヒトパピローマウイルスが排除されず感染が続くと、一部に前がん病変(子宮頸がんの前段階)や子宮頸がんが起こると考えられています。
【子宮頸がんになりやすい要因】
- 初めて性交渉した年齢が若い
- セックスパートナーが多い
- 多産
- ピル(経口避妊薬)を長期服用している
- ビタミンAやビタミンCの少ない食事
- 免疫系の低下
- 喫煙している
その他、喫煙も子宮頸がんのリスクを高めるため、注意が必要です。
子宮頸がんの症状
子宮頸がんは、初期の頃にはほとんど自覚症状がないことが多いですが、月経時以外での出血や性行為による出血などの不正出血、おりものが増えるなどが起こることもあります。
子宮頸がんが進行すると尿や便に血が混じったり、足腰や下腹部に痛みが出たりすることがあり、このような症状が見られた場合は、ためらうことなく、すぐに婦人科や産婦人科など病院を受診しましょう。
子宮頸がんのセルフチェック

子宮頸がんは初期の場合は痛みもなく、自覚症状もないことがほとんどです。そのため、自分で発症に気づくことは非常に難しい病気です。
早期発見のためにも、普段から自分の体調や生理、経血、おりものなどをチェックして、気になる変化があれば早めの受診をしましょう。
子宮頸がんには、下記のような代表的な症状があります。これに当てはまるものがあれば、婦人科や産婦人科を受診して、子宮頸がん検査を受けるのがおすすめです。また、早期に発見するには 症状がないうちに検診を受けることも重要です。特に異形成や上皮内癌の状況で見つけることが重要ですので、定期的な検診を受けることが重要です。
- おりものから悪臭がする
- 月経以外で出血がある
- 性交時に出血がある
- 体重減少や食欲不振、疲れやすいなどの症状がある
- 腰痛がある
- 尿が出にくくなったり、尿に血が混じったりしている
- 下腹部が痛む、血便が出る
月経以外の不正出血に早い段階で気づくためにも、月経周期や日数などは記録をつけておくといいでしょう。
子宮頸がん検査について

子宮頸がんは、ヒトパピローマウイルス(HPV)感染によって起こるがんです。そのため、性交経験のある女性は、定期検診が重要であるとされています。
子宮がん検診は、各市区町村が公費で行っている他、人間ドッグや職場での検診などでも受けることが可能です。
子宮頸がん検診の対象者は20歳からとなり、検査頻度は2年に1回の間隔となります。あくまで市の補助が出るのが2年に一回であり、1年ごとの検診を受け、早期発見をすることが重要です。
子宮頸がん検査の流れ
子宮頸がん検査では、細胞診、コルポスコピー診(腟拡大鏡診)、組織診という3つの検査を行います。
まずは、子宮頸部の細胞診検査を行い、さらに詳細な検査が必要と判断された場合は、コルポスコピー診(腟拡大鏡診)での検査が必要です。コルポスコピー診で異形成やがんの疑いがある部位が見つかれば、組織を一部採取して組織診をし、確定診断します。
組織診で、もしも子宮頸がんと診断された場合は、CT、MRI、PETなどの画像検査や内診を行い、転移の有無を調べて進行期(ステージ)を決定します。
子宮頸がん検査の費用
自治体のがん検診や職場の健康診断によるものなど、実施方法によっても子宮頸がん検査にかかる費用は変わってきます。個人的に検査を受ける場合は自費診療となり、検査費用は検査内容や病院によっても料金設定が異なるため、事前に確認しておくといいでしょう。
目安としては、下記のようになります。
- 子宮頸部細胞診……数千円ほど
- コルポスコープ……数千円ほど
- ヒトパピローマウイルス(HPV)感染の有無を調べる検査……数千円〜1万円ほど
子宮頸がんの治療
子宮頸がんの治療は、ステージ(病気の進行期)と年齢、基礎疾患、妊娠希望の有無などによって手術療法、放射線療法、化学療法(抗がん剤)から選択されます。
これらの治療法を単独で行うこともあれば、組み合わせて治療することもあります。いずれの場合も、担当医としっかり話し合って最適な治療法を選ぶことが大切です。場合によっては、セカンドオピニオンなども検討するといいでしょう。
子宮頸がんの予防について

ここからは、子宮頸がんの予防について詳しく見ていきましょう。
子宮頸がん予防ワクチン(HPVワクチン)
子宮頸がんは、子宮頸がん予防ワクチン(HPVワクチン)による予防も可能です。接種対象は主に未婚の女性(推奨年齢:小学校6年生〜高校1年生)で、既婚女性は新たに発がん性のあるヒトパピローマウイルスに感染する可能性が低いと考えられるため、接種の必要はないとされています。
しかし、性交渉経験のある45歳くらいまでの成人女性が子宮頸がん予防ワクチンを接種する意味は大いにあるといわれているため、気になる人は病院で医師に相談してみるといいでしょう。
もし現在、発がん性のあるヒトパピローマウイルスに感染していたとしても、子宮頸がん予防ワクチンを接種すれば、今感染しているヒトパピローマウイルスが自然に治った後の次の感染を予防できます。
日本で使用されている子宮頸がん予防ワクチンは「サーバリックス(2価)」「ガーダシル(4価)」「シルガード9(9価)」の3種類で、いずれも接種回数は3回です。
成人女性が子宮頸がん予防ワクチンを接種する場合は自費診療となり、費用はワクチンの種類やクリニックによっても異なります。
【子宮頸がん予防ワクチンの2回目以降の接種間隔・接種費用】
- サーバリックス(1回につき約1万7000〜1万8000円)
2回目:初回から1か月後
3回目:初回から6か月後 - ガーダシル(1回につき約1万7000〜1万8000円)
2回目:初回から2か月後
3回目:初回から6か月後 - シルガード9(1回につき約2万5000〜3万6000円)
2回目:初回から2か月後
3回目:初回から6か月後
サーバリックスとガーダシルは子宮頸がんの約70%を、シルガード9は約90%を予防できるとされています。
禁煙や節酒、バランスのいい食事など
日本人を対象とした研究結果では、がん予防には以下が効果的であるとされています。
- 禁煙
- 節酒
- バランスのいい食事
- 運動
- 適正な体型の維持
- ヒトパピローマウイルスの感染予防
タバコは子宮頸がんが悪化する要因となるため、禁煙が推奨されます。
子宮頸がんを早期発見するためのポイント
子宮頸がんを早期発見するためには、定期検診を受け、異形成が見られた場合には経過観察を行うことが大切です。異形成とは、現状でがんとはいえないものの、時間の経過によってがんに進行する可能性の高い状態のことを指します。
異形成は軽度・中等度・高度の3段階に分かれており、軽度であれば多くは自然治癒しますが、約3~5%は中等度・高度の異形成やがんへ進行します。
異形成があると診断された場合、定期的に通院し、がん化していないかどうか、経過観察しなければなりません。
経過観察は約4~6か月ごとの通院が一般的で、長期間となることもありますが、途中で中断してしまっては早期がんを見逃してしまうことになります。必ず通院を続けることが大切です。
子宮頸がんは定期検診による早期発見が大切
子宮頸がんは、初期の場合は自覚症状はなく、進行していくにつれておりものの異常や不正出血が見られるようになってきます。気になる症状がある場合、既に子宮頸がんがある程度進行している可能性も考えられるため、すぐに病院を受診しましょう。
子宮頸がんは検査で見つかりやすく、初期であれば治療もしやすいとされているがんです。早い段階で病気を見つけられるように、定期検診を受けるようにしましょう。
※この記事は2021年11月の記事を再編集して掲載しています。
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