知って納得!歯磨きの新常識#1
唾液を増やして口と体の健康を守る!口臭に歯周病、糖尿病や認知症も遠ざける!?
唾液を増やして口と体の健康を守る!口臭に歯周病、糖尿病や認知症も遠ざける!?
公開日:2026年05月21日
教えてくれたのは、医療法人社団光歯会 森歯科クリニック院長 森昭さん

もり・あきら 1988年大阪歯科大学卒業。京都府舞鶴市で開業。予防歯科に力を入れ、唾液とオーラルケアの大切さを全国に発信している。唾液力強化専用器具“ストレッチオーラル”開発者。著書に『口の中から甦れ!』(日本橋出版刊)など。
唾液力をアップすれば全身の健康にもつながる!?

健康な人は1日に1~1.5リットルもの唾液を分泌し、健康が守られています。
「ところが、近年、唾液の分泌量が減少している人が増えています。原因は、姿勢の悪化やあごと舌の衰えにより“口の中が狭くなっている”こと。その結果、舌の動きや噛む動作が妨げられ、3つの唾液腺(下図)の働きも弱り、唾液が出にくくなるのです」
そう指摘するのは、唾液と健康の関係に詳しい森歯科クリニック院長の森昭さんです。
【セルフチェック】口内が狭くなり唾液が減っている可能性が!
まずは、下のセルフチェックで口の中の状態を確認しましょう。下記のような状態になっていませんか?
口を閉じたとき上下の歯が少しでも触れている

舌や頬の内側に歯形がついている

「口の中が健康な人は、唇を閉じたとき上下の歯がくっつかず、頬の内側や舌には歯形がついていません。上下の歯の接触や噛みグセがある人は、口の中が狭くなり唾液力が低下している可能性があります」と森さんは話します。
“唾液力”が下がる原因は「口の中が狭くなるから」
実は、普段から無意識にしてしまいがちな姿勢や、気付かないうちに進んでいる舌の筋肉の衰えなどが、口内を狭くし、唾液を減少させています。唾液が減ると、口の中が乾燥して舌の機能が衰え、さらに唾液が減るという悪循環に! 原因を知って、早めに対処しましょう。
【原因1】後方重心

立っていても座っていても、猫背で重心が後ろにかかると、あごが上がって噛み合わせが悪化し、口内が狭くなる原因に。
【原因2】噛みグセ
常に上下の歯が接触しているなど“噛みグセ”のある人は、咀嚼筋が緊張状態です。頬の内側が狭くなりやすく、口内ボリュームもダウン。
【原因3】舌の衰え

舌が衰えて筋力が低下すると、舌や喉の構造を保持する舌骨も下がり、下あごが後方に引っ張られ、ますます口の中が狭い状態に。
唾液力が低下すると「体と顔の老化」が加速
唾液力が低下すると、唾液が本来持つ「食べかすや細菌を洗い流す洗浄作用」「傷を治す抗菌作用」「歯や頬を守る保護作用」などが損なわれます。唾液が減少して歯周病になると糖尿病や動脈硬化が進行することも、国内外の研究で明らかになっています。
口の中が狭くなると、食べ物を飲み込む、話す等の機能が低下し顔の老化も進みます。
唾液が少なくなると歯周病菌などの悪玉菌が繁殖しやすくなり、それが歯ぐきから血管内に入り込み、糖尿病、心筋梗塞、脳卒中などの全身病の原因に。口内の悪玉菌が食べ物や唾液と一緒に肺に入り、誤嚥性(ごえんせい)肺炎を発症することもあります。
「唾液力を高めれば、こういった全身病も予防できる可能性があるのです」
唾液は、天然の「病気予防薬」であり「若返り薬」でもあります
「一方、唾液がしっかり出ていれば認知症のリスクが下がるなど、その恩恵を十分受けられ、年齢を重ねても元気で若々しくいられます」と森さん。
認知症を予防する
唾液力の低下は認知症発症リスクの増加を招きます。アルツハイマー型認知症の原因物質が脳に蓄積しやすくなるという報告も。
肌・骨・筋肉の老化を防ぐ
肌、骨、筋肉の修復を促すホルモンのパロチンやEGF(上皮成長因子)が唾液には含まれ、顔の表情筋の老化も防ぎます。
虫歯や歯周病を防ぐ
唾液には、歯や歯ぐきについた食べかすや細菌を洗い流す洗浄力があり、虫歯菌や歯周病菌も撃退します。
太りにくくする
食べ物をよく噛み、ゆっくり食事を楽しめば、唾液がたくさん出て、消化・吸収力が上がり、満腹感も高まって太りにくい体に。
口臭を撃退する
唾液には、口臭の原因物質を作り出す細菌が嫌がる酸素がたくさん含まれます。「唾液が口臭の原因菌も洗い流してくれるのです」
しかも、唾液力は鍛えることが可能です。次記事からは、森さんたちのチームが、のべ70万人以上に指導し、健康状態改善などにも効果があった対策を紹介します。
取材・文=福島安紀、イラストレーション=山中玲奈、構成=新井理紗(ハルメク編集部)
※この記事は、雑誌「ハルメク」2025年10月号を再編集しています。




