肝臓寿命を延ばす新習慣#2
あなたの肝臓は大丈夫?健康診断でチェックする3つの数値と異常シグナル
あなたの肝臓は大丈夫?健康診断でチェックする3つの数値と異常シグナル
更新日:2026年03月30日
公開日:2026年03月14日
お話を聞いたのはこの2人
教えてくれたのは、浅部伸一(あさべ・しんいち)先生

肝臓専門医。東京大学医学部卒業。自治医科大学附属さいたま医療センター消化器内科講師・准教授。その後、製薬会社に転じ、新薬開発等に携わる。現在は、アシュラスメディカル株式会社所属。著書に『長生きしたけりゃ肝機能を高めなさい』(アスコム)など。
教えてもらうのは、葉石かおり(はいし・かおり)さん

酒ジャーナリスト。ラジオレポーター、女性週刊誌の記者を経て、エッセイストに。「酒と心身の健康」「酒と料理のペアリング」をテーマに幅広く活動。著書に『酒好き医師が教える最高の飲み方』『名医が教える飲酒の科学』(日経BP、浅部先生監修)など。
肝臓の状態がわかる、3つの健康診断数値とは?
葉石 先生、ちょっと自慢してもいいですか。
浅部 はい、どうぞ。
葉石 私、これだけお酒を長く飲んでいるのに、γ‒GTP(ガンマ・グルタミルトランスペプチダーゼ)はずっと基準値内なんです。γ‒GTP が低ければ肝臓は健康だから、このままの酒量で安心と考えてもいいですか?
浅部 希望をくじくようで申し訳ないのですが、γ‒GTP が低いからといって、安心とは限りません。数値が年々上がっていれば注意をする必要がありますが、上がっていないからといってお酒を飲んでいいということにはなりません。
浅部 正確な判断には、 ALT(GPT)やAST(GOT)の数値を合わせて見ないといけません。
基準値内でも安心できない!肝臓の数値の正しい見方

書籍より引用
浅部 あと、「基準値だから大丈夫」という考えもちょっと危険です。
葉石 そうなんですか!?(驚)
浅部 基準値は、健康とされる多くの人々の検査値を基に統計的に割り出された幅であって、「この数値内なら健康」「個人にとって最適」というわけではないんですよ。基準値よりも、毎年の推移を見ることが大切です。数値が上がり続けている人が、一番危ないんです。
葉石 思い切り「基準値信仰」をしていました……。では何を指標に、普段の飲酒量を判断すればいいのですか?
浅部 お酒好きの皆さんが気にするγ‒GTP は、アルコールや薬剤などの解毒に関わる酵素の活動量を示します。最近はγ‒GT と表記されることも増えてきました。
浅部 「γ‒GTP の数値が高い=お酒をよく飲んでいる」ことを示唆する、「酒好きの証」マーカーであることは間違いありません。一方、ALT は肝細胞の損傷を示す指標で、肝臓の細胞が壊れると血中に出てくる酵素です。 肝臓のダメージを最もストレートに反映するマーカーといえます。
ASTとは?γ-GTP・ALTと合わせて見るポイント
葉石 γ‒GTP にばかり目がいっていましたが、ALT の数値が悪いほうが深刻なんですね。あともう一つのAST は、どういう数値なんでしょう?
浅部 ASTは肝臓だけでなく筋肉や心臓の損傷も示す指標です。ASTは肝臓以外に、筋肉や心臓にも多く存在します。長距離マラソンや筋トレなどの激しい運動後や、心筋梗塞など肝障害以外の原因があっても上昇します。
葉石 これらの数値の組み合わせで、肝臓のダメージを判断するわけですね。
浅部 お酒の継続的な摂取や、脂肪肝による肝臓のダメージが進行すると、まずγ‒GTP が上昇し、次第にALT も上がってきます。お酒が原因であれば、2〜3週間ほど禁酒するだけでγ‒GTPは下がってきます。同時にALT も下がる傾向であれば、原因はお酒でほぼ間違いないといえます。
年々の数値上昇に注意。見逃したくない肝臓の変化
浅部 その時々の数値に一喜一憂するのではなく、長期的に見ていくことが大事なんです。例えば昨年はγ‒GTP が30だったのに、今年は45、さらにその翌年は60といった上昇傾向にある場合、それが基準値内であっても、医師は「何かしらの疾患が進行しているサイン」として考えます。
浅部 逆に基準値を少し超えていても、それが一時的なものであれば、あまり問題視しないこともあります。
葉石 そう考えると、毎年の検査結果は取っておいたほうがいいですね。
浅部 そうですね。自分で過去のデータを見比べて、健康状態を把握してください。「基準値を超えたかどうか」ではなく、各数値の「変化の傾向」と、数値が上がった「生活背景」に注目しましょう。
次回の記事では、「肝臓寿命」を延ばして何歳でもお酒を楽しむための小さな習慣や心がけを肝臓専門医の視点で解説します。
※本記事は、書籍『お酒がいつまでも飲める「100年肝臓」になる秘訣を教えてください!』より一部抜粋して構成しています。
もっと詳しく知りたい人は
お酒は脳にはご褒美、肝臓には負担。そんな矛盾と向き合い、肝臓専門医が「100年肝臓」を目指すために今できることをわかりやすくまとめた一冊です。





