危険なサインを見逃さない!「脳卒中」は早期治療がカギ
危険なサインを見逃さない!「脳卒中」は早期治療がカギ
公開日:2025年04月07日
教えてくれた人:鈩裕和(たたら・ひろかず)さん
1987年佐賀大学医学部卒業。東京都老人医療センター(現・東京都健康長寿医療センター)を経て、96年に外来診療から訪問医療介護、さらに在宅看取りまで連続したサービスを提供できる専門機関として「つくしんぼ会」設立。著書に『身近な人が脳梗塞・脳出血になったときの介護と対策』(自由国民社刊)他。
こんな症状が出たら脳卒中のサインです
「以下の4つは、脳卒中の代表的な症状です」と話すのは、長年、高齢者医療に取り組んできた医師の鈩裕和(たたら・ひろかず)さん。
これらのうち一つだけ出現することもあれば、いくつかの症状が重なる場合もあります。脳卒中以外の病気でも、このような症状が突然現れる場合がありますが、「普段の様子とは明らかに違う」のであれば、一刻も早く病院を受診しましょう。

1.ろれつが回らない
言葉をうまく発音できない、話そうとしても言葉が出てこない、他人の話していることが理解できない
2.体の片側がうまく動かない
左右どちらかの腕や脚、顔にまひやしびれが起きる(腕の場合は食事中に箸を落とす、脚の場合はフラフラしてうまく歩けないなどが起きる)
3.片方の目が見えにくい
片方の目が突然見えなくなる、視野が欠ける、物が二つに見える
4.経験したことのない頭痛
いつもと違う激しい頭痛や吐き気が突然起きたら、くも膜下出血の恐れがある
知っておきたい「一過性脳虚血発作(TIA)」
上記1~3の症状が現れた後、24時間以内(多くは1時間以内)に自然に症状が消えてしまうことを一過性脳虚血発作(TIA)といい、脳梗塞の前触れと考えられています。治療せずに放置すると3か月以内に6人に1人が脳梗塞を発症するというデータもあるため、早めに病院を受診する必要があります。
おかしいと思ったらすぐに医療機関へ
「いざ脳卒中を発症したら、時間がたつにつれて脳細胞が死滅していくため、いかに早く治療を行うかが重要です」と鈩さんは強調します。
「ろれつが回らない」「体の片側がうまく動かない」「片目が見えにくい」といった症状は、脳細胞の働きが悪くなって、まひなどが出ているサインです。また、くも膜下出血では「バットで殴られたような」と例えられる激しい頭痛が生じることもあります。おかしいと思ったら、すぐに医療機関を受診しましょう。
一時的に症状が現れて消えた場合(上の「一過性脳虚血発作(TIA)」参照)も、放置すると本格的に発症する危険性が高いので、早めに受診することが大切です。

脳卒中は早期治療がカギです
脳卒中の種類別に、それぞれの治療法を紹介します。
脳梗塞
【血栓溶解療法(t-PA)】
血栓を溶かす薬を点滴で注入する。適応は発症から4.5時間以内。ただし広範囲の脳梗塞である場合や出血の既往がある場合などは適応外になることも
【血栓回収療法】
脚の付け根からカテーテルを入れ、血栓を回収する。適応は発症から原則8時間以内だが、近年は適応範囲が拡大しつつある
【その他の内科的治療】
血液をサラサラにする薬などを服用する
脳出血
【内科的治療】
血圧を下げる薬、脳のむくみをとる薬などを点滴で投与する
【外科的治療】
開頭手術か内視鏡手術で、脳にできた血腫を除去する
くも膜下出血
【外科的治療】
開頭して動脈瘤にクリップをかける方法と、脚の付け根からカテーテルを入れて動脈瘤の中をコイルで詰める方法がある
次回は脳卒中を遠ざける9つの習慣を紹介します。
取材・文=五十嵐香奈(ハルメク編集部)、イラストレーション=ねもときょうこ
※この記事は、雑誌「ハルメク」2024年9月号を再編集しています




