医療ジャーナリスト・増田美加さん「続けたらバラ色」

【実践者おすすめ】デリケートゾーンの簡単ケア

公開日:2024.06.07

閉経後、悩みが増えてくる“おしも”の悩み。女性医療ジャーナリスト・増田美加さんも、40代から女性ならではの不調・病気と向き合ってきました。「私の悩みは、世の中の女性たちの悩みでもあるはず」という思いを抱く増田さんに、お話を伺いました。

教えてくれたのは増田美加(ますだ・みか)さん

女性医療ジャーナリスト、。エビデンスに基づいた健康情報&患者視点に立った医療情報について執筆、講演を多数行う。NPO法人女性医療ネットワーク理事、一般社団法人日本フェムテック協会理事。著書に『もう我慢しない!おしもの悩み 40代からの女の選択』(オークラ出版)など。

40代前後で尿もれや腟のムズムズに直面。乳がんにも

「私が“おしも”の悩みに初めて直面したのは、36歳頃のとき。頻尿や軽い尿もれに悩まされて、外出から自宅の玄関を開けるまでに“間に合わない”なんてこともあったんです。当時はストレス度の高い仕事が多く、不規則。『もう更年期が来たのかな』と思うくらい、疲れ、肩こりなどに悩まされました。そのときは漢方薬を飲んで乗り切りました。

その後40代中頃にも、ひどい頻尿(過活動膀胱)に悩まされました。映画1本も見ていられないんです。それよりも頭を抱えたのが、デリケートゾーンの不調です。

お風呂に入った後、腟から水が出るんです。さらに外陰部や腟が乾燥してムズムズ……。自転車に乗るとサドルがあたって痛いし、運動をするときにウエアが挟まってヒリヒリして、とてもつらかった。

これは当時、老人性腟炎と言われた症状で、女性ホルモンのエストロゲンの分泌が低下することにより、デリケートゾーンが乾燥・萎縮して起こる症状でした。幸い、私は仕事柄“対策がある”ことを知っていました。女性泌尿器科を受診し、薬を処方してもらいました。

また、頻尿の根本的な原因は“骨盤底が衰えているため”と知り、骨盤底トレーニングを始めました。骨盤底は骨盤の底にあるプレート状の組織で、尿もれを防ぐとても大切な部位です。鍛えないとどんどん衰えてしまう骨盤底のトレーニングは、60歳代に入った今でもずっと続けています。

そしてデリケートゾーンの悩みではないですが、43歳のときには乳がんにもなりました。幸いにも超早期発見でしたので、すぐに手術で切除しました。ただ乳がんになってしまったため、更年期障害の治療としてホルモン補充療法(HRT)ができないため、漢方薬や運動などさまざまな手段を模索しました」

閉経後の最大の悩みはGSM。あらゆるケアで対策

ハルメク健康と暮らし編集部作成、資料提供/増田美加(女性医療ジャーナリスト)

「閉経後にかけて、女性ホルモンの減少が影響し、デリケートゾーンが萎縮・乾燥することでさまざまな不快症状が起こります。また、骨盤底筋の衰えが加速し、尿もれがひどくなる方も増えてきます。近年、GSM(閉経関連尿路性器症候群)と名づけられた疾患ですね。

私が悩んだのもGSMです。若い頃はふっくらしていた外陰部が、乾燥してヘナッとなり締まってくれなくなるので、デリケートゾーンの内側があらわになってきます。そこが直接ショーツに触れたりするとヒリヒリする。

婦人科検診のときに、経腟超音波のプローブがすれて出血し、痛くて入れられないことがありました。ホルモン補充療法(HRT)を行う治療法がありますが、私は乳がんを経験しているためできないのです。

そのため、ありとあらゆる方法を試しました。骨盤底トレーニングを続けた上で、膀胱訓練、磁気電気刺激療法、漢方薬、CO2レーザー治療、ヒアルロン酸注入、腟錠、オイルマッサージ……。仕事柄実験的に試したものもありますが。

でも費用もかかる治療もあるし、病院に通うのが大変な場合もありますよね。そんな方へ、簡単にできて私が続けてよかったケアをご紹介します」

今すぐできるセルフケア3

1.骨盤底トレーニング 

「40代から続けている運動です。腟を閉めたり緩めたりして、骨盤底を鍛えます。電車を待っている間の駅のホームだったり、誰かと話している間も閉めたり緩めたり。さりげなくできるので、いつでもどこでも、何歳からでもできます。

腟を締めるのは意識しづらいので、女性泌尿器科や婦人科で教えてもらうのもいいですね。自分でもお風呂で腟に指を入れて締まっているか確認してみるのも、とても大切です。

腟に人差し指の第1、第2関節くらいまで入れて、きゅっと力を入れます。指が締まる感触があったら、正しくできています。感覚がわかれば、より効率よくトレーニングできますよ」

 ■【ハルメクおすすめ】ショーツを使うのも手軽!泌尿器科医が監修した骨盤底筋ヒップサポートショーツ

2.デリケートゾーンの洗浄、オイル保湿

  「デリケートゾーンは乾燥することで繊細になったり、バイ菌がつきやすくなったりします。そのため、敏感な部位にやさしい洗浄料を使って、清潔を心掛けています。

お風呂上がりは、オイルを塗って保湿もしています。こちらも繊細な部位にやさしい保湿オイルを選んでいます」

■【ハルメクおすすめ】繊細な部位にとことんやさしい! 「フェミニンオイル」「フェミニンウォッシュ

3.運動

「運動は本当におすすめです。骨盤底トレーニングだけではなく、例えばヨガ、ピラティス。ウォーキングが一番始めやすいかもしれませんね。骨盤底筋まわりの全身の筋肉も鍛えられるし、体力作りにもなる。

運動は何より心と体のリフレッシュのためにもとてもいいんです。ご自身が楽しんで長く続けられる運動だったらなんでもいいと思いますよ」

ケアを続けることで100歳までバラ色の人生に!

 「私は40代からさまざまなケアを続けてきたおかげで、閉経後の今とても快適に暮らしています。映画を、席を立たずに1本見られるようになりましたし、自分自身に自信がもてるようになって、幸せです。

閉経後に不安を抱える方もいらっしゃいますが、きちんとケアをすれば女性ホルモンによってイライラしたり落ち込んだりもなくなります。メンタルも体調も安定し、すごく生きやすくなる。人生バラ色です。

でも、そのためには健康じゃないと。女性の最後に残る健康問題はGSMです。GSMが悪化すると、つらくて外にも出られなくなる方もいらっしゃいます。フレイルの最初の始まりでもあります。

『まだ大丈夫』なんて思わないで。デリケートゾーンの不調は誰にでも訪れます。早いうちからしっかりケアしておくことこそ、100歳までご機嫌に生きられる秘訣です」


取材・文=水野 愛(ハルメク 健康と暮らし編集部) 写真=渡辺裕之

■増田美加さん「『デリケートゾーンの悩みは恥ずかしい』は卒業しよう」の記事はこちら>>>

増田美加さんが理事を務める「日本フェムテック協会」では女性の心や体の変化について学べます。

一般社団法人日本フェムテック協会とは?
「女性のライフステージに応じて、どんなときも体と心のバランスをとりながら自分らしく活躍できる社会になってほしい」という願いをもって設立。女性特有の悩みを解決するため、女性の心や体の変化、ホルモンバランスについての正しい知識の啓発活動を行っています。
https://j-femtech.com/

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水野 愛

2019年12月より「ハルメク 健康と暮らし」食品記事編集に携わる。好きなものは漫画・歴史・音楽・一人旅。特技は赤ちゃんをあやすこと。今の夢は、習い始めた三線で、沖縄のおばあ・おじいたちとセッションすること!

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