【健康特集】口の力を強くして全身の健康を守る#3
オーラルフレイルを予防・改善する12の生活習慣
オーラルフレイルを予防・改善する12の生活習慣
公開日:2024年05月01日
口の渇きが気になる、飲み物でむせることが多い……それ、 口の機能が衰えた「オーラルフレイル」かも。オーラルフレイルを放置すると全身の機能が衰え、要介護状態を招くことも……。そこで、歯科医師がすすめる今日から始めたい12の生活習慣を紹介!
教えてくれた人:松尾浩一郎(まつお・こういちろう)さん

歯科医師。東京医科歯科大学大学院地域・福祉口腔機能管理学分野教授。1999年、東京医科歯科大学歯学部卒業。米国ジョンズ・ホプキンス大学医学部講師、松本歯科大学准教授、藤田保健衛生大学教授などを経て、2021年から現職。歯学博士。専門は高齢者歯科学、摂食嚥下リハビリテーション。オーラルフレイル予防の「カムカム健康プログラム」活動に携わる。
オーラルフレイルの予防・改善をする3本柱
前回は、オーラルフレイルの予防・改善に役立つ対策の3本柱「口の機能」「食事」「社会参加」について解説しました。
これらの3本柱を強化し、オーラルフレイルの改善・予防に役立つ12の生活習慣をご紹介します。さっそく、今日から始めましょう。
「口の機能をUPする生活習慣」でオーラルフレイルを予防
生活習慣1:新聞を朗読する
歯科医師で東京医科歯科大学大学院地域・福祉口腔機能管理学分野教授の松尾さんが、実家で暮らす母にすすめているのが、新聞を朗読することだそう。「大きく口を開けて、一字一字はっきり読むと、滑舌がよくなりますよ」。もちろん、雑誌でもOKです。
生活習慣2:少量の水でブクブクうがいをする

少量の水を口に含み、頬全体を膨らませてブクブクと水を強めに転がします。舌やのどの筋肉だけでなく、口まわりの筋肉も鍛えられます。口の中もきれいになるので歯周病などの予防にも。
生活習慣3:「咬筋(こうきん)」をマッサージする
硬い食べ物をかみ砕くときに働くのが「咬筋」です。「ストレスなどで歯を食いしばる癖のある人は咬筋が固くなりやすいので、マッサージでほぐしてあげるといいですね」と松尾さん。
生活習慣4:“舌回し”エクササイズを行う

舌は筋肉そのもの。しっかり動かすことで筋トレ効果が得られます。そこで毎日続けてほしいのが、舌を回すエクササイズです。
口を閉じた状態で、右の頬に舌先をしっかり当てて、頬を膨らませます。次は舌先を下へ移動させ、続いて左の頬へ。左の頬もしっかり膨らませ、上へ移動、そして右頬へと戻ります。一回りした段階で、つばをゴックンと飲み込みます。右回りと左回り、それぞれ10回ずつを目安に行いましょう。
舌が鍛えられると同時に、唾液もよく出るようになります。口まわりがスッキリする見栄え効果も期待できます。
生活習慣5:歯磨きだけでなく歯間ケアも忘れずに

歯があってこその噛む力。歯周病で歯を失わないよう、日頃から口の中を衛生的に保っておきましょう。「歯磨きは1日2回以上。少なくとも1日1回は歯間ブラシやフロスを使って丁寧に。舌や義歯(入れ歯)の清掃も忘れずに」と松尾さん。
生活習慣6:3か月に1回歯科でチェック

きちんと歯を磨いているつもりでも、歯周病や虫歯が進行していることがあります。また合わない義歯も口の機能を低下させます。「噛む力を維持するには歯科での定期的なメンテナンスが欠かせません。3か月に1回を目安に、かかりつけの歯科へ」と松尾さんはアドバイスします。
「食事術」でオーラルフレイルを予防
生活習慣7:「よく噛む」を意識する
「人は知らずしらずのうちに軟らかい食べ物に偏る傾向があるので、日頃から噛むことを意識しておくことが大切です」と松尾さんは話します。噛み応えのある食材を選ぶ、食事のときはよく噛んで食べるよう、普段から意識しておきましょう。
生活習慣8:食材は大きく切り、加熱時間を短く

調理法にも噛む工夫を。例えば食材を大きく切る、野菜などの加熱時間を短くする、煮込み料理の水分を少なめにする、白米に玄米や五穀米をプラスする、ハンバーグにレンコンを入れる、ポテトサラダにクルミを加える、などなど。おいしく噛み応えのある料理を作りましょう。
生活習慣9:筋肉のもと、タンパク質をとる

「女性は年齢を重ねるにつれ、筋肉が落ちて痩せる人が増えてきます。咀嚼を支えているのも筋肉。低栄養にならないよう、特に筋肉の材料になるタンパク質はしっかりとるようにしてください」と松尾さん。
肉や魚、卵、豆腐、納豆など、良質のタンパク質を含む食品を毎食、食卓に並べましょう。
「社会参加」でオーラルフレイルを予防
生活習慣10:家族・友人とよくしゃべる
口の機能をよくするには、普段から口を動かすことが一番です。「おしゃべりするときは舌がよく動きますし、自然と唾液も出てきます」と松尾さん。家族や友人と楽しくおしゃべりする機会を増やしましょう。
生活習慣11:カラオケを楽しむ

松尾さんのイチオシが、カラオケ。「歌うときは口を大きく開けて舌や唇をよく動かすので、口の運動機能の維持につながります。また呼吸筋や腹筋を使う運動効果も期待できます」
生活習慣12:運動で筋肉を維持

全身の筋肉と口の筋肉は密接に関係しているそう。「全身の筋肉が落ちると口の筋肉も衰えます。一番先に影響が出るのが舌。舌が痩せると咀嚼機能も低下してしまいます」と松尾さん。日頃から体をよく動かし、全身の筋肉維持を心掛けましょう。
口腔機能低下症の検査が受けられます
口の機能が低下しているかどうか、歯科で検査できることをご存じですか。口の中の乾燥度合い、舌の力、噛む力、飲み込む力など7つの機能を機器などを用いて測定。3項目以上で低下が認められると、「口腔機能低下症」と診断が下されます。
「オーラルフレイルのチェックで危険性ありと出た方は、一度検査を受けてみることをおすすめします。2022年4月から、50歳以上の方は健康保険で検査を受けられるようになりました」(松尾さん)。かかりつけの歯科で、この検査を受けられるかどうか聞いてみるといいでしょう。
診断のために、7つの機能を測定します
- 口腔衛生状態
- 口腔乾燥
- 舌の力
- 噛む力
- 唇や舌の運動力
- 咀嚼能力
- 飲み込む力
以上、全3回にわたり、口の力を強くして全身の健康を守る特集をご紹介しました。口の健康が全身の健康を左右します。口の力を高める生活習慣を今すぐ始めましょう!
取材・文=佐田節子、イラストレーション=山村真代、構成=大矢詠美(ハルメク編集部)
※この記事は雑誌「ハルメク」2023年8月号を再編集しています
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